ウクライナへのロシア侵攻中のFacebook投稿保存 3/20 分 単独投稿と重複しててますが。コメント補足や後の投稿との流れが分かるよう。


3月20日 16:37 ·
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いきりたって興奮状態になっている人には、何を言っても届かないと思いつつ、
「現実的に」ではなく、「原理的に」日本が取りうる立場、日本が取るべき振る舞いについての議論をします。
 この前、「白か黒か、善か悪か、ではなく、せめてグーチョキパー、3つの異なる立場ががありうる、と考えましょう」ということを書きましたよね。
 それから、「米英」と「独仏」はだいぶ利害が違う、ということも書きました。「トルコ」もまただいぶ利害が違う。「インド」も違うし、「中国」も違うと書いてきた。利害が違うから、振る舞いも、果たそうとする役割も違う。善悪ではなく、国益の違いから、選択する役割や行動が違うのが、国際政治です。
そういうことを、一回、総整理してみましょう。
 反ロシア度合いの強い国から、から親ロシア度の強い国までを、主要な国を順に並べてみると
①最も対ロシア強硬派。
米(+ジョージアなどロシアと敵対・戦争状態の国)→「バルト三国」→「英」→「ポーランドチェコなど旧ソ連時代にソ連に特に痛い目にあい、NATO、EUに早期に加盟した東欧国」
ここまでが「できれば一気に打倒プーチン政権」「そのためには戦争続行派」だと思います。早期に停戦から和平になって、プーチン政権が安定して生き残ることを許せないのはここまでの国だと思います。
②米英にやむなく同調しつつも、プーチン・ロシアと早期に停戦する努力を目指している国。
→「独仏」EU中心国
→「スウェーデン・フィンランド」EU加盟、NATO非加盟国、軍事的にロシアを刺激したくない国
③ぎりぎり米国NATO側に足をかけつつ、ほぼ中立の立場で、ロシア・ウクライナに対しても中立で停戦交渉の主役を演じているトルコ
→「トルコ」NATO加盟国だがEUには入れてもらえず、ロシア・ウクライナと黒海圏で交流が深い
この②の独仏と③のトルコがずっと停戦交渉の中心になって努力を続けている国ですね。
④ややロシア寄りの中立、米英にも気を使いつつ、という立場で、軍事的には関わらず、経済的にはロシアの支えにもなろうというインド
→「インド」は、対中国では米英(豪NZカナダ)と同盟しているが、ロシアとはソ連時代から関係が深く、特に兵器体系はロシア依存。
⑤中央アジア諸国
ロシア、中国、トルコとの関係も深い。今回の戦争には関わらないようにしているが、基本的にロシア寄りの国。
→カザフスタン、ウズベキスタンなど中央アジア旧ソ連国・民族宗教的にはトルコ系・スンニ派でトルコとのきずなが深い、経済的には中国の一帯一路に依存
⑥この機会に米国の覇権国としての信用、力が低下すればいい、と傍観しいている中国
→「中国」米国に代わる覇権国家が目標。その軍事パートナーとしてロシアを利用したい。米国が困る事なら、ロシアへの経済支援も軍事支援もする。
⑦ロシアとその同盟国
→ロシアの勢力圏、完全な「同盟国」といっていい国。ベラルーシ、シリア。
考察ポイント1 米国とジョージア(とウクライナ)
「ロシア、プーチンは絶対悪。この機会にプーチン政権を倒す、倒れるまで戦わないといけない。プーチン・ロシアが生き残るような形での和平などありえない」といういちばん極端な立場。
 僕はバイデンは本音ではこう思っていると考えています。バイデン&民主党幹部&そのお友だち企業はウクライナに直接利権がある。ウクライナとジョージアは、こういう対ロシア戦略のために米国が子分にして、ロシア潰しに利用している国です。グルジアといっていたのを「ジョージア」と読み方を変えるほどの、アメリカべったりの国がジョージア。NATO加盟希望をウクライナと同時に宣言したのがジョージアですね。橋下徹氏の「逃げろ」論を激しく非難し、「ロシアに占領されたら虐殺されることが分かっていない」と言ったのも、日本在住のジョージアの方ですね。ウクライナとジョージアまでの程度で「アメリカ側」についてしまうと、隣国といえど、ウクライナは「兄弟国だ」といえど、戦争でもむちゃくちゃをするし、占領後もめちゃくちゃをする。というのは事実でしょう。
