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記号過程、システム、意味

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人間と自然、人間と機械、人間とAI 対立するふたつのもの それらはなぜ対立するふたつのものになったのか? その答えを「記号過程」という用語を手がかりに考える
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2022年11月の記事一覧

レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(6) 『神話論理』×空海『十住心論』 -言語の分節を多重化し、「心」の分節も多重化する

(前回の記事(第五回)はこちら↓) 三重のコード『神話論理I 生のものと火を通したもの』の序文に次の一節がある。 前回も少し触れたが、改めてコードが三重である点に注目して読もう。 一次的コード:言語のコード=分節システム 二次的コード:神話が語ることのコード=分節システム 三次的コード:二次的コードを設定するコード(神話の分節システムを発生させている分節システム)、と仮に言い換えておこう。 一次的コードは言語のコードである。 これを「意味するもの」と「意味されるも

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レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(7) 二項関係は四項関係であり四項関係は二重の四項関係つまり八項関係である

(前回の記事(第六回)はこちら↓) レヴィ=ストロース氏の『神話論理I 生のものと火を通したもの』を深層意味論・意味分節理論として読む。今回は神話について”記述する”とはなにをすることかという話である。 神話、音楽、詩、絵画 神話に限らず、ある何かのことを別の何かで記述する場合、そこには八項関係が動いており、複数の八項関係だけがあり、八項関係たちの「外」はない。これが前回までの趣旨である。 * ある何かのことを、別の何かで記述する。 これは前者(ある何か)と後者(

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レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(5) 人類の思考の”底”〜ニ段重ねの四項関係としての「構造」

(前回の記事(第四回)はこちら↓) 前回は『神話論理I 生のものと火を通したもの』の「序曲」「I」を読みながら「神話は果てしなく続く」ということについて論じました。 「神話は果てしなく続く」というのはつまり、神話論理がとらえようとしている「構造」が、「始まり」と「終わり」の二項対立や、他のあれこれの二項対立の”どちらか”に振り分けられて止まってしまうような代物ではない、ということであり、神話論理が扱うのは固まった二項関係ではなく、四項関係の関係、つまり最小構成で八項の関係

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