将棋初心者に振り飛車を教えてはいけない

 こんにちは。私は将棋ウォーズ2段程度のただの将棋指しなのですが、コロナ以前に子供たちとよく将棋を指す機会があって、今もウォーズでよく将棋を指してて思う事があったので書こうと思います。
 タイトルはずいぶん挑戦的ですが、戦法としての振り飛車は魅力がたっぷりだと思ってて私もよく指しますし、プロのトップレベルで採用が減っているからと言ってダメだとも思いません。プロの戦法は流行等もあるので今後また復活する可能性も大いにあると思っています。
 今回書きたいのは将棋初心者、将棋始めたてくらいの人にノーマルの振り飛車を教えるのが良くないと思うようになったので理由等を説明させていただきます。

 私はあくまで将棋の先生ではないのですが、子供たちに教えている光景をみると四間飛車が多い印象があります。確かに飛車を振って玉を囲う、攻める。将棋の基礎が詰まっているし横歩取りにあるようなハメ手みたいな手順も少ないので教えたくなる気持ちは分かります。

 でも私が言いたいのは、強くなるための近道を教えていいのか?ということです。そもそも将棋に近道なんて存在しないですよね。仮に近道があればそれが道となって近道ではなくなるわけです。簡単に強くなれる、簡単に勝てるというのは一種の詐欺みたいな言い回しで、確かに教えてもらってから数か月は簡単に勝てるかもしれない…でもそれから強くなるのが遅いので大損をしてしまうと思っています。
 あくまでイメージですが、振り飛車で勝ち進めると最初のうちは本来の実力以上に勝ててしまいます。序盤の考え方、中終盤の力と言うものを身に着けずに暗記のみでそこそこのレベルにいけるかもしれません。
 まず勝ってから身に付ければいいのでは?と思われるかもしれませんがそうはいきません。勝っていくと相手も強くなっていきます。そうなると振り飛車でしか勝てなくなり、結局将棋の基本を身に付ける機会がなくなってしまうのです。そこが棋力が伸びなくなる原因だと思っています。
 皆さん将棋を指してて経験があると思います。振り飛車相手で意味もなく囲いを修復してくれてラッキーと思ったり、無鉄砲に攻められて守り切ったところで勝った等…それは将棋の基礎ができていないからです。

 指導する側の気持ちも理解できます。居飛車を教えるのは難しいのです。棒銀を教えてもすぐに勝てなくなるし、いろいろな戦法を指しこなせないと苦しいので最初は苦労すると思います。ただ暗記させる指導ではなく考えさせる指導が必要で、教える子のモチベーションの問題等あると思いますが、特にネット将棋全盛時代、いつ誰とも同じくらいの棋力の人と気軽に将棋を指せる今こそそのように教えるべきだと思っています。

 これは将棋に限った話ではありません。何事にも近道や簡単に強くなる方法なんてありません。たくさん将棋を指して反省する、それこそが強くなる唯一の方法であり、それは時代が変化したとしても普遍的なものであると私は信じています。

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