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月末恒例 ちょっと前の古新聞、一気読み。2021年10月~11月を思い出してみる。岸田政権発足から初の総選挙。まだオミクロン株もウクライナの戦争もなかった世界、新聞は主に何を報じていたのかな。

さて、年末だけど月末でもあるので、恒例の古新聞一気読みである。

 1年前どんなだったかな、ではなく、もうちょっと遡る。去年、2021年10月と11月の朝日新聞一気読み

1年と2カ月前って、どんなだったか。忘れている。

 10月1日。前日に自民党総裁選があって、岸田氏が勝利

 自民党三役案が一面。甘利幹事長案である。そうだ、思い出してきた。東京五輪が終わると菅首相が辞意を表明、自民党総裁選だったのだ。岸田さんは新自由主義から脱却した新しい資本主義、分配重視、というなかなか良い主張をしていたのであった。

 コロナについて、どんなだったかは、東京五輪期間中にデルタ株の第五波があり、大阪はじめ自宅療養中の死者が多数出たのであった。まだオミクロン株はいないのである。
新聞記事では【「第6波」への備え】と。

日本の、この時期つまり第5波までの累計感染者、170万人、死者1万8千人くらいなのだけれど。それから1年2カ月たった2022年12月8日、その値は2857万人 5万5800人になっている。

 もう一回書きますね。感染者170万人⇒2857万人 死者1.8万人⇒5.6万人(つまり差引で3.6万人が直近1年2カ月で発生している)

  つまり、オミクロン株に置き換わってから以降の感染者が圧倒的に多く、15倍くらいに増えていて、オミクロン株は死亡率が低いのだけれど、感染者が多いから、死者も2倍くらいに増えている。まあ母数が2800万人、人口の1/4にもなれば、年間総死数100万人の1/4、そのうち25万人くらいはコロナがなくても死ぬわけで、超過死亡をちゃんと見ないとなかなか言えない人は多いのだが。とりあえず、1年2カ月前というのは「オミクロン以前」の状態だったのである。

「円安加速」
って見出しがあって、いくらなんだというと、1ドル112円。これで「円安加速」だったのである。わずか1年カ月前。

 そしてもちろん、まだウクライナでの戦争は起きていなくて、9月のアフガン撤退後の混乱についての記事が目を引く程度。ロシア関係のニュースは無い。中国はゼロコロナ政策が大成功していて、来る北京五輪でその成果を誇ろうとしているところである。今、あんなことになるとは想像もしていないのである。

10/2
眞子さん、26日結婚、そうそう、その話題もあったな。


「衆院選公約、自民、原発の新増設」
おお、ウクライナ戦争前からもういい始めているのだな。

10/3
【山際氏、初入閣へ】
今年、あんなことで辞任するとは思わなかったろうな。

10/4
【衆院選31日】
そうそう、岸田政権発足後ひと月で衆院選があったのであった。

そして岸田内閣組閣発足ニュース。

10/5
【岸田内閣支持率45%、2001年以降の10内閣で最低】
小泉内閣とか70%超えていたのだよな。そう、人気最低のスタートだったので、自民党衆院選負けるんじゃないか、という気分がこのとき、あったのだよな。

10/6 
【欧州天然ガス1年で8倍】
このとき原油高もあって、コロナの影響とかなんとかもあって、ロシアによる供給抑制は「原因のひとつ」程度の分析になっている。すでに戦争の前から、ロシアのガスをめぐる争いは芸在的政治的に勃発していたのである。

そしてこの日、
【真鍋氏 ノーベル賞 温暖化の予測法開発】
物理学賞だな。完全に忘れていた。

10/9

そうそう、この月はワールドカップ最終予選、序盤で大苦戦

サウジアラビアに0-1で負けて
【3戦2敗 森保J危機的状況】

 今の持ち上げっぷりとは正反対というか、このときは「ああ、カールワールドカップは出場無理だよなあ」と僕は思ったのであった。

10/10

【台湾総統、「対中」起用力強化へ足場 仏・議員団、豪・元首相と相次ぎ会談】

そのすぐ下で

【「中国、25年には侵攻能力」台湾国防部長が警戒感】

中国にはいますぐでも侵攻できる能力があるが、25年には侵攻の得られる利益へのコストが最低限にな下がる」とつまり、今でも危機は高いが25年に危機最大化するとのこと。

