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チリ、やさしさの向こう側から見守る聖フランシスコ・ザビエル像

一昨年の2019年ゴールデンウィークにチリに旅行に行ったときの話。
チリ旅行の最終日、出発まで首都サンティアゴの町をぶらぶらしていた。

サンティアゴの町で気になっていたのは、メトロポリタン大聖堂。
町の中心であるアルマス広場に面して建つ、チリのカトリックの総本山。

なぜ、こちらの大聖堂に興味を持ったかと言えば、
・チリが軍事政権だった頃、弾圧に立ち向かった拠点だった。
・の大聖堂の中に聖フランシスコザビエルの像がある。

大聖堂の中に入る。
荘厳な空気に包まれおり、細部まで美しい。

聖堂内をひととおり歩いて聖フランシスコザビエルの木造を探したが見つからない。
キョロキョロしているとボランティアスタッフの名札を付けた女性が通りかかる。

「聖フランシスコザビエルの木像はどこにありますか?」と尋ねる。
祭壇の近くにあるそうだ。

ただし、この時間だと(11時前)ミサの準備のため、祭壇には近づけない。
15時過ぎに、もう一度来るとミサが終わっているので見ることができるようだ。

残念ながら帰りの飛行機のこともあり、遅くとも14時にはサンティアゴの町を出発する必要があった。

その旨を先ほどの女性に説明した。
加えて畳みかけるように、

「聖フランシスコザビエルは日本にカトリックをもたらした方。
日本の教科書に載っており、キリスト教信者でなくても多くの日本人は知っている」と話した。

すると女性は教会の関係者のところに向かい話しを始めた。

10分ぐらい待っていると話が終わった彼女は戻ってきた。

「少しなら祭壇に近づいて木像を見てきてもかわない。だけど急いでみてきてね」とのこと。

ありがたい。

ささっと祭壇に近づき聖フランシスコザビエル像に向かった。

ザビエルの木像を見てから、挨拶をするように手を組みうつむいた。
それから急ぎ彼女のところに戻った。

戻ってから彼女の胸元にある名札をを見ると、「パオラ」と書いてあった。

「ありがとう、パオラ。あなたのおかげで心置きなく日本に戻ることができる。遠く日本の地に宣教に来て、そしてアジアで亡くなった聖人を偲びながら」と伝えた。

聖フランシスコザビエルの木像を見ることができた以上にうれしかったことは、
・彼女の親切と熱意が、教会関係者を動かしてくれたこと。
・近づくことは無理だと思っていた木像に近づけたこと。

ありがとう、パオラ。
あなたにあったおかげで、サンティアゴの町が、そしてチリがますます好きになった。
いつか再訪できる日を願いつつ、空港行きのバスに乗り、サンティアゴの町を離れた。

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