楢木範行投稿3 柳田国男と楢木家の人々
私が、柳田国男の書簡との出会ったのは偶然であった。平成七年、『みやざきの一〇〇冊』という企画で、宮崎県出身の民俗学者・楢木範行の著書『日向馬関田の伝承』がその一冊に選ばれ、私が執筆担当となった。編集の都合、楢木の顔写真が必要となり、ご遺族である長男、茂行氏に連絡を取った。写真を複写させていただく用務で、ご自宅を訪問した際に、「こういうのもありますよ」と見せられたのが、柳田をはじめ、大間知篤三、最上孝敬ら、民俗学者たちからの書簡であった。他に折口信夫の講義を記した学生時代のノ