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子宮体がんと、告知までの心境

こちらの記事で、「おひとりさま、乳がんになる」さんが地獄の一週間と表現されていたのを拝見して、とてもわかりみ深かったので、記事を書くことにしました。

お気持ち、よくわかります。
私も、検査から告知までは2週間弱(連休なども挟んだので、少し時間がかったのです。)あったのですが、実に悩みました。
そもそも、あまりに続く不正月経から重い腰を上げて検診を受けることにしたのが、きっかけです。まさかここまで引っ張るとは。

実際、文字通り寝ても覚めても延々と悩みました。癌だったらどうしようか、いやいや、癌ではないのではないか。心ここにあらずというのは、きっとこのような状態を指すのでしょう。
悩みに悩み、でも日常生活は相変わらず続くわけでして、仕事もしながら、こんなにも先行きが見えないことあるもんかね。と思ってみたり。

それで、1週間近く悩んでいたらふと思い出しました。
アップルの創業者にして今は亡きスティーブ・ジョブズの言葉。
「もし今日が最後の日だとしても、いまからやろうとしていたことをするだろうか?」
彼は鏡の中の自分に毎朝問いかけていたそうですが。

私、こんな問いをしたとしたら、心から自信を持って答えられます。
絶対やらない。
だから鏡にそもそも問いかけません。ジョブズに言いたいんですけどね、人間、やりたくなくてもやらなきゃならんことは山積みなのよ。知ってた?

ですが、今まさに、「今日が最後の日」に準ずる状態ではないのだろうか。別に告知されたら即座に死ぬわけではないけども、もしかしたら、「がん患者」と呼ばれない最後の日々ではないか。

そう思った瞬間に、考えるのをやめました。
よくよく考えたら、私が現段階でいくら悩んだところで、検査中の細胞が変質するわけではない。
今の状態を適切に表現するなら、今は単なる結果待ち。
もし私が癌であるなら、それは検査をしたから癌になったのではなく、してもしなくても私は癌を抱えてるのだ。

というわけで、やりたいことをやろうと決めました。
さしあたり、奈良に行きました。鹿が観たかったのです。全然近場ではなかったけど、鹿がいる場所を考えたら、奈良公園しか思いつかなかった。

奈良公園の鹿。餌を持ってると頭突きしてきます。

思い切りよく思い切ることにして、私は突然思いついた旅行を満喫しました。「おひとりさま」は時折侘しさもありますが、自分の思いつきを誰にも迷惑かけることなく敢行できる特典もありますね。

旅行をしながら、私は決めました。
癌であっても、癌じゃなかったとしても、私の今後の人生は、「やりたいこと」を優先しようと。人生の指針です。

藤原宮跡・コスモス畑

思い切るまでは眠るのも浅いし、食事も摂る気にならないし、本当に鬱々と過ごしていたので、地獄のようでした。
でも、思い切ったら視界がひらけた。
天国ではなかったですけども。

冒頭にご紹介した記事の主さんは、私よりもずっとお若い。
だから、こんなバカみたいにあっけらかんとは到底できかねる心境だったとお察しします。というか、私よりもずっとお若い人に、かような困難がおとずれたことは、自分の病よりもずっと心が痛みます。
できれば、よい経過と、その後に広がる豊かな人生がありますように。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ではまた、次の記事で。