ここ一週間、政治について考えたこと。まとめておく。

ここ一週間、政治について考えたこと。Facebook投稿転載。

◆あらかじめ書いておくが、野田さん演説をほめたからといって、安倍さんの在任中の負の側面を許したわけではないし、野田さんの演説を誉めたからといって、野田さんのあのときの政治的な選択、行動を許したわけではないから。

⑴野田氏の安倍首相追悼演説について。

 野田佳彦氏の国会での安倍さん追悼演説をフルで聞いた。非常に素晴らしい演説だった。僕は野田さんのことは野田ブーと呼んで、絶対許さないとずっと書いてきたが、それは人格や能力の問題ではなく、消費増税を自公との三党合意で進め、民主党の分裂を進め、政権を明け渡す原因となったからである。選んだ政策と政治行動が絶対に許せないのだが、それは野田さん的に「正しいと信じたことを貫いた」ともいえるわけで、男気のひとであることは確かである。

 演説に力があるという意味では、今回の追悼演説でもその能力は際立っているし、政治とは言論の戦いである、そして対立する意見の相手とも、言葉で堂々と戦うべきであり、意見が異なる相手への敬意を持つべきだとの基本スタンスは全く正しいと思う。

 消費増税、財政規律という財務省緊縮派の政策に乗って民主党を壊し、自公に政権を明け渡したことが許しがたいという「最重要政策をめぐる選択」が許せない、ということと、政治家としての言論の力のみを武器に戦うという姿勢を賞賛する気持ちとは、私の中で普通に両立するのである。

⑵中国による安全保障リスクの高まりの中での、日本のリーダーはこのままでいいのか問題。

 中国共産党大会結果から安全保障へのリスクが高まる中で、先日、日本のリーダーの資質を問う投稿をしたわけだが。

 私の主張は「政治家は言葉がすべてである以上、言葉の力のない政治家(岸田さん)が首相でいるのは、よろしくない。今後、国民に安全保障環境の変化に関する重大な選択や行動について語り掛け、納得してもらうことが必要になる局面が近いうちに出現予想されるから、そのときまでに、自民党であれば高市早苗さんや石破さんのような「言葉の力」のある政治家に総裁を取り替えた方がいい」「政策中身の選択については、言語の力のある候補同士で議論して、それを聞いて国民が選べばいい。(自民党総裁だから自民党員が選ぶわけだが。)

 私の主張の肝は、優先順位は(特に非常事態が予想されるときは)
「①言葉の力」が初めのフィルターで、
そこで勝ち残る人の間で
「②重要課題に関する政策の違い」が議論されるべきだ。

であったわけだが、以下のような反論をいただいた。

①言語の力が民主主義の本質からみて重要であることに異論はないが、日本の政治の仕組みの中では、それだけで政策が決まるわけではない、政治家としての総合的な政策を立案し実行する資質・力量でリーダーは判断すべきである。

②言葉の力がどれだけ優れていようと、基本的政治姿勢や基本政策が、国民の分断を進めた安倍首相、その直接的継承者である高市早苗には日本のリーダー候補としての妥当性を欠くのでは。石破氏については、過去、総裁選で選ばれず、前回は出馬する断念するということでいうと、石破氏の「総合的な資質」「政策を実現する力」のどこかに大きな欠点があるということではないか。

③とすると、岸田氏から高市氏や石破氏にリーダーを挿げ替えることに大きなメリットは見いだせない。という反論をコメント欄で頂戴したのである。

⑶ 野田演説と中国問題への懸念、この二つを巡る私の意見から自己省察する。まとめてみる。


言語に力があること。(演説力と議論力)が政治家のいちばん大切な資質。この資質能力が低いのに政治家が務まってしまっているとすると、本来は政治力として行使してはいけない a金の力(利権誘導力含む) b暴力(潜在的/顕在的に暴力を行使する可能性がある組織とのつながりを背景に持つこと)のいずれかを政治力の基盤として 活用していることが想像される。言語に力のない政治家を選んではいけないのは、このためである。

②この「言語の力」が一定水準を超える者同士で、喫緊の重要課題に対する政策を、公の場で議論し、それを国民が聞き、それによって選挙があるならば投票行動、そうでないときも世論調査を通じた支持率の変化などを通じ、国民の意志が明確になり政策に反映されるというプロセスを踏むべきである。そ;れが民主主義の本道だある。

③国会の議論は、基本的にこうした、民主主義本来の機能により多くの時間を割くこと、メディアの報道もそれを編集せずフルに伝えることにより注力すべきである。

④「いやその前に、政治に携わる資格があるのか」という、「不祥事追求系」の議論に国会の多くの時間が割かれる現状は、

a 不祥事を起こしてばかりの政治家にも多くの責任があるが

b 利益誘導や組織的動員という言論力以外の要素で投票行動をしてしまう国民の政治理解に根本原因がある。

⑤野田氏の「言論の力こそが政治の本道」という主張と姿勢には全く賛同である。利益誘導を政治の本質と考える政治家を落選させ、日本の政治風土を根本から改めないことには、本質的解決はない。

というのが私の考えていることなのだな。理想論で道遠しではあるが。

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