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イタリア、あれよあれよの間に青の洞窟行の船に乗せられて

ずいぶんと前の話。
大学3年生の冬の終わり、ユーレイルユースパスを持って、

ヨーロッパ+トルコのイスタンブールを旅行した。
オランダのKLMを利用したのでオランダからヨーロッパに入り、
ポルトガルのリスボンにまずは移動。
ポルトガルから東に向かい、最終的にイスタンブール到着を目指した。

何か国か移動し、イタリアに立ち寄った。
ミラノ→ローマを経由してナポリに向かった。
ナポリに一泊して、ナポリを観光するはずだった。

朝羅馬駅を出発した電車はナポリ駅に到着。
駅でバスの乗り方を調べていると、
地元のおじさんから
「とにかく港に行くんだ」
すごい勢いでまくしたてられた。

勢いに気おされて、よくわからないままに船着き場行きの船に乗った。
船着き場に着くと、船員さんにもせかされた。

「急いで、船が出向するから。
今日は2週間ぶりに青の洞窟によることができるんだ」
とのこと。

青の洞窟のことは名前に聞いて、その存在は知っていた。
しかし特に興味は持っていなかった。

「まあいいかあ、行ってみようかな。
よくわからないけれど(危なくなさそうだし)」

と言うのも(殺気っだったように感じた)
船から降りるのも面倒なこともあった。
呆然としている間に、あれよあれよと話は進んだ。

船に乗ると、間もなく出航。
カプリ島を目指し船は走る。

途中、スピードを落とし船は岸壁を目指す。
ゆるゆると船が進み始めると、岩場からぱっくりと口をあけている場所がある。
そこが目的地のようだ。

岩の裂け目を目指して、船は吸いこまれるように進む。
中に入ると静かな空間とともに、急に周りが青くなった。

「なるほど、だから青の洞窟なんだ」

自分たちが青い空間の中に放り出された不思議な感覚を味わう。
夏場だと、このまま海に飛び込んでぷかぷかと浮かぶ人もいるそうな。

さすがに冬の終わりのこの時期、そんな人はいなかった。
半時間近く、青の洞窟に滞在。

再び洞窟を出て船は進む。

洞窟を出てカプリの港に向かう途中、同じ船に乗っていた男性に話しかけられた。
学生らしい彼曰く、
「青の洞窟が見たくて2週間近くナポリに滞在し、タイミングを待った。
ようやく今日見ることができた」とのこと。

私はナポリ駅で流されるままにここに来たことを伝えた。
「それは非常にラッキーだよ」と返された。

話によると冬場は海があれる日が多い。
天気が良くても洞窟に近づけないこともあるそうな。

思いがけないプレゼントを貰った気分だな。
ナポリ観光はできなかったけれど、またいつかの楽しみに。

そう思いながら、ずいぶん時間が経つ。
「ナポリを見て死ね」

そのセリフを呟きながら、かの地を再訪できる日を待つ。
いつのことになるのだろうか・・・。

※注意:冒頭の地図はGoogleMapsより引用。

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