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メンヘラ男に何が語れるのか

随分前の話になるが、このような記事が話題になった。

この記事はとても反響があったようで、たくさんのコメントが送られていた。白饅頭ことテラケイさんもnoteで記事で題材にしていた。僕もこの記事にとても心が揺さぶられた。常々メンヘラ男には女は寄り付かないだの、誰も助けてくれないだの言っているが、ここまで具体的に、的確に言語化されたメンヘラ男の現状について書いた人は見たことがない。

メンヘラ.jpにおいても男性投稿者の数は少ないらしい。

小山さんはジェンダー規範によって読者投稿をするメンヘラ男が少ないと分析しているが、僕は少し意見が違う。泣き言を吐くなという抑圧によって読者投稿を渋っているのではない。そもそも語る物語や能力が無いのではないか、そう考えている。

つまり、自分のことをメンヘラ男だと自覚していたとしても、何を言語化したら良いのかわからない。あるいは言語化するためのリソースがなにもないということだ。

僕はメンヘラ.jpには10本以上読者投稿をしている。noteでもメンヘラバイターの日常記事を何本も書いている。いつも「メンヘラ(精神障害)というハンデを背負っているがこんなことができたぞ」「俺の抱えているハンデはこんなに大きいんだぞ」という自慢話をする気持ちや社会に対する憎悪を原動力にして書いている。

しかしながら、メンヘラにとって精神・体調の状態の悪さというのは常につきまとっている。常につきまとっていて、それが当たり前になっていることについて何かを語ることは難しい。頭痛持ちが頭痛についてnoteで2000文字かける人というのはそうそういないだろう。辛いのが当たり前になっている、頑張るのが当たり前になっているとき、つらいこと、あたりまえのことをわざわざ文章化するためには、それなりの文章作成能力が必要になる。

もう一つはリソースの問題だ。書くための体力、気力、時間、それらが不足しているとまとまった文章を書くのは難しい。白饅頭師匠は2000文字程度のnoteを毎日更新していて、30分位で仕上げてしまうらしいが、普通はそう簡単に書くことができない。まとまった文章を書くためにはまとまった時間が必要だ。実際に僕がガチひきこもりだった頃はものすごい勢いでnoteを更新していたが、最近はリアルが少し忙しくなってきたので更新頻度が激減してしまったのだ。noteを書くためには書いている時間だけではなくて、脳がnoteを書ける状態になるための時間も必要なのだ。数日間全く予定がない状態が続くのが好ましい。

普通の人にはそんな文章作成能力も書くための時間も無いので、ちょっとできないことだと思っている。

男女で辛さの差があるわけではなく、語るだけの文化資本や、リソースの量の差が、メンヘラ.jpにおける読者投稿の数の差ではないだろうか。

身も蓋もない言い方をすれば、女のメンヘラはちょっと賢くてヒマな人が多い。男のメンヘラはちょっと賢くてヒマな人は少ない。つまり、男には暇なメンヘラがいない。いたとしても文章を書く力がない。そういう差なのだと思う。

追記:投稿するときに気がついたのですが「メンヘラ男」というタグの付いた記事は2件、一方で「メンヘラ女」とタグの付いた記事は150件以上ありました。そういうところなんですね。

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