なぜ、あなたの人生は上手くいっていないのか?(堀江貴文)

発売6日で3万5000部突破と売上好調な堀江貴文さん著『ハッタリの流儀』(編集協力:編集集団WawW! Publishing)の発売を記念して、著者の堀江貴文さんからの寄稿を無料公開します。

人生の中の足し算と掛け算

「人生」というものについて考える再、大切なことが一つある。それは、仕事の足し算と掛け算についてである。

あるとき、メルマガ読者から「どうすればラクができますか?」というとても率直な質問が届いた。誰しも一度は、「ラクしたい」と思ったことがあるだろう。

しかし、目先の苦労を避けることはできない。ラクができる状況のようなものは、大きな苦労をした先にこそ待っているものだからだ。

周りの人から「苦労しているな」と思われるようなことをとことんやって、その先にあるラクをつかんでいくというのがむしろ正解なのである。

仕事や人生においてラクをすることを、僕は「掛け算を使う」と言っている。普通なら足し算を使い、一〇+一〇で二〇の成果を出すところを、掛け算なら一〇×一〇で一〇〇の成果を出すことができる。同じ時間、同じ費用、同じ労力であっても、結果には大きな差が生まれることになる。

これが、ことあるごとに言い続けてきた「掛け算によるショートカット」だ。このショートカットの爆発力はすさまじい。

しかし、この掛け算の土台を、実は「足し算」という下積みが支えていることを忘れてはいけない。大事なことは、最初から掛け算が使えるわけではないということだ。スタート地点は誰だってゼロなのだから、いくら掛け算をしたところで、出てくる答えはゼロのままなのだ。

まずは、このゼロを一、二、三とひとつひとつ積み上げ、掛け算のベースとなる値を獲得しなければいけない。他力を使って掛け算する前に、足し算でまず自力を底上げしておくのだ。

同じ三を掛けるにしても、二×三よりも五×三のほうが答えは大きい。元の自力が二なのか五なのか一〇なのかによって、結果は何倍も違ってくる。ゼロから一へ、そして二へ三へ、できることなら五とか一〇まで、自力をどんどん積み重ねていこう。

「努力」という名の足し算

「堀江さんはとんでもない努力家ですね」「これほどの働き者は見たことありません」などと、よく言われる。しかし正直なところ、あまりピンときていない。努力家だという自覚がないのだろう。

「努力」というと、どうも説教くさく感じてしまうが、成果をあげようと思ったら、やはり努力しかない。成功したければ、挑戦し、全力で突き進まなければいけない。

僕だっていまだに、今日より明日のほうが少しでも改善できているように、毎日毎日努力し続けている。この地道な努力こそが、足し算になる。ここは、結構泥臭い部分だ。この足し算部分を乗り切るには、目の前のひとつのことに、「猿のようにハマり続ける」しかない。

起業から強制捜査まで、怒涛の十年間。家宅捜索によって強制的にストップがかかるまで、僕も前だけを見て全力で走り続けていた。この足し算は、のちに間違いなく僕の大きな財産となった。

稼ぐ力を身につけるには、まず足し算から

二〇一三年九月三日から現在まで、毎日YouTube『ホリエモンチャンネル』で動画を配信し続けている。始めたばかりの頃は、再生回数なんて寂しいものだった。しかし、今ではチャンネル登録数十九万人を誇る大きなメディアに育っている。

人気YouTuberのヒカキンから「最初は少ないけど、二年くらい頑張って登録者数が五万人を超えてくると、そこから一気に増えます」と言われたから、素直に毎日動画を配信し続けただけだ。

GLAYのボーカル、TERUさんが僕のチャンネルに「出演したい」と言ってくれたことで、対談放送も配信できたりした。こうして、楽しみながら地道に続けていくことで、価値を積み上げていくことができる。これこそが、足し算の力だ。

いま僕は、色々な人とコラボしながら、有料メルマガに、オンラインサロンに、ロケットビジネスに、とあれこれ手を広げ、その多くを成功に導いている。これはそれより以前の、怒涛の十年の積み重ねがあってこそ。あの足し算のお陰で、いま、僕は掛け算を使いこなせるようになっているだけだ。

もし、「稼ぐ力を身につけて自由な人生を送りたい」と思うなら、いきなり掛け算をしようとせず、まずは足し算から始めよう。僕はがむしゃらに働くという足し算によって、くだらない常識から自由になり、しがらみから自由になり、お金からも自由になった。掛け算ができるようになったのは、それからずいぶん後のことである。

いまの僕があるのは、小さな成功体験を積み重ね、自分の殻を打ち破ってきたからだ。何者でもなかった自分を、少しずつ更新してきた。もちろん、一夜のうちに変わったわけではない。すべて、地道な足し算の結果にすぎないのだ。

インターネットの可能性に気づき、ライブドアを打ち立て、起業家として世に知られる存在となった。そこまでは、圧倒的な努力による完全な足し算でしかなかった。僕の人生で掛け算が始まったのはこの後だ。

一つの事に集中して成功を収め、名の知れた人物になってしまえば、それからはどんどん掛け算が可能になっていく。ここまでくれば、できないことは何もないと思えるほどのところまで到達できる。

