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ショパンコンクール・ファイナル一日目、反田恭平さんの、コンチェルト1番ホ短調に、びっくりして感動して泣いてしまったので、昨夜からFacebookに書いた感想をまとめておく。

 私は、普段はクラシック音楽を聴かない。幼稚園からピアノを習い、小学二年生でバイオリンに転向、六年生まで習っていて、家では、親の影響もあり、(歌謡曲も聴いたが)、クラシックの名曲は、わりともれなく聴いて育ったのだが、小学五年生くらいからフォーク・ロックのギターを弾くようになって以降、クラシック音楽を好んで聴くことは全くなくなった。

 ただ、ショパンコンクールは、というか、バレエのローザンヌと、クラシックのコンクールなんかは「同じ演目を複数の人が同時にやると優劣はわかりやすい」「若い人が人生をかけて挑む姿を見るのは好き」なので、NHKで放映されるのは割と欠かさず見ていた。

 今回、Facebookで、友人、さとなおくんが、日本人のファイナリストが二人出たことをつぶやいていて、おお、と思って調べて観たら、三次予選まで全部の演奏がYouTubeにアップされていて、ただで見られる。ファイナルも生中継だ、ということで、昨夜、ファイナル、一日目からわくわくしてて観た。すごいなYouTube。

 ちなみにマンガ「ピアノの森」はもう連載途中から大好きで、単行本の新しいのが出ると速攻で買って、家族で奪い合って読む、という感じなので、映画や小説『蜜蜂と遠雷』も、小説も映画も大好きなので、そのスピンオフのCDなんかも買ったりしていたので、「反田恭平はアニメ「ピアノの森」で、阿字野の演奏をした、とか聞くと「おおお」とか思っていたのである。

