見出し画像

20220411ふかいメルマガ46回 目的意識でワクワク

おはようございます。
4月1日のウェーブ入社式で、冨永社長が
「目的意識をもって行動する人になってください」と話したことは、
先週のメルマガに書きました。
私も経験があります。
「深井、なんのためにそれをやってんのか、
 目的を考えてみろ。
 手段が目的になってないか?

よく注意されました。
指示された仕事を、指示されたとおりやっていると、
指示通りに終わらせることが目的になってしまって
本来求められていたことが頭から飛んでしまっている状態
です。

議事録であれば、「いつ、どこで、だれが、何を議論し、何を決めて、
次回のミーティングは、いつ、どこで、何を議論するのか」
が必要なのであって、
誰が何を発言したかを追いかけて記録することは
重要ではありません。
議事録は、関与者全員に送付して
間違いないかの確認が必要なので、
丁寧に時間をかけて完成させるよりも、
早く作成して確認してもらい、
不足や間違いがあれば
加筆修正してもらうプロセスのほうが、
議事録の本来の目的
「今日のミーティング内容に合意する」ためには
重要なんですね。

でも、他の仕事を優先して後回しにしたり、
誰が何を発言したかを追いかけてしまい時間がかかったり、
レイアウトや書体にこだわってしまったり、
そんな時に言われるセリフが「目的を考えてみろ」です。
この目的意識は新人に限らず大事なことで、
ベテランでも役職のある人でも私でも、
見失うことがあります。

先月(一社)組込みシステム技術協会が主催で、
(一社)スキルマネジメント協会理事小西氏のセミナーがありました。
タイトルは、
「DXの真実を説く~デジタル(技術)のプロはDXの素人~」
というなかなか挑戦的なタイトルでしたが、
興味深い内容でした。

小西氏は冒頭で、
イソップ寓話(※諸説あるそうです)のレンガ職人の話
をしました。

こんな話です。
「旅人はその男のそばに立ち止まって、
「ここでいったい何をしているのですか?」と尋ねた。
「何って、見ればわかるだろう。レンガ積みに決まっているだろ。
 朝から晩まで、俺はここでレンガを積まなきゃいけないのさ。
 暑い日も寒い日も、風の強い日も、日がな一日レンガ積みさ。
 腰は痛くなるし、手はこのとおり」
「なんで、こんなことばかりしなければならないのか」
旅人は、その男に慰めの言葉を残して、少し歩くと、
またレンガを積んでいる別の男に出会った。
先ほどの男のように、辛そうには見えなかった。
「ここでいったい何をしているのですか?」
「俺はね、ここで大きな壁を作っているんだよ。
これが俺の仕事でね。
この仕事のおかげで俺は家族を養っていけるんだ。
俺なんて、ここでこうやって仕事があるから
家族全員が食べていくことに困らない。
大変だなんていっていたら、バチがあたるよ」
旅人は、男に励ましの言葉を残して、もう少し歩くと、
別の男が活き活きと楽しそうに
レンガを積んでいるのに出くわした。
「ここでいったい何をしているのですか?」
「ああ、俺たちのことかい?
 俺たちは、歴史に残る偉大な大聖堂を造っているんだ!」
ここで多くの人が祝福を受け、悲しみを払うんだぜ!
素晴らしいだろう!」

この3人のレンガ職人の違いを見ると、新たな発見があります。
1人目は、レンガ積みはしんどい仕事だと言っています。
2人目は、生活の為に大きい壁を造っていると言っています。
3人目は、歴史に残る大聖堂を造っているだと言っています。
同じレンガを積む仕事でも、
3人の目的意識は3様だということがわかります。

もう一つ重要なことがあります。
それは目的意識の違いで、
仕事のやりがい、
言いかえればモチベーションが全く違
うということです。
目的意識によって、
毎日の仕事はワクワクもするし、
毎日のしんどい作業にもなってしまう
ということなんです。

それからレンガ職人の話の後、
小谷氏は、1968年に出版されたT・レビットの
「マーケティング発想法」本の冒頭にある
「ドリルの穴」の話をしました。
これもマーケティングの世界では有名は寓話なんですが、
レビットが指摘するのは
「ドリルを買いに来た人が本当に欲しいのは、
実はドリルではなく〝穴〟なのだ」
ということです。

小谷氏がこの2つの話しをされた理由は、
DXも同じ
あなたの会社も同じ
他と比べて
価格が安いとか
技術があるとか
良い商品やサービスを提供しているとか
そんなことばかり追求していないか?
という問題提起です。

さらに言えば、
売上や利益は
目的ではなく、
目的の達成度を測る、
目標であり結果なのです。

会社であれ私たち一人ひとりであれ、
何を提供する為に存在するのか
ということが重要だと
小谷氏は言っているのです。

だからたとえ何か一部分の仕事であっても、
全体を見ることが大事で、
それがどういう目的や役割を担っているのかを、
常に意識すること。
それが目的意識です。

たとえばドリルだと、
もっと高速なドリル
もっと安いドリル
もっと軽い、
小さいドリルを作らないと
と考えがちですが、
顧客が求めているのはドリルではなく
穴なんだ、と考えれば
必要なものはドリルではないかもしれないですね。
さらに、その穴で何をしたいのかを考えれば、
もしかしたら穴ではないのかもしれないのです。
そこに新しいビジネスチャンスがあるはずです。

若い社員であれば、言われた仕事を言われたままするのではなく
目的を考えて仕事をすれば、
工夫も生まれるし、
指示される前に次にやることが見えてくる。
そういう仕事をしていると、
上司やお客様からの評価が上がるはずです。

小西氏はセミナーで興味深いデータを見せてくれました。
それはITエンジニア会社が自社商品を開発するために、
どこに時間とお金をかけているかというグラフでした。
他社との差別化のために、
多くの会社が時間とお金をかけるのは、
「最新の技術でどこにもない新しい商品を作ること」でした。
一方、自社で売れている商品がどこで利益を上げているかを見ると、
「ビジネスモデル」
「協業(ネットワーク)」
「製造工程」
「物流」の改善であったり、
「ブランド力」や
「顧客体験(カスタマーエクスペリエンス」」を
魅力的にすることだったというもの。

つまり、
開発前に「最新の技術でどこにもない新しい商品を作ること」に
お金と時間をかけたのに
実際に儲けているのは、
お金と時間をかけたところではない
工程だったということで、

まさに「ドリルの穴」と同じです。
どの会社も最新のドリルを作るのに必死になっているけど、
顧客が求めているものは違ったということです。

下期が始まって一週間。
私たちの仕事の目的を見失わないことが、
やりがいとワクワクと知恵と工夫と成果がついてくる
ということを、あらためて思いました。

今週もよろしくお願いします。

深井賢一

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?