逆噴射小説大賞2021ライナーノーツ
今年の逆噴射小説大賞へ上限の3作品を投稿したので、覚書き兼セルフ反省会を目的にライナーノーツを書く。
●今年のテーマ
異なる世界観のミックス
起承転まで物語を進め、出撃依頼シークエンスで終わらないように注意する。
昨年の投稿作は、パイロットが死亡したのに自我がロボットに取り残されていたり、アイドル少女がドゥームスレイヤーのように悪魔を虐殺したりと、不可解な出来事が起きたり、登場人物が自分の職業イメージと合わない行動をさせることで、読者に「なぜ?」と思わせて続きが読みたくなる小説を目指したが、あまり上手く行かなかったので、今年は面白そうな世界観で読者を引き寄せるのを目指す。
また、出撃依頼シークエンスで終わってる投稿作もあったので、今回は起承転結のうち、転までちゃんと進めるのを意識して欠いた。
1作目:メカサムライ一文字三十郎
世界観は一言でいうとサイバーパンク時代劇。発想のきっかけはExeKillerというオープンワールドゲームのPVを見たから。サイバーパンク西部劇がありなら、サイバーパンク時代劇もありだろうと考えた。
世界観の説明はサイバーパンクを知っている人が読む前提で最小限にとどめたつもりだ。
文字の制限があるのだから、サイバーパンクを知らなくとも誰でも楽しめる小説などと優柔不断な魂胆では、無慈悲な荒野では屍を晒すだけ。だったら、自分と同じ「好き」を持つ人を狙い撃ちにしたほうが、まだ勝負ができる。
世界観の説明で一番気に入ってる描写は「忍者」と書いた部分。少ない文字数でこの世界の忍者はハッキング能力を持つと伝えられたはず。
反面、内面描写が少々弱かったかもしれない。例えば、主人公の三十郎は内心では花影を自分の娘のように大切に想っているような描写を入れれば、情に厚いロボットと作品の特色を一つ出せた。
ExeKillerトレーラー
発売日も決まってないし、そもそも翻訳版がでるかも定かではないが発売が猛烈に楽しみだ。
2作目:陸自の魔女
サイバーパンク時代劇の次はミリタリー魔法少女。主人公が自衛隊員なので少女ではないのだが、高町なのはという前例もあるから大丈夫なはず。多分。
個人的に気に入ってるのは、魔女が空を飛ぶのに箒ではなく、科学装置を使うのと、銃を使って戦う点。科学が発達した現代に魔法の要素が入り込めばこうなるのではないかと考察した。
反省点はというと、主人公の魔美に魅せ場がない点が挙げられる。一応、優秀であると伺わせる描写は入れたが、今戦っている悪魔には有効打を一切与えられていないし、あとから来た教会の魔女に助けられている始末だ。
教会の魔女は主人公のピンチを助ける味方キャラとして出したつもりだが、これでは彼女のほうが主人公のようにすら思える。
魔美が悪魔を半殺しくらいまで追い詰めたほうが良かったかもしれない。その上で、悪魔が刺し違えてでも魔美を倒そうと捨て身の攻撃に出るところを、教会の魔女が助けるという流れにすればよかった。
なお、反省点は別に置いといて、月光で輝く純白の衣装をまとった魔女が、トンプソン・コンテンダーを構える描写はすごく気に入ってる。
3作目:伝説のサンダーライフル
最後の投稿作はなろう系ファンタジーにスペースオペラを付け足した。私はスター・ウォーズとかdestinyとかファンタジックなSFが大好きなのだ。
本作は前2作よりは内面描写を厚めにできたと思う。主人公は銃の名手だが、魔法のほうが重用される世界なので、その実力を誇れないコンプレックスを抱えている。だが、無能扱いされても尚、諦めきれない何らかの夢をもっている。
サンダーライフルの精霊の人物描写をもっと深くしたほうが良かったかもしれない。この手のジャンルはヒロインの愛くるしさが生命線だ。
それと、サンダーライフルの威力を示す描写がやや冗長だった。「古代銀河魔法帝国の建築物は現在の技術では破壊不可能なはず。それに穴を空けるなんて」では長すぎるので「オリハルコン製の床を貫くとは、なんて威力だ」くらいのほうがスッキリした。
●最後に
投稿作がどこまでいけるかはこの記事を書いている時点ではわからないが、少なくともいかに少ない文字数で世界観を説明する勉強にはなった。
下手に万人受けなど狙わず、コレが好きな人を狙って撃つという事を意識して小説を書いていきたい。
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