 が、まあ、やはり、普段はクラシック音楽にはほとんど興味がないのだが。

以下、昨夜からのFacebook投稿。

ショパンコンクール、今、ライブ配信でファイナルの1日目。視聴中。すごいなあ、全部、聴けちゃうの。
ファイナリストは12人、4人ずつ3日かけて。
1日目は、
ポーランドのカミル・パチョレク
中国のハオ・ラオ
日本の反田恭平
イタリアのレオノーラ・アルメリニ
今日は全員同じ曲、第一番ホ短調だから、違いがすごくよくわかる。
今、ハオラオまで終わって。休憩後、反田さんのがもうすぐ始まるぞ。
やばい、反田恭平。前の二人と全然レペルが違った。こんなに歌うんだ。なんか、もう、表現の幅が、ポーランド人は全部正確だけれど弱々しかったし中国の子は力強かったけど平板だったと、反田の演奏と比べると素人の僕でもわかる。マンガの「ピアノの森」だと、「こんなに歌わせるのはショパンではない」とか文句つける審査員が出て来そうだが。しかし、圧倒的演奏でした。涙出た。緩急強弱音色の変化、オーケストラとのやりとり、音楽が、立体映像みたいになったぞ。楽しい、普段クラシックを、聴かない僕が聴いても、現代の音楽として楽しめてしまった。すごいもん聴いた。さて、今日の最後の一人。イタリアのお姉さまはどんなかな。
っていうか、ビアノ、FAZIOLIってのに替えた。きらびやかな音がでるなあ。
いや、ご本人の、キャラクターも。演奏も。キラキラしてて、ドラマチックで、いやー。個性強い。
ツイッターから。なるほど、そういうことなのね。前の二人と別の曲に聴こえる瞬間がたくさんあったんだよな。
彩織🐧ontwitter
「反田くんが何が凄いって、こんなに何回も聴いてるショパコン1番なのに初めて聞く音があること。和声の中でトップノートを抑えてその音際立たせるのね!っていう驚きとそのハーモニーの美しさに胸が詰まる😭#反田恭平 #ショパンコンクール」
 うん、イタリア人のも聴き終わって、追記するけれど、反田さんの演奏だけ、明らかに立体的なんだよな。他の三人のは、僕がクラシックは普段聴かないのは、なぜかがよく分かる演奏だった。この沙織さんというかたのツイッターを読んでわかった。
 せっかくピアノというのは、音数がたくさん出る楽器な上に、オケまでついているのに、盛り上がれば盛り上がるほど「主旋律+伴奏の音の塊」に聴こえてきちゃうのが、退屈な演奏。
 今までは、そうなっちゃうのは聴く僕の側の聴く能力。解像度不足問題なんだろうと思っていたんだけれど、反田さんの演奏だけ、退屈しなかったんだよな。
 ピアノの出す音の中でもそうだし、オケの楽器との響きでもそうだけれど、和声の美しさを一瞬ごとに新鮮に際だたせるように、あるいは、僕はクラシックの人じゃないので、ポップス屋的言い方をすると、ベースラインの動きとか、リズムのずらしとか、そういうものがおそらく楽譜には作曲者はすごく工夫して書き込んである。それが、なんか全体にぐちゃっと「旋律と伴奏」みたいにならないように、楽譜に書き込まれた細かな美しさや工夫を、僕のようなクラシック素人にもわかるようにひとつひとつ丁寧にいちばん美しく響くように弾いている。反田さんは。
 立体的で現代的に聴こえたのはそういうことで、それが、ショパンコンクールの審査基準的に「邪道」なのか、それとも、「ショパンの意図を、もっとも忠実に再現した」となるのかは、僕にはわからないのだが。
 しかし、クラシックを聴いて、こんなに楽しかったのは初めてかもしれないなあ。
ショパンコンクールファイナル第一日目。日本人の贔屓目(贔屓耳)なのかなあ。反田さんだけ別次元に、聴こえたのは。と、思ったが、YouTubeの世界中の人の書き込みコメントを、全部読んでみたが(英語のだけ)、8割くらいの人は僕と同じように感じている。ラオハオの、技術の高さと若々しさに好感を持つ人がその次に多いな。
 たとえば名前からポーランド人だと思われる、ジビク・プロズエニッチさんのコメント。いいのかな、勝手に引用翻訳。(私のつたない翻訳だが)「今年のコンペティションは例外的にレベルが高い。今日の四人すべてにブラボーと言いたい。ミスター・マオハオはその熱意、情熱。若さ、気性で私を捉えた。しかしだ。ミスター恭平反田は、私に、ピアノコンチェルト一番を再発見させたのだ。私はピアニストではないし、暗譜をしているわけではない。しかし私はこのコンクールを、この曲を何百回かは聴いている。だから、この曲を知っていると思っていたのだ。今日まで。しかし、今回。ありがとう、反田さん、私は今まで全く聴いたことのないニュアンス、トーン、響きをを、初めて聴いたのだ。ホ短調協奏曲を、再発見したのだ。まるで全くの新曲を聴くように。反田さんの演奏は私から言葉を奪った。」
多くの世界中の人が。同じような魔法にかかったぽい。私も完璧にやられた。
 普段クラシックを聴かない私にとっても、初めての感覚だったんだな、昨夜のこの演奏。
 ショパンに対して失礼かなと思う例えなのだが、EXILEの番組に玉置浩二が、出てきて、EXILEの曲(Ti Amo)を歌ったときのこと、思い出した。
①もう、別次元にうまい。
②というより。はじめて歌詞が情景として入ってきた。
③EXILEが歌うと安っぽい不倫の歌にしか聴こえなかったのが、玉置浩二が、歌うと狂おしい愛の苦悩の歌に聴こえる。感情が深い。
④というか。涙が、出てきた。
⑤歌ってすげーなー。
⑥いや、でも。一緒にやってるEXILEの人たちも楽しそう。音楽っていいな。
 くらいのことを、一瞬で感じたわけですが、クラシックもEXILEも(一緒にして、いや、両方のファンの方、それぞれごめんなさい)普段は「なんかつまんないから聴かない」私が、玉置さんの歌で、反田さんの演奏で、「いや、これ、聴くと涙でちゃうわ。何回でも聴きたいわ」と思ったわけ。
 昨夜は夜中だからヘッドフォンで聴いたので、今、AVシステムでもう一回聴いたのだけれど、やっぱりすごいわ。また、涙が出た。上原ひろみのジャズ聴いてるみたいな気分に何度も何ヵ所もなる。こんな気持ちになるの、正直、生まれて初めてだな。こんなに素敵なことが、ショパンの楽譜には、書かれているのか。他の人の演奏だと、全然わからないぞ。
お勧めなので、聴いてみて。全く。新しいから。
2時間17分くらいから見ると、舞台袖の緊張感から感じられます。もちろん最初から聴いて、四人全員の演奏を比較すれば、僕の書いたことは、より納得いただけるとは思うのだが。

ということで、下のリンクから、クリックするとYouTubeのアーカイブに飛びます。よろしかったら、ぜひ。


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