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昨日の、ラグビーワールドカップ決勝についての初めの分析Facebook投稿コメント欄にて、ラグビー師匠との会話から考えたことや感想いろいろ。まとめて保存用。(僕の書いた部分だけ。)

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 ピータースティフデュトイがもう笑っちゃうくらいにすごくて、オールブラックスの好調不調は実はジョーディー・バレットが機能するかどうかにかかっているところはあるのを、ピータースティフデュトイがほぼ全部タックルして潰したというのがこの試合だったなあと思います。試合直後に真っ先にインタビューされた受け答えも真面目で良かった。ちょっと前にツイッターで「ピータースティフデュトイは何を聞かれても『ヤーっ』としか答えない、南アの中山きんに君だ」という面白投稿があって、そうなのかと思っていたら、すごいまともで真面目でさらに好感度アップした。

 妻はニュージーランドのトライのときに、それを阻止しようと最後に飛び込んできてカメラに向かってころりと転がるデクラークを見て「デクラークはディフェンスでもいちばん大活躍して最後まであきらめないんだよ」と大喜びでした。終了間際のパパリが抜け出しかけたところをアンクルタップで止めたところまで、最初から最後まで超人的に元気だったデクラーク。デクラークとピータースティフデュトイがフル出場フル活躍可能な怪物的体力ということでの、フォワード7人、バックス1人の交代枠という戦術が可能になったわけでした。

 この試合、スクラムはニュージーランドが健闘して、最後まで互角(サムケインの代わりにジョーディー・バレットが入って、それで互角なんだから、ジョーディーの獅子奮迅ぶりはやはり恐ろしいほどであった。)、ラインアウトも初めニュージーランドが苦戦したけれどすぐ修正して優劣が行ったり来たりしてトータルでは互角。モールも互角。事前に予測された「南アフォワード有利」というような分かりやすい所での優劣がほとんどなかったので、サムケイン不在14人で終止らゆる局面で互角だったオールブラックスは、やはり強かったし好調だったのだと思います。

 と、ここまで書いて当然のことに気付くのだが、今、ラグビーでは「ポッド」といって、三人(または四人)一組の、フォワードとバックスをまぜたグループをポイントの後ろに3つから4つ横並びに配置して、その三人組ごとに相手に当たっていくという戦術が、これは高校ラグビーから当たり前に行われているのだが。(昔はポイントに近い所はフォワードだけ三人組から、遠くなるとバックスだけと、番号順に並んでいたわけだが、それがひとつずつの小単位ポッドがフォワードバックス混在にしているところが新しいわけだ。)

 ラックやモールのポイント(これ自体ひとつのポッドが潰れて出来ている)から9番が球を出す⇒10番を後ろに置きフォワード三人組のポッド⇒12番を後ろに置きフォワード三人組のポッド⇒14番が待ち構え、余裕があれば一人フォワードと13番がくっついている最後のポッド(たいていは最後はウイングが一人で待ち構えている)という配置になってる。

 つまり、昨日のニュージーランドに何が起きていたかというと、12番ジョーディー・バレットがスクラムに入ったところから始まる攻撃だと、そのあとぐちゃぐちゃと崩れた状態になったときもジョーディー12番はスクラム周辺がプレーのスタートになるわけで、本来、ジョーディーが入っているべき2番目のポッドに、リーコ13番か、14番ウィルジョーダンが入らざるを得ず、いつものように大外で待つジョーダンまできれいに球が回らない、という事態が生じていたことが分かるよね。

 ニュージーランドの攻撃はかなり自由にその場でそれぞれが役割を判断して補い合うので、上に書いたようなことが杓子定規に行われているわけでは当然ないし、どの選手もなんでもできるのと判断能力が著しく高いので、サムケイン不在のダメージは最小限に抑えられていたのだけれど、それでも12番がスクラムを組み続けていたダメージはかなりあったと思う。

 ウィルジョーダン不調でボールもって13mしか走れず、3回もハンドリングエラー、球ポロリをしたというのは、こういう構造的な原因があったわけでした。サムケイン不在の穴が、一見、うまく埋められていたようで、最後のしわ寄せがジョーダンに来たということだな。

と分析はおしまい。あとはクワガ・スミスについて。

今大会思ったのが、クワガスミスってヤマハが長いから、「NO8にしては体が小さいし、南ア本国やスーパーラグビーではなかなか通用しないから日本で頑張っている選手。南アの本物大スターが日本に休養半分で来るのとは別のタイプのちょい格下の選手なのかな」っていうイメージで見ていたのだけれど、今大会出てくるともうめちゃくちゃ活躍して、ボールを奪う能力とか一番高いんじゃないかだし走れるし、「クワガ・スミス、あんたスゲーよ。今まで格下とか思っててごめん」という気持ちで認識が変わった。決勝戦も最後クワガスミスが出てこなければニュージーランド逆転できたんじゃないか、と思えるような、短時間だけどすごい働きでした。

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