![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/112168312/rectangle_large_type_2_09f83272e615e4f656738220b262eb7b.jpeg?width=800)
これほど楽しい展覧会は久しぶり!「デイヴィッド・ホックニー展」
東京都現代美術館で開催されている「デイヴィッド・ホックニー展 2023年7月15日(土)~11月5日(日)」に行ってきた。
![](https://assets.st-note.com/img/1690791579360-2xxmWc6OTh.jpg?width=800)
ホックニーらしい不思議な遠近感。
スプリンクラーやプールをモチーフとした初期の代表作から、フォトコラージュ、iPADで描いた絵画まで、デイヴィッド・ホックニーの全貌を見ることができる。
今年一番開催が待ち遠しかった展覧会だった。結論から言うと期待以上に素晴らしかった。
現代アートの世界ではもう「絵画」という形式はメインストリームではない。どちらかというと古臭いメディア扱いだ。そうした現代アートの大きな流れの中、「現代アートとしての絵画」とは何か、その答えの一つがここにあるように思えた。
初期の作品はパステル調のニュートラルな印象だったが、歳をとるにつれ色彩はよりビビッドになっていく。一つの線、色彩のバランス、全て抜群にセンスがいい。ホックニーのアートは、芸術制度への異議申し立てもない、社会への提言もない、ただの「絵画」だ。しかし、ピカソ、マチスなど近代絵画の巨人たちが作り上げてきたものの延長線上にありながらも、全く新しい表現を構築している、紛れもなく現代アートだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1690791610880-W4pYOt3SNj.jpg?width=800)
![](https://assets.st-note.com/img/1690791650233-SzATRJXDuK.jpg?width=800)
![](https://assets.st-note.com/img/1690791622360-trwVQRAXna.jpg?width=800)
初期の二人の人物が描かれた絵画は、二人の人物の間の関係が遮断されているかのように一人一人の存在が際立っている。
プールやスプリンクラーの表現はモダンな葛飾北斎のようだ。ディフォルメされているにもかかわらず、よりリアルを感じる。
後期の植物を描いた巨大な作品群は、ホックニーの眼を通して再構築された「自然」が、音楽のような心地よいリズムを響かせている。
いずれも、描くこと、そして観ることの喜びに満ちた素晴らしい作品だった。
コンセプト重視の現代アートの世界において、絵画という手法で60年以上トップランナーであり続けること自体が稀有なことに違いない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?