ソロ・ギターなのに、歌声が、歌詞までが聞こえてくる。西村ケントくんが、Lean on meで、伝えている。「こんなときは、僕を頼ってくれよ。」

ここ最近、僕がいちばん熱心に、と言うか、
一日中、ずっと聞いているギタリストの西村ケントくん。
毎週一本のYouTube動画をアップしてくれます。
今週は、こういうメッセージとともに、
「Bill Withers, one of the most greatest singer-songwriters and musicians, passed away on March 30, 2020.
I originally arranged this song which was written by him in 1972 and am pleased to dedicate this to him. R.I.P.」
ビル・ウィザースの`Lean on me`という曲を弾いています。

ケントくんの演奏だけでなく、原曲のYouTube、スタジオ録音盤と、ライブ盤。そして、歌詞と対訳を紹介しているページをリンクしておきます。

「みんなが頼る誰かを探している
そんなときは、僕を頼ってくれよ。」

著作権のことがよくわからないから、
そのまんまは載せないけれど
そういう意味の、歌詞です。

天才ギタリストであるとはいえ、日本人の高校生の17歳の男の子が
この曲を、おそらくビル・ウィザースの死を知ってからの、わずか一週間で
この曲の歌詞を読みこんで、今、この曲を演奏する意味を考えて、
そして、原曲を聞きこんで、シンプルな構成の曲の中でも
その魅力、聞かせどころ(この曲で言えば、やはりサビの、ベースのスライドする部分ですよね)をしっかり工夫したアレンジを仕上げて
こうやって、アップする。

そのことを考えると、いまどきの女子的な言い方をするならば(うちの大学生の娘がよく言いますが)「尊い!!」うん、本当に、その尊さに涙が出てきます。

世界中の、コロナウイルスで家に閉じ込められている人たちが
ビル・ウィザースの死を悼んでいる人たちが
ケントくんの、この演奏を聴いて、
ある人は涙を流し
また、ある人は勇気づけられています。

原曲を愛して、聞きこんだ人にだけ起きる奇跡があります。

 ケントくんのギターを聴くと、「歌詞が聞こえてくる」というコメントが、この曲だけではなく、ケントくんの、いろいろなYouTube動画のコメント欄に寄せられます。

 曲全体、伴奏パートについて、原曲の再現度があまりに高いために、人の記憶の中にある、歌声が、歌詞が呼び起こされる、ということかなあ、と思いましたが。いや、それだけではない。ボーカルパートについて、本当に歌っているように、こまかなニュアンスで、一度目と二度目の、Aメロのわずかな歌い方の違い。一度目のサビ、二度目のサビからフェイクに至る、歌詞の譜割の違い。そのときの声の響き、カスレやハリ方まで、ギターで表現しようとする。

 フィンガーピッキング・ソロギタリストは数多くいますが、このことに、これほどの集中力と注意と工夫で取り組んでいる人は、他にいないと、断言できます。

ケントくんの演奏はこちら。

Lean On Me - Bill Withers - Fingerstyle Guitar(Kent Nishimura)

ビル・ウィザース 原曲は

Lean on Me

ライブ版は

Bill Withers - Lean On Me (1973 live)


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