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青春病
私の夢によく出てくる人物がいる。
さっちゃんとよっちゃんという双子の姉妹だ。
彼女たちとは小学校から中学校までの9年間同級生だった。
美少女というほどではないものの、どちらも可愛らしい見た目で加えて何かと器用な姉妹だった。
運動神経抜群で、運動会ではいつもリレー走者に二人とも選ばれていたし、バスケ部ではどちらもレギュラーメンバーでエースだった(エースってチームに二人いてもいいの?)。
小学生中学生なんて、大体そこそこ可愛くてスポーツができれば人気者だが、それだけでなく勉強も満遍なくできた。おまけに芸術的なセンスもあって、写生大会や年始の書き初め大会ではいつも二人揃って入賞していた。
さっちゃんとよっちゃんは、当然のように学年の人気者だった。
いつも男の子に告白されていたし、女の子たちの遊びの中心にいた。
「さっちゃんとよっちゃんのようになりたい」と思っていた。
「双子」というものへの憧れもすごかったのを覚えている。「双子」はずるいとも思っていた。
同じように勉強や運動ができても、双子のほうが得だ。どちらかだけの手柄だとしても、いつもセットで話題になって、みんなから褒められる。
中学を卒業して、東京の高校に進学したわたしは、その後当時の同級生たちとは疎遠になっていたが、24、5歳の頃に始めたFacebookで彼女たちとつながった。
二人とも高校、大学とその後も田舎から離れていないようで、それから2〜3年以内に結婚し、子供を産み、大きな家を建て、幸せな家庭を築いている。
田舎で一生を終える幸せな陽キャの典型である。
そんな二人が昨日もわたしの夢に出てきた・・・。
なんの呪いなのか、とくにこの3年間くらいものすごい頻度で登場する。
32にもなって彼氏の一人もできない。
かといって、アプリを始める勇気もない。
平日は好きでもない仕事に追われ、休日は一人行きつけのカフェでヌボーとカフェラテを飲みながら、青春の傷をほじくりかえす。
ああ、虚しい。
さっちゃんとよっちゃんは、わたしが今のじぶんを否定するたびに夢に現れる。
今の自分に自信がないと、青春時代の憧れの的たちが夢の中で蘇り、ざわざわと私の心を掻き立てるのだ・・・この現象・・・。
藤井風の曲じゃないけど、まさに「青春病」だ。
さっちゃんとよっちゃんが、わたしの夢から消えてくれる日はくるだろうか。
わたしなりの幸せを見つけて、目前でキラキラと輝いている双子の幻影を追わなくて済むようになる。そんな日はくるだろうか。
どうかきてくれ・・・。
切実に。
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