マガジンのカバー画像

自作短歌一覧

42
noteで公開済みの自作短歌をまとめました。
運営しているクリエイター

2020年5月の記事一覧

【連作短歌】踏まれた薔薇

殺意閃くさくらばな殺す側にわたしはきっとなれないでしょう      * 心臓が裂かれる音をきいていた箱庭の薔薇踏みしだかれて 花には花の痛みがあってこの夜も誰かが水の包帯を巻く 花の文字、薔薇の言葉を解さないヒトらの靴の裏で花片は どの薔薇も怯えたように目を伏せて内なる空を吸い込んでいる 怒りには土を かなしみには海を 溶けない痛みには月の瞳(め)を 知りすぎたたましいはもうぼろぼろで焼けたベンチに凭れて祈る 薔薇を踏むヒトのこころは歌えない踏まれた痛みしかう

【短歌】むらさきの

むらさきの屍体散らばるように花あえなく果てて桐の樹の夏