今朝3/17 のドイツZDF報道とアルジャジーラのニュース。(NHK BSワールドニュースから)。日本のテレビとBBCとCNNをぼんやり見ていると、全然、伝わってこないこと。ZDF10分、アルジャジーラ10分、わずか20分に、BBCやCNN一日分より豊富で重要な情報が含まれている。必読。

今朝のドイツZDF報道とアルジャジーラのニュースを伝えます。(NHK BSワールドニュースから)。重要なニュースなのに。日本のテレビとBBCとCNNをぼんやり見ていると、全然、伝わってこないこと。ZDF10分、アルジャジーラ10分、わずか20分に、BBCやCNN一日分より豊富で重要な情報が含まれている。必読。

ドイツZDF


 はじめにメインキャスターが「ロシアのプーチン大統領は自分だけの現実に生き、西側諸国に対し『制裁でロシアを破壊し、ロシア国民を差別する』と述べています。同じく、矛盾を感じるのはロシアの外相とウクライナの大統領の発言で『交渉は進展している』と言う一方で、爆撃は続いており、人命が失われています。」

 僕の解説。

この戦争の状況を、ここまで簡潔にまとめるの、素晴らしいよね。今、そういう状態です。プーチンの被害妄想、一方での停戦交渉は続き、やや進展している。しかし、戦闘と一般市民の被害は続いている。拡大している。その通りです。

で、具体ニュースは

①キエフの特派員による、空爆の被害の映像。外出禁止令なので、新しい映像はなし。


②キエフの産院、ウクライナ人の代理母が産んだ赤ちゃんに、西欧の依頼主が迎えに来ないで20人の赤ちゃんがたくさん待っている、というニュース。その中で、ドイツの依頼主夫婦が戦火の中、息子を迎えに来たという取材にニュース


③東部のマリオポリの激しい戦闘の様子。小学校が破壊され、三万人がこの日もクルマで市を出たが、避難の車列がミサイル攻撃を受けたというウクライナ側の情報として伝えた。


④ゼレンスキー大統領のアメリカ議会でのビデオ演説をバイデン大統領に援助を求めたとし「世界のリーダーは平和のリーダー」トいうゼレンスキーの演説シーンを流した。


⑤ゼレンスキー大統領は、ポーランド、チェコ・スロベニアの首脳とキエフで会談し、ポーランドのハチンスキー副首相は「NATOの平和維持部隊の派遣」に言及しました。


⑥オランダにある国際司法裁判所は16日、ロシアに対して軍事行動を即座停止するように命令しました。これが実現するとは思われませんが、ロシアとウクライナは少なくとも停戦に向けて交渉を続けています。

と言って、キャスターと、オデッサ特派員とのやりとりから
オデッサ特派員のレポート


⑦ウクライナの交渉団によると、両国の大統領が合うことに一歩近づいたようだ。両大統領の会議の土台となるのが15項目プランとされています。両国の代表団が交渉を進めています。両大統領同士の会談の具体的予定はまだありませんが、少なくともその見通しがあります。一歩進んだと言えます。

僕の解説
昨日もそうでしたが、ZDFは、大統領同士の会談への期待を、常にトップで言及します。BBCやCNNや日本のテレビはさんなことありえないと思うのか、一切言及しないですよね。ここ、注目ポイントです。

オデッサ特派員の情報、つづき。
⑧しかしここでは多くの人がとても悲観的(批判的?)に見ています。特に今夜は言ったニュースで、ロシアがマリオポリで劇場を爆撃したというのがありました、その劇場の地下は数百人が入れるシェルターということで、つまり民間人数百人が巻き込まれたということで、これでは展望を持つことはできません。

どっちやねん。という感じですね。ZDFは、両大統領の会談が、停戦には必要で、それへの交渉の進展を応援しているのだが、悲惨な攻撃、市民の犠牲が続いては、それも難しくなっている。というのが、昨日から繰り返されるZDFの、このオデッサ特派員の論調ですね。

さて、メインキャスターが、⑤の、ポーランド、チェコ、スロベニア首脳のキエフ訪問について論評を加えます。


「完全に合意のないまま、東ヨーロッパ各国の首脳がキエフへの危険な旅をし、NATOへの平和維持部隊のウクライナへの派遣というポーランドの提案が明らかになりました。しかしNATOはこれを否定しています。16日ブリュッセルではNATO国防相会議が開かれました。(映像では会議前だか休憩時間の様子が映るが、半分は軍服の人たちである。)


