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ブルガリア発モスクワ行きの国際列車、シャワールームで見た人生初の光景

今から13年前の2008年の夏の終わり、所用でセルビアに行く機会があった。
当初はセルビアからドイツを経由して日本に帰国する予定だった。

しかし急にルーマニア北部にあるスチャバの町に行きたくなった。
通常、スチャバに行く場合、ルーマニアの首都ブカレストで列車を乗り換える必要がある。
しかし夏場はブルガリアの首都ソフィアから乗り換えなしでスチャバまで行くことができるらしい。。

しかもセルビアの首都ベオグラードからブルガリアの首都ソフィアへは夜行の国際列車で一晩あれば到着するようだ。
せっかくの機会を活かすべく、セルビアから夜行列車に乗って、ブルガリアの首都ソフィアに向かった。

ソフィアについてから急いでスチャバ行きのチケット売り場を探した。
と言うのも各々の列車の運行会社が異なるため、まとめてチケットを買うことができない。
オンラインで購入なんて夢のまた夢の時代の話である(わずか10年ぐらい前なのだけれど)。

人に尋ねながらスチャバ行きのチケットを購入。
出発はその日の夜19時過ぎだった。
時間が来るまでソフィアの町をぶらぶらしてから、ソフィア駅に戻ってくる。
そして国際列車の出発ホームに向かい、乗車する。

私が予約したのは2人部屋のコンパートメント(個室)。
この時点で誰もいない。
定刻に列車は出発。
まずはルーマニアに向かう。

ブルガリアを出国する国境の手前の駅から、同じ部屋の女性が乗車。
挨拶を交わす。

夜のとばりが降りた国境に向かい列車は走る。
夜中過ぎに国境の駅に到着。
出入国の手続きのために係員が乗車してきてパスポートをチェック。
難なく終了。

ちなみに、この時利用した国際列車は3泊4日でモスクワに到着予定。。
私の目指すルーマニア北部の町スチャバには、翌日の昼頃到着予定。

昨日に引き続き、今日も寝台特急で眠りについた。
朝明るくなって目覚める。

同室の女性と目が合ったので挨拶をする。
少し話をすると彼女はブルガリアに住むウクライナ人とわかった。
彼女が話す言葉はブルガリア語とロシア語。

私は英語と、ごくわずかなブルガリア語の単語がわかるのみ。

残念ながら会話は成立しない。

朝ご飯を済ませてから、車窓から過ぎゆく風景をぼんやりと眺めていた。

途中、トイレに行きたくなった。
トイレのドアをノックすると使用中。
少し待ってみるが終わりそうな気配がない。

仕方がないので一度部屋(コンパートメント)に戻り、時間をおいて出直した。
再びノックをしても気配はない。

ドアを触ると、鍵がかかったいないのでドアが開く。
恐る恐るドアを開けたみた。

するとドアの向こうには人がいたのである。

しかも背中をこちら(ドアの方に)に向けて。
その背中を見ると、タテガミのように灰色の毛が背骨の辺りにぎっしりと生えていた。
まるでオオカミみたいに。

思わず声をあげそうになったが、頑張って声を押さえた。

この列車のトイレには、シャワールームが併設されていることを、後から知った(トイレを使ったときに)。

そのシャワーを使っていたようである。
それならそれで鍵をかければいいのに。

それにしても背中にあんなに毛が生えているのを見たのは初めてである。
(日本人で背中に毛がびっしりとと言う人はあまりいないと思うのだが)
時折、胸毛が生えている人を見ることはあるのだけれど。

私は戸を閉めてトイレを去り、廊下を歩いて部屋(コンパートメント)に戻った。

しばらくするとシャワーを浴びていた主が部屋に入ってきた。
シャワーを浴びていたのは、列車の車掌だった。
乗車券の確認用ようだ。

いやいや、びっくりしたな。
部屋に入ってきた車掌と目をあわせられなかった。

※注意:冒頭の地図はGoogleMapsから引用。

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