一方、ロシア・ウクライナ問題についてはこの時期ほとんど記事はなく、国際面の国際紛争懸念の記事は、台湾と中国の争いと、それに欧米がどう動いているか、中国の軍事技術や軍拡の記事が中心。この時期ものすごくたくさん出ている。ちょっと日付遡るけれど、
10/5【中国機侵入4日間で145機 台湾の防空識別圏】

とか。

【習氏「中台統一必ず実現」辛亥革命110周年記念式典で演説】

ほらね。

10/12には
【中国軍の圧力 備え急ぐ台湾 全土に防空壕 アプリで検索】
なんていう記事もある。

あ、ロシア関係では、ノーベル平和賞、ロシアとフィリピンの反政権ジャーナリストに。という記事がある。

【立憲・共産・れいわ 連立可能性 候補者一本化】
そうそう、岸田内閣の支持率が低かったこともあったし、この総選挙では野党候補一本化調整をやっていたのだよな。

一方で
【「分配」主張 岸田首相と重なった立憲 「似て非なる」枝野代表腐心】
という記事も。いつものことながら、自民党は野党の主張をちょろりんとうまく取り入れて、差別化がつかなくしてうやむやにしていく作戦がうまいのである.

10/13  一面は

【自民公約 力での対抗重視 防衛費「GDP比2%以上も念頭」財政規律確保の文言消える】
中台のこともあり、米国からの要求もあり、自民党の公約では、今年、最近話題の2%、しっかり入っているのである。関連記事
【敵基地攻撃能力・憲法九条改正前向きに 平和主義名門の理念封印】

一方野党側は10/12
【立憲、連合会長と初会談 共産との選挙協力「理解を」】10/13
【原発維持へ動く労組】
ということで、野党選挙協力と連合と原発への態度での軋轢についての記事が。今、ウクライナ戦争を神風に原発推進への機運が盛り上がっているが、この総選挙の野党共闘側にもいろいろあったのである。

さて同じ日
【結党9年 悩める日本維新 都構想は頓挫、「蜜月」菅政権は退陣 「自公」の補完イメージ払しょくに躍起】
と、維新の選挙結果に悲観的な論調の記事を書いたこの記者、(久保田さんという人の署名記事である)、選挙結果出た後に、「しまった、やっちまった」と思ったか。

 同13日、スポーツ面は

【森保J まだやれる】

 オーストラリアに2-1で勝ったのである。サウジ敗戦でバックパス取られ失点の原因となった柴崎が外され、遠藤、守田、田中碧のトリプルボランチ採用して、ここから勢いを盛り返すのである。まだ南野がエースで、鎌田、堂安、三苫、久保らの今大会主力は出場していない。大迫ワントップで南野左サイド、伊東右サイド。今大会主力で残ったのは伊東だけである。

さて、ちょっと不吉な話だが

10/18

【英下院議員刺殺「テロ事件」断定 容疑者、数年前不穏行動か 有権者と対話「伝統」安全課題に】
 という記事がある。容疑者の父は元ソマリアの首相顧問で、イスラム過激主義が背景にあると分析している。20日にも政治家の有権者との対話と安全らついての記事が載っている。

 そしてちょいと先に飛ぶが、総選挙前日の10/31に、日本では京王線電車内での通り魔的無差別刺傷事件が起きている。このときの事件は政治とは無関係な無差別殺人をしようとした事件だったが。

