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MAPを作ったきっかけ

わたしは益子陶器市が大好きです。
どういうところが好きか、どのくらい好きか、そんな質問をされたらなんと答えたらいいか…。言葉では表せないくらい好きです。

普段からしょっちゅう益子を訪れているのですが、陶器市はやっぱり特別です。陶器市期間中、MAXで6日間通ったことがあります。共販センター裏の駐車場に車を停めたら、わくわくが止まらなくて武者震いしたことがあります。遺跡広場に向かう道すがら、嬉しさがこみ上げてひっそり泣いたことがあります。

兎にも角にも、益子陶器市を心から楽しみに生きています。
そんなわたしに、あるとき転機が訪れました。

2013年秋。わたしは持病の治療中で床に伏せることが多く、愛犬も闘病中で看病の日々。にっちもさっちも行かず、八方塞がりでした。益子陶器市に行くことも断念せざるを得ない状況になり、ショックで余計に具合が悪くなりそうでした。

わたしはずっとほぼ1人で陶器市に行っていましたが、あるときから益子陶器市に一緒に行ってくれる友人ができました。同じ温度で楽しんでくれるので非常に楽しく、とても有り難い存在となりました。

彼女は東京都在住。益子へのアクセスが良いとは言い難い場所に住んでいたので、いつもJR宇都宮駅まで電車で来てもらい、そこからわたしの車で一緒に益子に行っていました。

そのため、わたしが陶器市を断念すると彼女も道連れになってしまい申し訳ないな…と思いつつその旨を伝えると、彼女はこう言いました。

「ひとりでがんばって行ってみる!」

その言葉に、スマホを持つ手が震えるくらい感動しました。
彼女は本当に本当に益子陶器市が好きなんだ!ワーーー!神様!と。
うすうすわかってはいたけど、しっかりと再確認することとなりました。

その時、わたしは心に誓いました。
彼女が道に迷わないように、益子陶器市MAPを作ろう!と。

最初はとても簡単なMAPでした。
益子駅と、彼女が好きな作家さんの出店場所数ヶ所と、トイレと、ポークステーキのおいしい古陶里という洋食屋さんが載っているだけ。
彼女は遠路はるばる益子まで自力で辿り着き、作家さんのテントを渡り歩き、良きポイントのトイレに入り、肉を食べ、その都度連絡をくれました。なんだか私も陶器市に行けたような気になって、元気が出たのを覚えています。

夕方にまで楽しんだのを見届け、気をつけて帰ってね!というやりとりをした数十分後、わたしの家のチャイムが鳴りました。

ピンポーン。

ドアを開けると、そこには益子を後にし東京に帰ったはずの彼女と、彼女をわが家まで連れてきたわたしの旧友がいました。夢でも見ているのかと思いました。驚き過ぎて、ろくなリアクションができなかったような気がします。益子陶器市でおみやげを買ってきてくれて、わたしと犬のことを気にかけてくれて…ふたりが帰ってから、嬉しさとありがたさを噛み締めながら、うおおお…と泣きました。

そんなできごとを経て、このMAPを残したい!誰かの役に立つかもしれない!立たなくてもいい!わたしの思い出だから!という思いから毎年春と秋にちまちまと追加・修正を繰り返し、現在に至ります。

看病していた愛犬は、それから数ヶ月後に天国に行ってしまったけれど、その子とも陶器市に行ったことがあるのです。思い出がいっぱい。
わたしは完治とはいかないものの、その後の陶器市をわいわい楽しめるほどになりました。陶器市がわたしに元気をくれました。

わたしのわたしによるわたしのための益子陶器市MAP。
無責任に勝手に作っているMAPだけれど、大事な大事なMAPです。