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#4【炭は湯の沸くように置き】茶道からヒントを得る5分間

*このマガジンは音声配信「茶道からヒントを得る5分間」を記事化したものです。 500年以上の歴史がある茶道の世界から、現代の日常を心穏やかに豊かに生きるヒントを5分間でお伝えするというコンセプトでお届けしています。 音声でお聴きになりたい方は下記のラジオからご視聴ください。

▷stand.fm「茶道からヒントを得る5分間」
https://stand.fm/channels/5f85c5e637dc4cc7e198a635

▷Spotify 「茶道からヒントを得る5分間」
https://open.spotify.com/show/3L51qNFpi6cdCnWH9G5K7q?si=C7XIixGURouF2Q00XqfDlg

さて今回は

「炭は湯の沸くように置き」という言葉から

ヒントを得ていきたいと思います。

この言葉も前回同様

千利休さまが弟子から「茶の湯の心得で一番大切なことは何ですか?」

と聞かれた時の答えである7つの格言「利休七則」の1つです。

・茶は服のよきように点て
・炭は湯の沸くように置き
・花は野にあるように
・夏は涼しく冬は暖かに
・刻限は早めに
・降らずとも雨の用意
・相客に心せよ

からきています。

茶道では炭に火をおこして釜で湯を沸かします。

この湯が沸くために炭を入れる手順も「炭手前」といってきちんと手順が決まっています。

しかしただ単に手前手順を覚えてやっていれば火がおこるという訳ではありません。

例えは悪いかもしれませんが、

バーベキューで火をおこすのだって、ネットで調べてやってみれば上手くいく訳ではないと思います。

ちなみに茶席で用いる炭はクヌギの木でつくられ、菊の花のような断面がとても美しいです。バーベキューの炭とは全く異なるものです。

科学的には、火がおこるためのはやはり
酸素と水が大事になってきます。

茶席が終わったあとで、炭の火を完全に消す時には「火消し壺」という道具を使います。蓋をすると空気が遮断され、酸素が途絶え、火を完全に鎮めることができます。

11月から4月は、茶室の一角に「炉」という小さな囲炉裏のような空間が切られますが、その「炉」で火をおこす場合には炭を置く直前に「湿し灰」といって水分を含んだ灰を蒔いておきます。

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蒸発した水分は水蒸気となって、上昇気流をおこし、その流れにしたがって、今度は新しい酸素が火にふれて、よく燃える事になるのです。

うまく火がおこって湯が沸くことは最低限必要ではありますが、

お客様のために濃茶を練る、薄茶を点てる、というタイミングにふさわしい温度であることがとても大切になってきます。

火を早くおこしたいなら酸素が良く通るように炭同士の間隔をあけるとか

逆にもう少し時間が経ってからのタイミングで釜の煮えを強くしたいなら、炭同士の間隔を少し詰めておくなど、

状況に応じた長年の経験と技術が必要になってきます。

一番大切なのは、お客様へのおもてなしの心。

しかし心だけではお湯は沸かない。

真心を形にするためにも、お湯がちゃんと沸くように修練をつまないといけません。

INPUT(インプット)とOUTPUT(アウトプット)という言葉がありますが、

何かを覚える、本で読むというINPUT(インプット)だけでは

目的を達成したことにはなりません。

適切なタイミングと場所で実際にできるかどうか。

この本番を常に考えながらOUTPUT(アウトプット)を繰り返していく必要があります。

嫌いなことのためにやるのは苦痛かもしれませんが、

それが大好きな人のために大切なおもてなしをするんだ、ということなら、頑張れそうですね。

努力は夢中に勝てない。

楽しいことのために頑張っていきましょう。

私も炭の修練をもっと積んで頑張っていきたいと思います。

以上、

「茶道からヒントを得る5分間」でした。

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