ドイツ人の現金好きはコロナで変わる?

コロナとドイツ人の現金好き

コロナウイルスの影響で現金好きだったドイツ人の消費行動が大きく変わっているという。 

近年、Apple Payのようなオンラインやモバイル決済システムが浸透してきているが、ドイツの多くの企業の小売オーナーや消費者にとっては、現金での支払いがもっとも好まれてきた。これは特に、街角の小規模店舗や近所のレストランにおいて特に顕著だ。

ドイツ人の現金信仰の理由:貯蓄文化

ドイツ人が現金を好むのは、BBCの記事によるとドイツの貯蓄習慣が関係しているという。ドイツでの「カード決済」とは、いまだにデビットカードのことであり、ドイツ式の「クレジットカード」は、長期的な債務は発生せず、翌月には残高を全額利用者の銀行口座から差し引かれるものが一般的である。ドイツ人は目に見えない状態でお金を保有・管理することに関してかなり抵抗感が強い。カードで支払いをすませるより、定期的に銀行から現金を引き出し、一定期間は引き出した現金以外の消費を行わないことで結果消費が抑制され貯蓄がたまる。そんな貯蓄習慣がドイツ人の現金志向に大きな影響を与えている。なんならドイツ人は銀行にお金を預けている状態も好ましいものだとは感じていない。経済危機のときはドイツの銀行の預金残高は下がる傾向にあり、実際コロナウイルスの影響でEU主要国のなかで唯一、銀行貯蓄残高が大幅に減少した。(他の国ではむしろ上昇している)

ヨーロッパで突出した現金好き

近年、ドイツの支払い事情はどうだろうか?2017年、消費者の支払いを追跡しているブンデスバンクの調査では、習慣の変化は緩やかではあるが着実に進んでいると指摘している。しかしドイツ人の88%が今後も現金を使い続けたいと考えていることが示された。同じ調査では、ドイツ人は平均107ユーロ(116ドル、95ポンド)を財布に入れていることがわかった。

ドイツでは、レストランへの訪問や食料品の購入は、ヨーロッパの平均の2倍以上の頻度で現金で支払われているという。
ケルンに拠点を置くEHI Retail Instituteが報告したところによると、店舗でのカード決済が初めて金額で現金決済を上回ったのは2018年のことで、その割合はカード48.6%、現金48.3%だった。しかし、小売取引の76%ではまだ現金が使用されており、小額の買い物が依然として圧倒的に多い。"ドイツでは、レストランの訪問や食料品の購入は、ヨーロッパ平均の2倍以上の頻度で現金で支払われていると、ボストンコンサルティンググループの専門家ホルガー・ザクセン氏は2018年にThe Localに語っている。

コロナの影響

ドイツの決済システム・イニシアチブが最近行った別の調査によると、ドイツ人の57%がデビットカードやクレジットカードをパンデミック前よりも多く使用しており、ほぼ半数が現金の使用を「大幅に減らした」ことが明らかになった。チャレンジャーバンクのN26のハウアー氏によると、ドイツのロックダウンの最初の1ヶ月間、銀行は前月に比べてATMからの引き出しが56%減少したという。

https://www.bbc.com/worklife/article/20200520-will-coronavirus-change-germans-love-of-cash



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