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#5【刻限は早めに】茶道からヒントを得る5分間

*このマガジンは音声配信「茶道からヒントを得る5分間」を記事化したものです。 500年以上の歴史がある茶道の世界から、現代の日常を心穏やかに豊かに生きるヒントを5分間でお伝えするというコンセプトでお届けしています。 音声でお聴きになりたい方は下記のラジオからご視聴ください。

▷stand.fm「茶道からヒントを得る5分間」
https://stand.fm/channels/5f85c5e637dc4cc7e198a635

▷Spotify 「茶道からヒントを得る5分間」
https://open.spotify.com/show/3L51qNFpi6cdCnWH9G5K7q?si=C7XIixGURouF2Q00XqfDlg

さて今回は

刻限は早めに

という言葉から

ヒントを得ていきたいと思います。

この言葉も前回と同様

千利休さまが弟子から「茶の湯の心得で一番大切なことは何ですか?」

と聞かれた時の答えである7つの格言「利休七則」の1つです。

・茶は服のよきように点て
・炭は湯の沸くように置き
・花は野にあるように
・夏は涼しく冬は暖かに
・刻限は早めに
・降らずとも雨の用意
・相客に心せよ

七つの格言を利休さまがお答えになったとき、

質問をした弟子は

「それくらいの事なら私もよく知っています」と答えたそうです。

それに対して利休さまは、それだけ自信があるなら、その通り、一つの間違いなくやってみよ。それができたら、私があなたの弟子になろう」とお答えになったそうです。

さて「刻限は早めに

・遅刻をしない

・不測の事態に備えてあらかじめ準備して遅れないようにしておく

これは私たちが社会生活を営む上で当たり前の事とされています。

家庭はもちろん小学校で徹底的に叩き込まれることでもありますね。

ところが...

これを利休さんの仰るように

間違いなくやってみよ

と言われると...

果たしてちゃんとできているでしょうか?

正直にいうと、私は元来時間を守るのが苦手な方です。

ですから特に意識して遅れないように、お相手にご迷惑をおかけしないように気をつけています。

中学高校の6年間を過ごした私の母校では

5分前精神

というのがよく言われていて、この実践が今も本当に役立っています。

お茶もお茶会やお茶事がある時に遅刻してくる方はまずおられません。

最寄りの駅などで待ち合わせ...という時にもたいてい皆さん早めに着いてます。

心を尽くして準備をしてくださっている亭主にこたえる、お相手の時間を無駄にせず、大切にするという思いやりの心からきていると思います。

茶道では薄茶を点てる、濃茶を練るというようなお点前、つまり亭主のお稽古だけでなく、お客様のお稽古も同時に行われます。

お茶会や茶事だけでなく、お稽古の段階から、亭主と客が心を合わせ茶席の雰囲気を盛り上げていく「一座建立」の精神を学んでいきます。

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*写真は裏千家茶道教室 東京中野千秋庵の様子「主客の拝見問答」

一度ならず二度くらいした事のあるお点前ならば、次にお稽古場にくる前に点前手順を押さえておくだけでも、だいぶ時間の短縮になります。

そしてその分、亭主とお客の間合いの取り方や、師匠がお話してくれる内容にも集中でき、さらに新たな発見があるはずです。

私は自分がよくできないお点前をしてしまった時、「相手の時間を奪ってしまった」ということをものすごく反省していました。

これは茶道の点前に限らず他でも同じことが言えると思います。

相手の時間を大切にするということは、すなわち相手を敬うということ。

そして

自分の時間を大切にできる人は相手の時間も大切にできる人。

何とな〜くテレビを見て、何とな〜くネットサーフィンをして気づいたら時間が過ぎてしまった…

時間というものが有限であると普段から意識して自分の時間を大切にしていないと、

相手の時間も自分の時間と同じ有限なものであるという事に気づきにくくなってしまいます。

テレビ、ネットサーフィン、何となく流されてしまういつもの友達付き合い…

それは本当にあなたの家族、あなたの達成したい目標に必要なことですか?

例えば茶道で精進したい人は、1日のどこかで一つのお点前の点前手順をおさらいする時間を設けてみる。

自分の時間を大切にして、自分の大切な事に集中して取り組んでいれば、それは結局相手の時間を大切にすることにつながります。

そうして生まれた自分と相手の間にある余裕から深い気付きや、思わず分かち合いたくなる素敵な瞬間がきっと生まれる事と思います。

刻限は早めに

ご自分の時間もお相手の時間も大切にして過ごしていけたら良いですね。

以上、

「茶道からヒントを得る5分間」でした。

*プロフィールや発信情報、お稽古の様子はこちらから
→ https://lit.link/teatraveler


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