官能的夜楽曲３選

たまに官能的な曲を聞きたくなる。でも、イヤホンしているとはいえ、真昼間にバイトに向かう時に聞く気にはなれない。やっぱり、夜に一人で黄昏ている時に静かに聞きたい。これから寝るというタイミングにうってつけの、夜らしいミュージックと歌詞の楽曲を選んでみた。

１．あいみょん『満月の夜なら』＿瞬間的シックスセンス

あいみょんはピュアな恋心を歌うものが多い。『マリーゴールド』や『君はロックを聴かない』ほど有名ではないが、夜に聞くのにイチ押しなのが『満月の夜なら』。
恋人との初夜を迎える男の子の視点であろう。好きで好きでたまらない女の子が目の前にいる。暗闇でこちらを見つめているピンク色の顔の女の子＿＿

君のアイスクリームが溶けた
口の中でほんのりほどけた
甘い　甘い　甘い
ぬるくなったバニラ
（中略）
もしも今僕が君に触れたなら
きっと止められない最後まで
溶かして燃やして潤してあげたい

あいみょん『満月の夜なら』

「君のアイスクリーム」って何だろう。妄想を掻き立てる表現である。
詳しい歌詞は自分で聞いてもらうとして、すべてが秀逸だと思う。
二人だけの長い夜がこれから始まる高揚感、相手がこれからどうしたいのか分からないけど、やることはセックスしかないよねってことが仕草から伝わってくる。緊張、恥ずかしさで身を固くする恋人を、優しく愛の深みへ誘ってあげたい。部屋の温度が上がるのが分かる。「僕の歓びが伝わってる？満月の夜なら、君は羊で、僕は狼になっちゃうんだよ。」
官能を爽やかに静かに歌い上げる一曲。

２．Vaundy『napori』＿strobo

はい。超超超ド定番、Vaundy。彼の曲はエモいですね。ちょっとジャズ調なのがズルい。おしゃれなバーで深夜3時、好きな女の子と二人きりで飲んでいるような、そんな感覚になる。それともそれとも、深夜恋人の家に二人で向かっている途中だろうか。家の裏の路地は暗く雨に濡れている。そこを、黙って俯きながら歩く二人………。だめだ、エモすぎる。私はそんな経験、ないけれど。

ろくな音楽もなくて　
そんなひびをまた2人で
僕ら指にラブソングで
今夜も二人で歩いてこ
（中略）
当然こんな夜にはコーヒーがいいだろ
そんな僕の横でハイボールを一口
もうなんて言うんだろ
そう君見てると酒入ってなくても
酔いが回るんだな
（中略）
あれは
縁そっとflight
ぼくら互いの指を絡めあって
もうnapori ずっといたいよ
ここで見つめって互いに安堵する

vaundy『napori』

最初に聞いた時の感想は、「私も好きな人に『酒入ってなくても君見てると酔いが回る』と思われたいなあ」だった。
この曲の主人公は、19、20あたりの男の子だろうか。曲の歌詞なんて整合性や論理を追究しようとすると詰むから適当に解釈する。恋愛関係にある若い二人。これからすぐ別れる可能性のある青い恋愛である。でも、当事者にとっては「ろくな音楽のない」そんな断片的な「ひびでさえも」心に残るような日常なのである。大事なのは今現在のこの、お互いに酔いあっている時間。でも、別れたのちの「大人」の時代に思いを馳せずにはおれない。そんな切なさを感じさせる曲だ。

大人になっても君を思い出すし、思い出されたい。だから今、二人の何でもない時間を大切にしたい。
napoliのような、桃源郷もかくやといった、若く美しい時代は今にある。見つめあって、キスして、優しく柔らかく混ざり合う。今夜も二人で歩いていきたい。

３．星野源『肌』＿POP VIRUS

題名からして分かりやすいが、えっちだ。
調べてみたら、ビオレのボディソープのCM曲とのこと。
私は初めて聞いた時から「セックスの歌やーーーん！」と思っていたが、どうやらファミリーをイメージしてたらしい。

「恋人とも夫婦とも、親子とも捉えられるように描いたんです。歌詞の『その胸に口づけを』は、官能的な意味も、赤ちゃん授乳の意味も込めました」

https://ananweb.jp/news/123873/

なるほど。
たしかにそれを歌った曲は、往々にしてもっと間接的な表現を使うことが多いので、直接「肌」と表現するのは珍しいなとは思った。

どんな近づいても
一つにはなれないから
少しだけ　せめて
触れ合うと言葉より
君のことを知れる気がした
その胸に口づけを
掌を握った日々の
その肌を

星野源『肌』

男女の歩み寄り（男女じゃなくてもいいか、）における歌。当たり前だけど、肌を重ねた方がお互いのことをより深く知れる感じがして良い。溶け合って一体になりたい、あなたが生きてきた年月を吸収してきた、その肌を通して人生に触れたい、といった感じ。
ここまで書いといてなんだが私は歌詞というより曲自体の方が好きだ。イントロがオシャレすぎる。夜にピッタリ。ギターもテンポもよい。イントロの楽器は何だろう。

cf）星野源でもっと分かりやすい楽曲は『桜の森』。ちょっと夜のお洒落さが足りないと思ったのでここでは取り上げなかったが好きな人もいるかもしれない。