ウクライナへのロシア侵攻中のFacebook投稿保存 3/21 分 別途noteに文字起こし分析したNHK番組「ウクライナ侵攻が変える世界 2014 対立の原点」の解説ショート版

原 正樹
3月21日 19:08 ·
プライバシー設定: 公開
NHKHPから
「「ウクライナ侵攻が変える世界 2014 対立の原点」
初回放送日: 2022年3月19日
今回のウクライナ危機の原点とされるのが2014年に起きた「マイダン革命」。親ロシア派の政府に対する市民の抗議活動により、大統領がロシアに亡命した。当時放送したETV特集「歴史と民族から考えるウクライナ」では、その背景にウクライナ国内の経済的・宗教的分断があり、ロシアとの関係にどう影響するのか議論された。今回、新たな解説をつけて再構成し、危機の深層を読み解く。キャスター:道傳愛子」
僕の感想意見
最後の道傳さんと井上さんの対話で、現状についての良識的見解、としてはまったく正しいと思うので、そういう視点ではなく、「現在の日本テレビ放送、報道」との比較、何が当時は語られていたのに、今は語られないか、についての視点で「放送批評」隠れたプロパガンダという視点で分析していきたいと思います。僕はここのところずっとドイツZDFとイギリスBBCを比較して、どちらも西側の公共放送、NHKみたいな存在なわけですが、その扱うニュースや語り方を比較して、「ドイツ、EU中心国の立場」とイギリス「NATO中心国の立場」の違いを考察する、ということを分析してきた。
それと同じように、「2014年のドキュメンタリー」の中で、2022年には扱われない要素というのは何か、というのを抽出していきますね。
ポイント1 東部のロシア派の普通の人が「平和的な人」で、親ヨーロッパの側に「ヤクザのように乱暴な人がいる」という情報が、2014年の放送では普通に扱われているが、現在、そういう情報はメディアに一切、出ない。
番組から引用
「東部の都市ドネツクではヤヌコヴィッチ大統領への支持を訴える集会が模様されていました。」ウクライナ国旗を掲げて静かに集まる人たち。
「この直後、インターネット上に、キエフで撮影されたある映像が流されました。この映像は、東部の人たちに、暫定政権への強い不信感を抱かせるものでした。プーチン大統領の演説を放送してた国営放送の会長が辞表を書くよう強要されています。暫定政権を支持するの議員による行動でした。」
テレビ映像を僕が文字化描写
「がたいのデカいヤクザみたいなのとか、ちょんまげ金髪ヘアーのヤクザみたい男たち数人に取り囲まれ、ネクタイゆるめた小男の会長が頭を殴られたり首を絞めたりされながら「座れ、この紙にペンでサインしろ」「裏切者!お前は祖国を裏切った!」って罵倒されながら無理やりサインさせられている映像が流れます。」
ポイント2
ドネツク人民共和国は「ロシアの陰謀」ではなく「ロシア系住民・多数派」の希望から生まれたもので、現地行政も「やむなし」という態度だったこと。
番組から引用
私の取材では取材では、現地の警察は、占拠されたというよりも、人民共和国側に建物を引き渡したというのが実態に近い。つまり、正統な州政府や行政機関も、人民共和国を排除するのではなく、現地の協力とまでは言いませんが、共存している。」
ポイント3
マイダン革命や西部の愛国者に対する支援を、カナダが、革命以前から政権成立後まで継続的に行っていること
番組から引用
「EUへの加盟と大統領退陣を求めて行動したのは西部ウクライナの人々でした。ウクライナ民族主義を掲げる勢力も加わってヤヌコビッチ政権の打倒を果たしました。」カナダの映像「実は、この革命の大きな支えとなったのは、カナダの人々でした。
ポイント4
その西部ガリツィアの愛国者が、やむを得ない事情とはいえ、過去、第二次大戦中にナチスと協力した歴史があるということ。
番組から引用
「さらに複雑なのは、そこにナチスドイツが攻め込んだときに、ウクライナ民族主義者は、ナチスドイツに協力した。という歴史もあるんです。彼らにしてみれば、ソ連は占領者ですから、それに抵抗するために、ナチスに協力せざるを得なかった・
マイダン革命でも、そのナチス協力者を起源に持つ集団が大きな役割を果たしたこと
