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ロマンスグレーの肖像

寄る年波にはあらがいきれず、日に日に白髪が増えております。
家系的にも白髪が多く、兄の髪ももう真っ白。越後三山に積もる雪のようでございます。
このような文章の書き方になってしまっているのは、昨日、文学作品を朗読する発表会を行ったため。文豪の作品を人前で読むという、いわゆる公開処刑の場があった、その名残りなのです。

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今週の写真:昨日の朗読会会場はこんな感じ。
次回はモグさんのご参加、お待ちしています!

僕も二十歳を超えたころから、急激に白髪が目立ち始め、若さを保ちたい思いから白髪染めに手を出したのが三十歳になるかならないかのころ。部分白髪を隠すなんて生易しいものではなく、理髪店に行ってはがっつりと染めてもらっておりました。
でも白髪と白髪染めはイタチごっこ。
染めても染めても白髪は生え、伸びていき、日に日に染めた部分が薄くなり白い部分があらわに。
「ようじろうさん、けっこう白いんですね、頭。」
と言われると、慌てて鏡を見て、
「前から見たときはそんなに白くないと思っていたけど、頭頂部、それから後頭部が白いじゃないか!」
と愕然とするのです。

そんな白髪染めに、もう疲れ果てました。

しかし、私世代をターゲットにした雑誌などを見ると、
『かっこいい!ロマンスグレー』なる文字が躍っているではありませんか。
何だって!?女性の間では白髪フェチが来ている!?

かすかな光が差し込んできました。いいんだ。別に白髪だっていいじゃないか!隠す必要はない。ごまかす必要はない。ありのままで自分でいいじゃないか!
そう、目指すは帝国重工の財前部長(吉川晃司@下町ロケット)!

そして訪れたいつもの理髪店。
「ようじろうさんのカラーの番号は…」
と棚から白髪染め液を探す理容師に、
「今日は、白髪染めはしなくていいです。」
と一言。言ったぞ!言ってやったぞ!
これからはロマンスグレーの、渋い、ダンディなおじさまに変わるのだ!

そこですかさず理容師が一言、
「ああ、じゃあ白髪を目立たなくする『白髪ぼかし』にします?」
『シラガボカシ』何だそれは?白髪がぼかされていくとはどういうことだ?と、逡巡する間もなく、
「あ、お願いします。」
そして仕上がった頭髪を見て、「ふーん、これが白髪ぼかしと言うものか。」と、感想としては微妙なものでありました。
(この辺の自分の意志の弱さと、理容師の営業トークにすぐ首を縦に振る自分が情けない…(´;ω;`))

それから数日後、ロマンスグレーに変わった僕の頭髪を見て友人からは、
「老けたね。」
「ストレスたまってんの?」
「おっさんやん」


……
朗読発表会を前に黒髪に染めました。

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