⑨新しい強力になったNATO国防相会議に30人の国防相が集まりました。非公開会議にはウクライナの国防相もリモートで参加し現状を報告しました。NATOは戦闘することなく全力でウクライナをサポートしようとしています。ソルテンベルク事務総長です。「NATOの連合国はウクライナで地上部隊も空軍も投入しないことで一致しています。私たちはこの戦争がウクライナ以外に拡大しないことに責任があります。」


画面はヨーロッパの地図もNATO加盟国が水色に塗られ、ウクライナが黄色く塗られている。
⑩NATO加盟国ロシア抑止のため、追加兵力をバルト海、ポーランド、スロバキア、ルーマニアに移動させました。現在合計10万人のアメリカ兵がヨーロッパに配備されています、加えて4万人のNATO多国籍軍がいます。


画面は破壊爆撃された軍施設の映像に
⑪先週末ウクライナへの軍事侵攻はNATO国境に迫りました。ロシアミサイルの攻撃がウクライナ西部のNATOの訓練基地を破壊しました。NATOの武器供与もロシアの攻撃目標です。が、国防相らは、NATOは挑発に乗らないとしています。ドイツ国防省です。
「NATO加盟国の領土が攻撃される兆候はこれまでありませんが、完全には可能性は否定できません。準備することは必要です」
準備するとは合同演習を強化し兵力を強化し加盟国からの拠出金を増やすことです。NATOはウクライナを支援しつつ新たな戦いに巻き込まれないための道を探っています。」

⑫この後、ドイツへのウクライナ難民対策についての、レポートをしつつ、国会で難民の登録をめぐる、左派与党は「女性や子供が主で、ビザなしで滞在でき、自己的に登録するだけでいい」というのに対し、右派政党が「望ましくない人に国が開かれるのでちゃんと管理しろ」という国会での討論や、バイエルン州知事が国の財政支援を求める会見などが紹介される。
ドイツにとってのウクライナ紛争は、具体的に「ものすごくたくさんの難民」問題でもあるのである。

⑬突然、コロナのニュース。実はドイツでも、過去最大の感染者数になっている。話は飛ぶが、香港のテレビも、中国のテレビもトップニュースはそれで、日本もそうでしょう。オミクロン株で、過去最多の感染者数が出ているのに、対策は緩和する、という難しいかじ取りを、世界中が苦慮しているのだよね。

ウクライナ公共放送

ZDFとアルジャジーラの間に、短くウクライナ公共放送のニュースが、昨日からロシア国営放送の代わりに入るようになった。爆撃で戦死した赤ちゃんの映像で「戦争で100人を超える子供が亡くなった」こと、300万人をこえる難民が国を出たこと、アメリカの軍事支援、資金支援、レバノンのウクライナ支持なそれぞれ短く伝えた。「レバノンがアラブ諸国で初めて、ウクライナの支持を表明し、公的建物をウクライナ国旗カラーにライトアップした。数カ国のアラブ諸国にこれに続いてウクライナ支持を表明した」と伝えた。

アルジャジーラ

一方、アルジャジーラのトップは
「バイデン顔写真」→「ゼレンスキー」→「プーチン」→「ラザロフ」→「トルコ外相」と映像を短く切り替えつつ、
一言ずつ
「バイデンはウクライナに前例のない軍事援助と資金援助を発表」
「ゼレンスキーは8年前か戦い続けていると語る」
「プーチンは軍事作戦は成功しつつあるが交渉の準備もある」
「ラザロフ外相は、ウクライナが交渉を避けていると批判批判」
「トルコ外相は交渉が大切と強調」
この冒頭からも分かる通り、アルジャジーラは、この件に関しては中立であることをまず明確にしようとする。

そして、アルジャジーラ・モスクワ特派員が、外交交渉について、きわめて重要なニュースをいくつか伝えた。


①「ラブロフ外相は、ウクライナとの交渉が積極的な局面に入った。しかし交渉は容易ではないと認めている。。ロシアはスウェーデンのような中立性のモデルを解決策のひとつとして提案したが、ウクライナは拒否した。


②「ラブロフ外相はトルコのチャウシェル外相と会談し、ウクライナへの武器供与を批判したが、チャウシェル外相はウクライナとロシアの両国間の平和的解決が重要と強調した」


