散歩した

小一時間外に出ていました。寒いかもしれないからと、厚めの上着を羽織って出ると空気が弛んでいて怖くなりました。その弛みが心地よく感じ始めた頃にわたしはどうして今、怖いと思ったのだろうと考えはじめました。久しぶりに深夜徘徊をしているからなのかとも思ったのですが、次に頭を過った夏だからという言葉があまりにもしっくりきたせいでそれ以外考えられなくなってしまいました。
夏だと思えるほど暑くはなかったのですが、空気の弛み具合が夏みたいだったから。だけど、夏という季節が怖いわけではありません。夏は何か霊的なものが動いている季節だと頭の隅の方で思っているから怖いのです。夏にはお盆があるからなのかもしれないですし、空気が弛んでいるせいで何かが動いた時に空気も一緒に動いてしまうから夏という季節は幽霊の季節なのかもしれないな、なんて考えていました。冬は空気が張り詰めているから彼等は身動きが取れないのでしょう。

わたしは昔、深夜徘徊が趣味でした。だからさっき外に出たんだと思います。久しぶりに深夜徘徊をしたというのに、懐かしいという感情は湧いてこなくてどうしてなんだろうと思いました。新しいことを始めたみたいな心の動きがあったのは、その昔に行っていた深夜徘徊を忘れてしまったからなのか。そんなはずはなく、あの時の感情をついさっきのことのように思い出せます。だったらわたしは今日を懐かしく思ってもいいのに、そうではありませんでした。多分こうなんでしょう。今は昔の延長線上にいて、昔は決して過去ではない。だから新鮮な時間を過ごしたのだと思います。

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