3/29、トルコでの停戦交渉を伝えるNHK「ニュースウオッチ9」と、テレ朝「報道ステーション」を比較しながら見てみた。

 NHKのニュースウォッチ9のウクライナ・ロシア報道のピント外れっぷりをこの前から批判しているのだが、今日も、その直後のテレビ朝日・報道ステーションと較べると、後ろ向き否定的米国寄りの見解に終始した。

 なお、専門家として、どちらも防衛研究所の人を呼んでいるのだが、NHKが山添 博史氏、テレビ朝日が兵頭 慎治氏。兵頭氏が上司(政策研究部長)なんだと思うが、結構、意見が違うのが面白い。

 ウクライナとロシアのトルコ・イスタンブールでの停戦交渉について、ウクライナ側も「進展があった」と伝えており、ロシア側も「建設的だった」と発表。かつ、ロシア国防省次官ががキエフとチェルニヒウでの軍事活動を縮小と会見で発言。

戦争が始まってから初めての、前向きな進展と言える。

 のだが、ニュースウォッチ9、番組としても、山添氏も「期待できない」論調。で、内容の細かな解説はなし。

 一方、報道ステーションはウクライナ側が提示した条件を詳細に解説。

 ウクライナが提示しロシアが検討すると預かった新しい停戦条件
①新しい安全保障枠組みが機能すれば中立化に同意。
②その新しい安全保障枠組みには「イスラエル・ポーランド・カナダ・トルコ」の四か国が参加する可能性。(「米英」が後退し、そのかわりに隣国と、ウクライナ移民の多い民主化西部勢力と結びつきの強いカナダが参加することで、ウクライナ、ロシアどちらにとっても、もう加入はあきらめたNATO「米英」よりも納得しやすいことになったのではないか。)

③クリミアの帰属問題については、今後15年かけて話し合う、という事実上の「棚上げ」をウクライナが提案というのも、ロシアにとっては検討しやすい条件である。

④ロシアとの最終合意にはウクライナ領土の完全な平和が必要

というのはこれは「領土」というところのドンバスの「戦争開始前の実効支配」まで戻すのがゼレンスキーのひとまず停戦条件にしている模様。「ドンバス二州」「南部」というこの戦争で拡大した実効支配領域をロシアがどう考えるのか。そこからロシア軍が撤退するのか、という問題がある。

もうひとつ、アブラモビッチ氏の深い関与が、この大きな進展に貢献したとの見方を、報道ステーションは「ゼレンスキー大統領の直筆書簡を、プライベートジェットでプーチン氏に届けるなど、何度も往復して事前調整をした」と伝えて評価しているのに対し、NHKは「アブラモビッチ=オリガルヒ=信用できない」という否定的報道。キャスターが「オリガルヒ」と聞いた途端、「敵」認定してしまって、話がうまく進まないというトホホ感。本当に頭が悪いのか、局の方針に沿って反応せざるを得なくて、論理破綻をしてしまって頭悪い反応をせざるを得ないのか、どっちだか分からないが。全体のつながりが非論理的なので、ニュースの意味が頭に入って来ないのだよな、ニュースウォッチ9。頭が悪い。

 冷静に考えると、アブラモビッチ氏が、サッカーのチェルシー会長として有名なロシアの石油企業の会長・投資家で、今回のことでチェルシーを売却せざるを得なかった。石油やガスの禁輸措置でも大打撃を受けたはず、今回の戦争で経済的実害をものすごく受けた人物なわけだから、「なんとかして早期停戦したい」という利害を強く持つうえに、プーチンと近い、直接話せる。という得難い人物だ。彼が停戦協議に同席するのは、停戦を前に進めるのにプラスの人物だということくらい、論理的に考えれば分かるのにね。

 アブラモビッチ氏が直前、ウクライナ側の担当者と共に、毒物攻撃を受けたというニュースもある、ということでいうと、「ウクライナ側と協力して停戦を進めようとしている」のは間違いないのにね。NHKの、アブラモビッチ氏への言及の仕方、なんとも論理的ではなかったよね。繰り返す。頭が悪い。

 フランスF2やドイツZDFと較べて、NHKがどれくらいアメリカ寄りに偏向しているかは、ずっと論調分析をしてきたので、僕の投稿を読んでいる人はよくわかっていると思うのだが。偏向すると、論理的に考えてありえないような判断やコメントになるから、本当に、トホホのホである。

(テレ朝も、朝のワイドショーでのアゾフ連隊擁護報道とか、いろいろあるので、手放しで全部素晴らしい、というわけではない。が、上記ふたつの番組が連続して放送されたので、比較すると、NHK、ひどいな、だったので、とりあえず感想を書いたのでした。)

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