今まで僕は「米英」とひとくくりでNATOの軍事的中心二か国を語ってきましたが、英国は、バイデン民主党米国ほどの経済的利権・結びつきを、ウクライナやジョージアに持つわけではなさそうなので、ウクライナ民間人を犠牲にしてでも戦争を長期化してプーチンを倒そうというまでの「邪念」は無いのかもしれません。(本当のところは分からない。)という意味で「米」と「英」は若干、違うかも、と思います。
分析視点2 ポーランドの立場と振る舞い。
 直接的にロシアの軍事的脅威を感じているバルト三国、もしウクライナがロシア圏になったら直接軍事境界線になるポーランドも、「できれぱこの機会にプーチン政権を打倒できれば」と考えていると思います。チェコ、スロベニアという「より早く深く、NATO&EU化した旧東欧の優等生」も、そういう考えが強いように見えます。ポーランド、チェコ、スロベニアの三カ国首脳が列車でキエフに行って「NATO平和維持部隊」派遣を打診したのを「停戦から和平の助けに」と考えたのか「米国、直前にポーランドに来たカマラ・ハリスの差し金で、NATO軍をウクライナ領内に入れることで停戦交渉を妨害しようとしたのか」、私は後者なんじゃないかと思っています。
分析視点3 「インド太平洋」中国包囲網諸国は、インドのロシア寄り立ち位置で、この戦争では足並みがそろっていない。
対中国包囲網の、米英+インド、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ・日本。これ、つまりは英連邦とアメリカに、日本が加えてもらった形。この同盟は「対中国」では強固な統一的意志を持ちうるけれど、対ロシアだと、インドが脱落する。
さて、そろそろ日本の話。
端的に言って、①「プーチン倒すまで戦争続行。ウクライナ人はつらくても戦争続けろ」の米英に同調するのか ②の「独仏&トルコ」と協調して、停戦から和平に積極的に関わるのか。 ③以降の、インドや中国と同調、はありえない。それは当然ですよね。
「黒か白か」「善か悪か」ではなく、グーチョキパー、みっつの立場のどれにするか、という議論が、日本で全然起きないのは何でか?
それは日本がアメリカの属国で、テレビ新聞も米英①の立場の報道に従属しているから。
②の独仏・トルコに同調したら、という意見に対し、②と③の区別「独仏・トルコ」と「インド・中国」の立場の区別がつかず②を主張しただけで「ロシアの味方をするのか」といきり立つ人のことを「正気を失っている」と僕が言い続けているのはそういうことです。
ご理解いただけましたでしょうか。
追記
※3/3「国連総会でのロシア非難決議、反対は5カ国のみ。賛成141カ国で採決」というニュース見出しでは「世界中がロシアに反対・避難しているんだ」という印象になりますが、棄権と意志を示さずか合計47カ国。アフリカ、南アジア、東南アジア、中央アジア、中南米のかなりの国が「棄権または態度を示さず」です。
「棄権(35):アルジェリア、アンゴラ、アルメニア、バングラデシュ、ボリビア、ブルンジ、中央アフリカ、中国、コンゴ、キューバ、エル・サルバドル、赤道ギニア、インド、イラン、イラク、カザフスタン、キルギスタン、ラオス、マダガスカル、マリ、モンゴル、モザンビーク、ナミビア、ニカラグア、パキスタン、セネガル、南アフリカ、南スーダン、スリランカ、スーダン、タジキスタン、ウガンダ、タンザニア、ベトナム、ジンバブエ
意思を示さず(12):アゼルバイジャン、ブルキナファソ、エスワティニ、エチオピア、ギニア、ギニア・ビサウ、モロッコ、トーゴ、トルクメニスタン、ウズベキスタン、ベネズエラ

