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紫陽花の珠がほどけてきらきらの蕊が地球を芯から照らす 鶯がまた口ずさむ六月のアリアに森の声が重なる 龍の庭にプラスチックの遺物あり ヒトは何処でもピクニックする QRコードが埋め込まれた青葉たまに雀も読み込んでゆく ウイルスの生きのびかたを称えつつ新たなランナーとすれちがう 世界がずっとくだりだったらいいのにね 坂道を降りきって夕風 青梅雨の死が近づいてくるようなやさしい音に触れつつ、前へ
題詠〈雛〉 この世へと生(あ)れ来る前の雛の棲む卵の中のちいさな宇宙 転生を繰りかえすたび草臥れてゆくたましいを滌(すす)いで翠雨 こころの生ぶ毛をそっとなぞって火のようなあなたの深みに触れる 言葉で