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WBC決勝戦直後に書いたFacebook投稿、記録のためにnoteに転載。

 現実とは思えない。いやドラマやマンガだとしたら、すべてがベタすぎる。最後の対決が大谷vsトラウトって、どう考えても漫画かドラマだし。

 まず先発の今永。立ち上がりすごく良かったのが、二回に敵の「恐怖の9番ターナー」が打順を上げて6番、いきなり今永からホームランというのも、なかなか敵役的によく出来ていた。いきなり逆境から始まる。ドラマに緊迫感を持たせたよな。

 その直後の攻撃、前日最終打席前まで苦しんだ重要サブキャラ村上が、昨日の最終サヨナラ打の勢いで初めの打席の初球から吹っ切れたように強振してのホームランで同点、というのも昨日からの流れでドラマのエピソード的に満点だし。

 (そのあとの打席からはまた凡退村上に戻って併殺・三振・三振、試合後半の主役をダルビッシュや大谷にちゃんと譲るあたりも、なかなか終わってみると味わい深い。) 

 しかし日本の攻撃は村上本塁打で終わらずに、岡本と源田のヒット中村四球と細かい攻めをつないでヌートバーの内野ゴロで1点追加も良かったな。

 ここまでは無心にプレーしていたヌートバーが、母国との対決でちょいと苦悩している風なのも(深読みか)なんか良かったなあ。脚本的にはこれで一話つくれる。このチャンスでは内野ゴロで打点、しかし6回の満塁で凡退、というのも終わってみれば味わい深い。6回満塁でヌートバーがごちーんと走者一掃ヒットとか打っちゃうと、試合最後の緊迫感は出なかったろうし、ヌートバーも、今後の大リーグ生活で、いろいろ言われちゃわないかちょいと心配しちゃうし。

 話は戻って 攻撃は3回以降、米国のややこしい左ピッチャーが続いて、左打者が並んだ日本上位打線が苦戦しそうなところ4回に右打者・岡本ホームランを打って追加点というのも、中盤ドラマ的に良かったし。実は中盤3~6回、この本塁打以外、日本はヒットが無い。

 中継ぎピッチャー陣は戸郷(3~4回)・高橋(5回)・伊藤(6回)・大勢(7回)、全員、それぞれのいいところを出して、気持ちのいいピッチング。しかし相手もすごくて、一回ごとにピンチもあり、ドラマチックで。

 実はこのあたりの若い投手陣、日本のプロ野球見ないので、今回「初めまして」なのだが、みんな球速も出るしコントロールも低めにコントロールされるし、日本の投手陣、すごすぎた。みんなが自分の任された回をがんばったのが、なんか日本らしくてとてもよかった。

 試合中盤を過ぎ、まずダルビッシュがブルペンに向かい、次いで6回くらいから、最終回の登板に向けて、大谷がベンチとブルペンの間を何度も往復するのも、二刀流って本当に大変なこと、例外的なことなんだなと分かりやすく見せるし。登板を控えているのに7回には打てば全力疾走で内野安打打ってランナーになっちゃう大谷さんもすごいし。

 ダルピッシュは8回、「先生役になりつつ、本人ははちょい不調」という不安の中で、相手のホームラン王シュワーバーに粘られてホームラン打たれたところで、不安的中、さらにターナーに安打を許し、ここでゲームが壊れてしまうか、とみんなを不安にした後、しっかり押さえきって、「1点差での最終回」という超緊迫感を演出。

 山田が最後の二回の打席、6回8回、四球で出塁しては2盗塁、というのもかっこよかった。あそこでの山田の出塁が、相手の勢いを削いだ感があるよなあ。得点にはならなかったけれど、効いていたと思う。

 そして、最終回、投手大谷さん登場。三人目にトラウトが来ることはインタビューでも大谷さん意識していたが、「先頭打者出しちゃったので」「それがダブルプレーとれたので」そうそう、あの二塁山田→ショート源田のダブルプレーの安定感も、日本らしくてよかったなあ。ここも山田、素晴らしい。源田もなんかいい選手だった。源田主人公回も一話作れるよな。

 そもそも、大リーグはあんまりスターが出ないんじゃないかと言うのを、トラウトがキャプテンになって、スター選手を集めてくれたので、アメリカチームがこれまででいちばん、本当の「スター軍団」になったわけで、単に一選手としてだけでなく、トラウトがアメリカ側の最後の打者になったこと自体、ものすごくドラマチックなことなのだな。連続テレビドラマだったら、最後の対決シーンから、トラウトの回想シーンになって一回分、脚本かけちゃうと思うのだよな。

 そして、何より栗山監督。2011年に日本ハム監督就任のタイミングでダルビッシュは大リーグへ。すれ違いだった。2012年ドラフトで大リーグ希望を表明していた大谷を単独指名して、二刀流の希望をかなえ、日本で、日本ハムで育てた上で大リーグ挑戦の希望をかなえていったのは栗山監督。

 栗山監督主人公で、ダルビッシュと大谷2人とのドラマ、というのでも、かなりベタなドラマが書けるよなあ。不振の村上を信じ、ヌートバーを選び、そして最後の二回を、ダルビッシュ、大谷で締めた栗山監督主人公ドラマとしても、なんか朝の連ドラにできるくらいの長い時間のドラマが詰まっているよなあ。

 そしてね、顔が。大谷も、ダルピッシュも、吉田も、村上も、近藤も、なんか、キャラ立ったアニメ登場人物顔なんだよな。

 やはり現実とは思えなくなってくるな。

 超進化版CGで描かれた何かを見せられているんじゃないのか。

大谷さんが最後トラウトを三振にとったところで、もう現実感がなくなって、何を見ているのだろうとなりました。

 野球だと、本当に日本は世界一の国なんだなあ。サッカーのアルゼンチンやフランス並みに、超絶能力の選手たちが、信じられないようなドラマを実際に起こしてくれるのだな。なんか、楽しかったです。

 最後に、金メダルを選手やコーチにかけてあげるアメリカ人のお偉いさんが2人いて、選手がどっちにいこうかいちいち迷うのだけれど、いちばん最後の大谷さんのときだけ、お偉いおじいさんふたりが「こっちに来ないの、来てよ、来た」みたいに喜んでいて、その後、MVPの盾も渡して、優勝トロフィーも大谷さんに渡して、もうひとり参加したお偉いさん3人がいつまでも大谷と記念撮影していて(他の選手は真ん中でトロフィー来るの待っていたのに)、大谷さんのスーパースターぶり(サッカーのワールドカップのときのメッシもそういう感じの扱いだった)がすごくよく分かるシーンでした。

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