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NHK 「BSスペシャル欲望の資本主義2024 ニッポンのカイシャと生産性の謎」2024年1月11日を見て、あんまり関係ないことをいろいろ妄想した、という話。


BSスペシャル
欲望の資本主義2024 ニッポンのカイシャと生産性の謎

初回放送日: 2024年1月11日
 日本の会社の何が問題か?難問山積の時代、労働の定義も変わる。逆転の発想は?錯綜する欲望の資本主義の迷宮を解き明かすスリリングな90分。今年も思考の旅へ。
 進むインフレ、円安、上がらない賃金。AI時代に日本の生産性を上げる鍵は?デジタル経済の時代に静かに忍び寄る「新しい封建制」とは?「富を生むルール」激変の時代、かつて称賛された「日本的経営」の功罪を見極め、今あるべき組織の形を探り、企業の生産性の本質を問う。知性たちと考える資本主義の最前線。「やめられない、止まらない」欲望の行方は?閉塞感を打開する道は?毎年恒例の異色ドキュメント、2024年最新版。」

番組HPから

ここから僕の感想

 なんだけどさ。僕が完全に隠居ジジイになったせいなんだろうな、ひとっかけらも分からなかったしつまんなかったというか、夢も希望も何もなかったな。どうしちゃったんだ。いや、見ている僕の方の問題なんだろうな。

だってさ、

①今の日本経済がかろうじて戦えているのが、「舞の海戦略」、伸びている市場や商品そのものが日本製でなくなっていても、その重要な部品や製造機器なんかの分野で強い黒子的ポジションに転じている、それくらいしか製造業では強みは無い。

②ストライキをして賃上げをするという当たり前のことができない労使関係や会社への帰属意識とかなんやかや。で賃金が上がらない構造。非正規と正規雇用の分断や、大企業・中小企業の二重構造は相変わらず変わらない。女性の活用も進んでいない。いろいろ問題は分かっているのに、あんまり改善されていない。

③労働生産性を国内市場が主たる企業で上げようとしたら、経営者的には人を減らすしかない。げろげろ。(元ネスレの日本法人社長さん)

④無形資産が大事とかいって、「知財」だ「ブランド」だという議論はずっとしてきたわけで、それへの対応でも競争でも負け続けてきたわけだから。それが大事と言われても、日本経済が、それにどうしたらいいかのヒントは何も無かったよね。

番組が進んでも希望が全然ない。

 紹介されたどの日本企業の例を見ても、なんか、なんとかなりそうな感じが全然しない。

 海外の取材のデンマークのベンチャー企業がサッカーやラグビーの戦術分析用のAIカメラのハードと分析ソフトを開発生産している企業で、番組的には組織のありかたとか働き方のことを伝えたかったんだけど、僕的には業務内容自体がすんごい楽しそうっていうところだけ面白かったけど。でも、海外の事例だし。

 

だから、見ながら全然関係ないことを考えてしまった。

 なんか、元旦から大地震があったので思うのだけれど。ここからはもう番組とは本当に全然関係ないことを書くけれど。

 いや、つまり、普通に日本企業の個別努力に期待しても、岸田政権の「新しい資本主義」に期待しても、なんか無理な感じしかしなかったので書くわけだが。

 ふわふわした「新しい資本主義」とか、欧米や中国韓国台湾の分析後追いをしても追いつけそうになんてないのだから、日本は、日本がこれから直面が予想される国家的危機への対応策に、官民挙げて、イノベーションのための投資を集中する。それだけを、具体的目標を設定して、期限も設定して、それだけやる、くらいのことをしたらいいんじゃないの。と思う。

 元旦からの地震と津波。能登半島の先の方と言う、深刻な被害地域がごく狭く限定されていて、残りの日本のほとんどが無事、という地震と津波だったのだ。それなのに、被災地へのアクセスが陸路寸断、港、津波と隆起で被害甚大、ヘリコプターなど空路も当初、諸事象でいろいろ難しかったために救援支援がいろいろ大変だった。いや、今も現在進行形で大変なわけだ。被災したエリア人口は数十万人、新潟富山の沿岸部被害が酷かった地域人口を足しても、100万~200万人くらいの人口規模だと思う。それに対して支援する無傷だった支援側人口は1億2000万人。それでもこんだけ大変なのだよね、災害の救援支援活動って。

 それに対して。今後20年以内くらいで予想される東南海地震とか富士山噴火とか首都圏直下とかの、「被害地域が日本の主要地域で、被災地域人口や範囲の方が救援する方より多い、大きい、」みたいな天災が起きる可能性がけっこうあるわけ。

 あれだけ広域で被害のあった東日本大震災でさえ、実は東北地方って総人口1000万人くらいなわけで、1億1000~2000万人は東北以外に住んでいるわけだ。「被災者人口<支援救援者人口」ではあったわけだ。それでもあんだけ大変だったのだな。

