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大工さん五十余年木造住宅だけじゃない第3章


R6年3月17日
 しばらく開けてしまいました。
箱物の木工事も単純な材料・作業・加工はスチールやアルミの既製品に代わって大工の仕事は納まり(キッチリと調和のとれた形状)の難しい部分(現場に合わせて加工取付)ばかりで仕事量も激減して現場を何カ所も掛け持ちする状態になったのです。
 この状態では職人(従業員)の労働時間は長くなり経費が増して採算が取れなくなってきたのですね、その頃友人の紹介で地元では少し奇抜な住宅設計施工の会社の下請けとしての仕事をしてくれないかと紹介されたのです、2年前(36歳の時)に私の親友の住宅・雪国耐雪型住宅を設計と施工したことが何か伝わっていたようで耐雪型住宅をすることになったのです。
 この会社の住宅設計は私たちが今まで経験したことのないカタチであったり構造や内装は今までの住宅環境とは違ったものでした、構造表し(あらわし)・間取りも空間をうまく組立て当時の一般住宅とは一味違った木造住宅だったのです。
 一般住宅では構造材は和室柱を除いて隠蔽し、見える部分は節のない造作部材できれいに仕上げるのですが・・・
 構造表しとなると木材の節(ふし)や色の違う年輪は当然表面に出てきます、それがまた施主さんにうける(節のない木は不思議という考え方)なるほど・・・
 この頃まだプレーカットなど一部で普及し始めたばかりで特殊な加工は大工の腕の見せ所でした、私も職人たちも採算度外視で1棟目をやることにしたのです、さて仕事にとりかかってみるとなかなか緊張感もあり加工・建て方・造作と手間のかかることや難しい仕口(構造材の接合部)を加工する面白さにこういう仕事もいいかもと思うようになりました。
 現場を訪れる施主さんが他の家と違う大きな構造材の木組を見て感激して帰られるのを見て私たちも木造住宅に対する考え方を変える時がきたとおもうようになったのです。

 この次は雪国特有の高床式木造住宅(耐雪型・融雪型・落雪型)について回想します。

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