コメント欄補足

ゼレンスキーがプーチンに直接会う時が来た、と呼び掛けていて、それが実現するとすれば、それはトルコ、フランス、ドイツの仲介に寄るでしょう。ここに日本も協力できればいいのだが。米・バイデンは、この「両大統領直接会談」は実現させたくないのじゃないかと、僕は思う。「不利な条件で停戦するな。もう少し戦え。そうしたら、プーチンが国内で倒れる可能性が出てくる」。バイデンは中間選挙のことを考えても、ウクライナ利権のことを考えても、停戦がアメリカの手柄でなく実現するのは避けたいと考えるはず。

3月20日 18:14 ·
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伊勢崎賢治さんのツイッター。
「伊勢崎賢治@isezakikenji
停戦合意とは、プーチンにしてみればロシア国民に「敗退」と見えない、ゼレンスキーにしてみればウクライナ国民に「降伏」と見えない、そういうものに落とす双方の譲歩になります。
ゼレンスキーがNATO加盟への諦めを示唆し出したのは、「こうなったのはNATOが一緒に戦わないからだ」と最終的にウクライナ国民に譲歩への理解を求める一手ともとれ、停戦が進むいい兆候です。
とにかくウクライナ市民のこれ以上の犠牲を止めるために、停戦の早期実現の交渉を見守りましょう。」

ここから僕の感想
こういう、まったくもって理性的な判断も、
「プーチンは悪魔」というプロパガンダでいきり立った人には「悪魔は倒すしかない」「悪魔と妥協などできない」「伊勢崎はロシアの味方だ」などとなるのです。
いいですか、ロシア国内は「稚拙で見え見えのプロパガンダ」に満ちていますが、西側のメディアも、     日本のメディアも「もう少し巧妙なプロパガンダ」に満ちているのです。(BBCがいちばん上手だと思う。CNNはすこし単純)
 戦争の時と言うのは、そういうものだということを、なぜ西側の国民、日本人も学習できていないのだろうかなあ。
 ずっと、書き続けていますが、正気を取り戻しましょう。
そして、「日本政府も停戦の早期実現のために働け」という声を送りましょう。
「勝つまで市民も最後まで戦え。プーチンが国内でロシア国民に倒されるまで締め上げろ。それを応援するのがウクライナを応援だ。途中でプーチンと妥協なんてはありえない」は間違いだ、と声を上げましょう。だって、市民の死者はどんどん増えるし、国土インフラの破壊もますます進みますよ。
 停戦したら、ロシアが好き放題するぞ。破壊と殺戮と強姦と。
 いやいや、だからこそ「停戦監視団」を準備しておきましょう。
 どんな戦争でも、停戦のあとにくるのが、停戦後の混乱。そこで殺戮略奪などが起きないように停戦監視をし、停戦状態を定着されたのちに、初めて和平に向けてのプロセスが始まるのです。
 「市民への暴力が起きない」「それぞれの地域で(ウクライナは異なる文化・言語・宗教背景の地域が寄せ集まったモザイク状の国家)の人も、暴力や弾圧を受けない」、そういう活動に、日本としてできる貢献、支援を考えましょう。ただし、それは次のステップです。
 まずは停戦。現在進行中の戦闘での殺戮と破壊を、まず止めるのが最優先。それには伊勢崎さんが書いている通り、どちらの指導者も国民に対して言い訳の立つ、妥協譲歩の条件交渉が必要なのです。悪魔が相手だとしても、交渉しないといけないのです。

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