 それが、東南海地震とか首都圏地震とか富士山大噴火だと、被災者、被災エリア人口が3000万人とか4000万人とか、そういう話になるわけだ。誰も助けに来てくれないというか、助けに来てくれる人より被災者が圧倒的に多いという絶望的な状況が出現する可能性が結構、あるのだ。

 もう、ほんとに、助けに来てくれる自衛隊も全然足りない。今までの震災だと自衛隊さんが給水も食料も電気もお風呂なんかも支援しに来てくれたのだが、そういうのが絶対無理、そういうことをしてくれた自衛隊さんは数が足りなくて全然助けが来ない被災地だらけになる。そういう天災が襲ってくる可能性が高いわけだ。

 だから、それを想定して、「トイレ・お風呂・・水循環再生システム」とか「道路や橋など交通インフラ復旧ロボット」とか「物資運搬大型ドローンの非常時支援物資配送インフラ」とか、自律してしばらく踏ん張れるような機器・システムを開発して各自治体もれなく配備、自衛隊支援なしに回るようにしないとダメだと思うのだよな。

 今回の能登震災で「あったらよかったのに」とか「自衛隊が助けてくれてありがたかったけれど、もし自衛隊がいなかったらやばかったこと」とかをイノベーション課題に設定すればいいと思うのだよな。リュックに大量に支援物資を担いで自衛隊レンジャーの人が徒歩で孤立集落に物資を届けてくれたんだけれど、ああいうことができるロボットとか。(アメリカのボストンダイナミクスの犬型と人型のロボットみたいなやつ)とかも必要だよな。

 そういうのを、「首都圏から東南海地震で被災者人口>支援・救援者人口になった時に必要な具体的な技術・機器・装備」ということで、具体的テーマと時間目標もはっきりと区切って、本気でやったらどうなんだろうな。

 もうひとつの不可避な課題は超少子高齢化で「介護が必要な人口>介護労働者」になるのも確実なわけだ。

 これ、ロボットとか技術開発、まさにイノベーションがなきゃ無理じゃん。移民なんて来てくれないよ、貧乏になった日本に。具体的に言えば、トイレと入浴をほぼ自動化できるようなロボットや技術(前にも書いたトイレに住むシステムみたいなやつ)とか、もうすこし情緒的な意味での介護機能としては、AIとロボット技術とで「思い出話やなんかを上手に聞いて、それにまつわる思い出アーカイブを出したり、家族になりかわって話し相手する」とか、そういうの。「人間じゃなきゃ人間はケアはできない」とか古くさいこと言っていないで、もう単純な人口比の問題でできなくなるのだから、本気で「無人ロボットAI介護」を目指すイノベーションをしなきゃ、もたないだろう。この国。これからの介護労働者は全員「介護イノベーション」開発者でもあるという形で仕事の中身も「介護労働&開発イノベーションプロジェクト」みたいな形で開発技術者としての給与体系に格上げしていくとかとか。なんか、「リスキリング」とかいって「お前ら、新しい仕事に移るために、新しいこと勉強しろ」っていうのって嫌なんだよな。すごく嫌。それより、「あなたの知見を、イノベーションにつなげるプロジェクトに参加してください」ということで本当の介護の難しさを知っている人がイノベーションの中心になるような仕組みを作るのがいいように思うんだけどな。

 災害対策イノベーションと老人介護イノベーション、これを自国の危機に間に合うように本気でやれば、それがその後で輸出産業になると思うんだよな。

 ふつうの世界の最先端分野、GAFAMだのイーロンマスクだのがやっているようなメジャー分野のイノベーションで、今から日本が追いかけて米中に追いつけるとはとても思えない。つまり、労働生産性も、欧米並みに上がるわけないし、中国や韓国や台湾との競争に勝てるとも思えないんだよな。今日の番組を見る限り。

 そうだとしたら、別に欧米に勝つことも中国韓国台湾と張り合うこともしなくていいから、自国の、どう考えても今後20年~30年直面することが確実な、絶望的な危機、しかも単純に、人口比の問題としてイノベーションなしには絶望的状況、地獄といってもいい状況到来が確実な①震災天災問題「被災者>救助者」②超少子高齢化者社会「介護を必要とする人>介護する人」という問題だけに集中して、「官民挙げて、お金も人も集中してイノベーションに取り組む」って割り切ったほうがいいと思うのだよな。

 というようなことは番組では一切、触れていません。僕が妄想したことでした。

 そういう危機意識と無関係に「労働生産性をどう上げるか」「日本のカイシャはどう変わるべきか」なんていうふわふわしたことをいくら議論しても、何にも解決しそうもないなあ、というのが、今年の「欲望の資本主義」を見ての感想でした。いや、今回は、ほんとにつまんなかったな。このシリーズ、結構、今まで、面白かったし、好きだったんだけど。


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