今、独立広場に行くと(マイダン革命の舞台)に行くとバンデーラ主義(ナチスに協力したウクライナ民族解放運動の指導者)の赤と黒の旗があちこちに掲げられている。ソビエトのKGBにドイツで暗殺されたんですけれど、バンデーラは今のロシアではナチスの協力者ですけれど、西部ウクライナでは民族独立の英雄、ということなんですね。」
ポイント5
クリミア侵攻はたしかにロシア軍の暗躍があったが、ロシア人、およびロシア系住民にとっては、クリミアは民族の叙事詩の根源のような土地であり、それを取り返したことはプーチンの評価を高めたのは事実であること。
番雲から引用
「クリミアが戻ってくる。歓迎の拍手はいつまでも鳴りやむことはありませんでした。人々の目に涙がありました。」ロシア人の式典会場の女性たちがみな涙を流している。
 「このクリミアと言うのが大切なもので、中でもセバストポリが民族の叙事詩であり、そこが後にロシア黒海艦隊の海軍の母港になり、その記憶は去らないわけです。そうすると、あの先ほどの映像の涙は嘘ではない。そのクリミアを無血で取り戻したということで、プーチンに対するロシア人の評価は半端でないものがある、これが政治的事実だと思うんですね」
感想まとめ
つまり、2014年の番組では、東部、西部、それぞれの地域に住んでいるそれぞれの市民住民には、歴史的にも、宗教的にも、欧州・ロシアそれぞれとの関係においても、地域ごとの差が大きかったこと。どちらか一方の勢力が政権を取り、国全体の方向が傾くと、それに反対の地域住民で不満がたまり、当初は平和的な反対運動でも、それが暴力的な反乱や独立運動にまでいきやすい、そういう特性を持った国であること。
 こうした国としての基本特性の中で、本来はだんだんと一つの国民意識に統合されていくというプロセスをたどるべきところ、その対立に「米ロ」「西側とロシア」という、ポスト冷戦時代の大国、国際政治がそれぞれを裏で支援し、煽りあったということ。
ロシア、プーチンが悪い、ということを言うために、東部のロシア系住民のことや、クリミアの住民の生活や気持ちについて、今回の戦争では、日本や西側メディアでは扱われることがほとんどない。
また、ゼレンスキー政権側を正義のヒーローにするために、政権を支える勢力の中に、かなり暴力的な愛国者の勢力が含まれている、ということも扱われない。
「東部地域のロシア系住民」は、別に侵略者として住んでいるのではなく、帝政ロシアの昔から、ずっとロシアとの結びつきの中で生活していて、たまたまロシアからソ連時代に国境的にウクライナ側に配置され、ソ連崩壊の時もその国境が維持された。その人たちに「ロシア語公用語から廃止」「ロシアとの経済的つながりを阻害」というような措置をされたら、独立運動が起きてもやむを得ないのでは、という視点は、今回の報道では論じられない。
アイルランドの独立運動でも、北アイルランドがイギリス側に残っているのは、イギリスがむやりやそうしたわけではなく、事実、住民に、国教会信者が多く、「イギリスの中で自治権さえあればいい」と考える人がたくさん住んでいたからなわけで、大国の隣の、中くらいの国の中に、そういう分裂があるのは、これはやむを得ないことだよね。住民感情からするとしぜんだよね、という視点が、全く抜け落ちて。「プーチンは悪」「ゼレンスキーは正義のヒーロー」みたいになる。そういう対立をあおる報道の中で、「語っては不都合な事実」は、報道から除外されていく。
 そういうことが、改めて確認された番組でした。
こういう番組を、NHKが今になって再放送をする。ということは、「そろそろ停戦に向けて、ウクライナとロシアが交渉を本気で進める」フェイズに戦争が移る可能性があり、単純な「正義と悪」ではなく、相互の事情と主張を冷静に論じる必要が、そろそろ出てくるだろう、という読みがあるのではないかと思う。
これが番組。見てみてね。
https://www.nhk.jp/.../M2ZWLQ6RQP/episode/te/J7M6YVKPLN/...

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