 今年の参院選の安倍元首相の事件は、統一教会二世問題としてそちらに問題を語る重心は移っていったわけだが、「政治家の政治活動の中で、暴力を受ける、命を狙われる危険」の問題と、突発的暴力の発生という問題、安倍氏事件に収斂していくような事件が、英国で、日本で、このタイミングで起きて報道されている。もちろん、「後から見直して意味を勝手に読み取ってしまう、ストーリーを作ってしまう」という意識の働きではあるが。新聞切り抜きをしていて気になったので書いておく。

 さて、総選挙以外では、やはり、台湾、中国関係の記事が目を引く。

10/29
【中国の極超音速兵器実験 米が強い危機感「スプートニクショックに近い】【「ゲームチェンジャー」脅威 極超音速兵器 世界中が射程か】

そのすぐ下に

【台湾、米軍の駐留認める】

10/31

【「台湾、統一以外ない」中国王外相、米欧に警戒感】

 あと、ロシア・ウクライナではなくて、この時期、あの周辺では、「ポーランド・ベラルーシ」の、難民移民国境通す通さない問題や、ポーランドとEUの関係など、今回戦争で「NATOの最前線として米国と関係強化している」ポーランドが、EUの中では問題児だったり、ベラルーシはポーランドとの関係で、ガスの供給停止をちらつかせたりという争いの樽がいろいろあったことがうかがい知れる。

そして、日本では総選挙が行われるのだが、直前28日には

【立憲・共産へ好感度高まる 朝日・東大共同調査】

という、朝日らしい記事があったりする。岸田不人気、久々の野党共闘の中で、淡い期待の気分があったことを思い出す。

しかし

10/28 耕論「選べといわれても」

のページでは、若い世代の選挙への不信不満の声の中で、あの成田悠輔氏が、【「1票」くめぬ複雑な民意】として、今の選挙制度が時代遅れだと鋭く批判している。その通りなんだよ。

11/1の朝刊 

【自民過半数を維持 岸田首相続投】【立憲共産共闘生かせず】【維新3倍増】

 その後、甘利さんが落選して幹事長辞任したり、石原伸晃や辻本清美が落選、比例復活もなかったり、11/3に枝野さんが辞任して立憲が代表戦に突入したり、まあ、いろいろあったが、11月と言うのは、10月の余波のようなひと月だったのである。

選挙結果を伝えるのと同じ11/1のスポーツ欄

【スケートカナダ ワリエワ15歳V 世界最高15点更新 異次元の構成】

 このワリエワが、翌年2月の北京五輪でドーピング機へ枠で調子を崩し、メダルにも届かない事件が起きる。これ、「世界がロシアを排除している」「いや、ロシアが国際的な秩序に従わないからだ」というウクライナ戦争勃発直前の国際情勢と重なる、象徴的な出来事だったと思うのである。

疲れたので11月のおしまいの方に飛びます。

さて、11月28日一面で

【新変異株オミクロン 世界が警戒】

11/29

【オミクロン株 確認続々 英 独 伊 豪 オランダ デンマーク】

 そしてこの29日に、特に事件があったわけではないのだが「ロシア30年の歩み」というモスクワ支局長の記者解説の大きな解説記事が載っている。しかしまだ、戦争の影は無い。

 そうそう、11/27に耕論「政治とSNSの闇」のインタビューで、今回戦争で一躍有名人となった小泉悠氏が、【世論操作 日常が戦争に】として、情報安全保障、外国勢力によるSNSを兵器とした世論操作について語っていました。

人間はわずか1年ちょっと前のことでも、ほとんど忘れて生きていくのですよね。今年のことも、来年の今頃にはおおよそ忘れているかもしれません。

 歴史を振り返るというと、何十年、何百年を振り返ることをイメージしますが、ごく近い過去のことも、ときどき振り返ると、面白いですよ。

 では、みなさん、今年も長い駄文にお付き合いいただきありがとうございました。

 来年は、ことしより、もっと良い一年になることを。戦争が終わることを祈って。

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