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自作短歌一覧

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noteで公開済みの自作短歌をまとめました。
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2019年2月の記事一覧

【連作短歌】交換/交感/交歓

液晶の窓をひらいてこの国にひしめく鳥の囀りをきく 現実(リアル)では出逢えなかった君や君と不意につながる文字列(テクスト)の波 暗号を解く鍵もまた暗号で送るしかなくて捩(もじ)れる文字が チューナーを君の周波に合わせたら ぼくはいま変声期のVOC@LOID(ボカロ) 世を憂う君の本気のラブレター賞味期限はわずか一日 閉ざされた文字列(テクスト)の交換でしか通じ合えないぼくらの回路 きょうはずっと寝ていたいから恋人の電源を切る すっごい便利 壊れてる ぼくたちみん

【連作短歌】 時間製造工場

いつの間にやらつぶれた店の跡地にはどこもかしこもセブンイレブン この国の時間を赤く塗りつぶす工場としてコンビニは建つ コンビニの本体よりも駐車場がだだっぴろくて暮れる郊外 クレジットカードを持たぬ大都市の貧者のためにFamiポートあり レジの人の笑顔に負けないやさしさでお釣りを受け取る右手が愛 通販の料金支払い終えてすぐコンビニを出る。嫌な客だろう 時間よりお金が大事。お金より時間が大事。あなたはどっち? 眠れない町眠らない夜に棲み闇は私をもう愛さない (初出

【連作短歌】 チョコレート大博覧会

※チョコレートを愛するすべての女性に贈ります。 ショコラトリーひしめく二月の博覧会 人、人、人の瞳(め)は弾んでる 折れそうな自分のためにチョコを買うおんなのひとはみんなかわいい いきたくてたどりつけない迷宮の壁の向こうのラ・メゾン・デュ・ショコラ わたしもうこんなショコラに囲まれてからだの水が沸騰しそう BL(ボーイズラブ)のいちばん熱いシーンでもつめたいわたし、なのにショコラは 稀少種のカカオを栽培する人の胃には届かぬタブレット苦し 深夜、2ちゃんねるで。シ

【連作短歌】 働くことは尊い

労働と称するしずかな戦争に破れて散ったあの子も私も 息をするだけでお金が減っていく家賃年金健康保険 病院で支払う医療費分さえも稼ぐ力がなくて死にたい 生命力ゼロの私が働けば経済効果はさらにマイナス 社会とは働く人のものである——私に社会は存在しない いなくてもいい存在である僕のために働く医師は尊い (ISの戦闘員となることも就職先の一つではある) 労働に駆り立てられて倒れても倒れてもまた駆り立てられて (初出:「かばん」2017年5月号) ◎自作解説: ht