だからまず、その地点にたどり着くまでは、歯を食いしばって一つのことに集中しなければならないのだ。

常にショートカットを考える

稼ぐ力を身につけたければ、「修行してから」「一通り基礎を勉強してから」「資格を取ってから」などと考えてはいけない。常に「ショートカットの道はないか?」と模索することが重要だ。

これは、「掛け算をしたければ、まずは地道な足し算から」という考え方と相反するように聞こえるかもしれないが、そうではない。

プラス一、プラス二と進んでいける道もあれば、同じ努力量でもプラス〇・一、プラス〇・二くらいにしかならない道もあるのだ。こんな無駄な足し算をしていたら、いつまでたっても前に進めない。

だから、効率よく足し算ができるように、いつだってショートカットの道を探すことを忘れてはいけない。

どうしても日本人は、修業や下積みといった、苦しみに耐え抜く美学が好きなようだ。

三、四年前、「飯炊き三年握り八年なんて時代遅れ。寿司職人が何年も修業するのはバカ」とネット上で発言したら大炎上した。この発言に対する論争は、いまだにいたるところで繰り広げられている。

未来ある若者が、卵焼きを作らせてもらえるようになるまで何年も待たされるなんて、気の毒でとても見ていられない。

“Reinventing the wheel”という英語の慣用句がある。日本語に直すと「車輪の再発明」。車輪という便利な道具がすでに存在しているのに、それを使わずに一から車輪を開発することを意味している。SEやプログラマーに教訓としてよく使われている言葉だが、まさにその通り。これほど時間と労力を無駄にする行為はない。

寿司屋の修行も、まさに「車輪の再発明」だ。名店に弟子入りし、貴重な時間を修業に費やすなんて無駄以外の何物でもない。

単純なコツコツは時代遅れ

単純にコツコツ努力することが好きな人は多い。粘り強く続けていれば、いつかはうまくいくと考えているのだろう。しかし、実際には、ただ続けていたところで、成功の確率が上がるわけではない。

どうしてみんな、ただコツコツやることが好きなのだろうか。日本人が単純なコツコツ継続することをよしとしているのは、退屈に耐えさせるための策略なのではないかとさえ思うことがある。

粘り強く、根気よく、コツコツ続けてゴールにたどり着く。それはもはや時代に合っていない。だったら、もっと人生を楽しんだほうがいい。退屈なことに耐える必要なんてどこにもないのだ。

コツコツやることをすべて悪い事だとは言わないが、道はそれだけではないのだ。コツコツ以外のやり方はないか、考えてみてほしい。少し意識を変えるだけで、近道がたくさんあることに気づけるはずだ。

ショートカットを考える

ショートカットを考えるのに特別な勉強は必要ない。日々の生活の中でもショートカットを見つける力を鍛えることができる。

たとえば、飛行機に乗るとき。搭乗口にはいつも長い行列ができる。行列にじっと並んでいるなんて、コツコツ教の典型だ。僕は空港でこの光景を目にするたびに、いつも「どうして行列なんか作るんだろう」と不思議な気持ちになる。搭乗口のすぐ近くにイスがたくさん並んでいるのだから、座りながら待っていればいい。誰かがゲートに入っていったら、「あ、じゃあ、次オレね」「私もその次に行こうかしら」としていけば、行列になんて並ばなくてすむ。

行列がなくならないのは、みんな何も考えていないからだ。「行列に並ぶのが当たり前」と思考停止している。コツコツ我慢を捨てて、ショートカットできる道を探してみよう。

人生についてもまったく同じだ。行列にあえて並ぶような生き方を選ぶ人がとても多い。みんなで一斉に就職活動してサラリーマンになる、これも、行列に並ぶようなものだ。

余計な行列に並んではいけない。常にショートカットの道を考えよう。周囲から、「そんなのズルい」と非難を浴びるかもしれないが、言いたい奴には言わせておけばいい。そんなものはズルでも何でもないのだから。

成功までの道のりをショートカットするためには、無駄な時間をできる限り排除していく必要がある。成功までの道のりをショートカットするためには、無駄な時間をできる限り排除していく必要がある。

たとえば僕は、これまで度々述べてきた通り、自分では家事をやらず、家事代行サービスに丸投げして時間を作り、集中すべきことに集中している。成功したければ、集中できる環境を整えることは、必須条件なのだ。

「耐えること、苦労することが成功への道だ」という誤解は、一刻も早く解いたほうがいい。つまらない苦労や忍耐ばかりしていると、身動きとれなくなってしまう。忍耐をモラルと解釈する時代は、もうとっくの昔に終わっているのだ。

自分のやりたいことを最大限できるように、徹底的に無駄な時間をそぎ落としていこう。

「じゃあ、人生最大のショーットカット法とは何か?」

その答えは、『ハッタリの流儀』の中にすべて公開した。

※堀江さんの寄稿文を随時更新していきます。

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編集協力:編集集団WawW! Publishing 乙丸益伸( https://twitter.com/masumasu_o )、ライティング:稲田和絵( https://book-writer.com/profile

編集集団WawW! Publishingの公式note。現在、映画監督・紀里谷和明著『地平線を追いかけて満員電車を降りてみた 自分と向き合う物語』(文響社刊)の関連記事を公開中。