③「またプーチン大統領はウクライナへの軍事作戦は先制攻撃だったと認めた。プーチン大統領曰く、ウクライナがアメリカや一部西側諸国の支援を受け、ドンパチ地方やクリミアへの攻撃をする計画があったため、先制攻撃をしたと語った。」
④ここは特派員解説「こうしたことから、ロシア側が言う、交渉が積極的段階にはいったといっても、ウクライナの中立性、NATOに加盟しないこと、ドンバスの独立とクリミアのロシアの領有権をウクライナが認める事が絶対的な条件だということです。」
⑤「最後に、今日、サリバン・アメリカ大統領補佐官とロシアの安全保障担当者が電話会談をし、ロシア側は、ウクライナへの武器供与をやめるべきだと強調しました。今後の交渉のテーブルではウクライナへの武器供給が重要な課題となるようです。」

ここで僕の解説。

実はこの後のオーストラリアABCでも「ロシアはウクライナへの降伏せよという要求は取り下げました。」と伝えている。
そして、ロシア側が「スウェーデンを中立性の戻るとして提案」というのが最重要。NATOには加盟していないがEUには加盟している、民主国家のスウェーデンをモデルとして提案したというのは、つい一昨日のラザロフ外相の「NATOにもEUにも永遠に加盟しないこと」というのとは違う。「軍事的中立」のこと。NATOに加盟しないことがロシアの提示している「モデル」だということ。
 そして、ゼレンスキー大統領も「NATO加入はあきらめた」発言をしているので、この点では合意が出来そうである。

 そうすると、ドンパスの独立承認とクリミア帰属問題が焦点ということになる。

 クリミアは住民投票まで経てロシアの実効支配状態なので、これをウクライナが認めるかどうか、だけが争点。クリミアでは、今、戦闘はない。

 ドンバスの独立承認問題がいちばん難易度が高い。「どこまでをドンバスの境界にするか」を、開戦前ラインにするか、停戦合意時点の実効支配ラインにするか、という交渉になるのだと思う。先制攻撃だったとプーチンが認めた、防衛的なものだった、というなら、ここは「開戦前の実効支配ラインまで戻る」のか、「親ロシア住民多数で、戦闘で親ロシア派支配になった線までドンバス両共和国の領土」とするかが停戦交渉ラインになるはず。「クリミアとドンバスをウクライナに返してロシア軍は撤退しろ」は、ロシアが受け入れるわけがない。

 そうならば、オデッサまで侵攻、そこもロシア軍が実効支配、みたいなことになる前に停戦をしたほうがいいのは明らかだと思うがなあ。

追記。ポーランドの「NATO平和維持軍」ニュースについての僕の勘繰り。

 ポーランドとチェコとスロベニアの三首脳がゼレンスキーに提案したのは(ポーランドの副首相から説明したと報じられている)、NATOの平和維持軍の派遣、と言う提案。ところが、NATOは「そんなことは認めていない、と否定。(NATO国防相会議でも)
 これ、ポーランドの暴走?いやー、つい先日、カマラハリス米副大統領がポーランド訪問して大統領と話し込んでいたということは、バイデンが「NATOは参戦しない、ウクライナ見殺し」に対する国内世論が、予想以上に厳しいと判断して、「平和維持軍」名目でNATO軍をウクライナに入れる、それをアメリカからの提案ではなく、東欧三カ国の自主提案として、行ってこーい、と指図したんじゃないか、というのが、僕の勘繰り。

追記2 国際司法裁判所でのロシアへの停戦についての暫定措置命令についての、インドNDTYの報道

ドイツZDTVでは実行されない、と軽く扱われたが、インドのニュースを見ると、ニュアンスが違う。インド人のザルディール・バンダリ判事が、ロシアに反対の投票したことを、興味深いこと、と伝えた。インドが他の場所、国連その他で、常にこの問題について棄権してきた。これがインドの公的な立場だった。しかし、インド政府の全面的支援で国際司法裁判所の判事となっているバンタリ氏が、個人の判断とはいえ、ロシア反対の投票をしたことを選んだことを、インド政府の対応が注目される、と伝えた。インド人の判事と言えば、東京裁判でのパール判事についての本を、ついこの前読んだところなのだが、インドの裁判官のプライド、国際的な場でも個人の信念で行動する感じ、というのは興味深い者がある。そして、ロシアへの逆風が強まっていることとして、これはロシア、プーチンにとっても大きな打撃だと思う。

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