【2】束の間の幸せと現実

当時は流行病もなく立ち会い出産も
普通にできていた時代だった。

12月31日
メグミを蹴った後、酒を飲みに行っていた。
それから産気づいてしまったメグミが何度連絡してもマサトは音信不通。メグミは自分で病院までいったのだった。

1月1日
さっきが生まれてから12時間たち
マサトが見舞いに来た。

メグミはマサトに、
『赤ちゃんと家に戻る時、寒いだろうから義母さんから貰ったお金からストーブを買っておいて』
そう、お願いした。

マサトは気怠そうに了承した。

生まれた子供の顔を少しみたマサトは
そそくさと帰って行った。

マサトはパチンコへ行ったのだ。

産院からパチンコ屋まで5分。
マサトは生まれた赤ちゃんと、メグミより
真っ先に産院近くのパチンコ屋へ行き
そして帰りにもパチンコ屋へ行ったのだった。


やがてメグミと赤ちゃんは退院して
家に帰ってきた。




ストーブをつけようとしたメグミは驚いて
マサトに問いかけた。



メグミ『このストーブなに?』


マサト『あぁ、ゴミ捨て場から拾って来た!』






そう、目の前にあったのは
ボロボロの年季が入ったマッチで火をつけるタイプのストーブだった。焦げていて、歪んでいてとても抵抗がある状態だった。


メグミが戸惑っていると
赤ちゃんが寒さで震えている。

とにかく点けなければと
しかなく火をつけたら、点いた。

そしてメグミはマサトを問い詰めた。

メグミ『義母さんからもらった50万どうした?』

マサト『パチンコで全部使った』

そう。マサトはメグミが入院している
6日間で毎日パチンコをし、金を使い込んだのだ。


さらに驚いたことに、
部屋には見たこともない汚いテレビが。

もう、言わなくてもわかると思うけど
マサトは自慢げにゴミ捨て場から
拾ってきたといっていた。

時期的にも、誰かの家の大掃除で
すれられているものを勝手に拾ってきたのだ。


メグミは怒りと虚しさで言葉が出ない。


これから赤ちゃんとどうして行こうかな..
まだ20才になったばかりのメグミには
マサトヘの不信感と育児への不安で押しつぶされそうだった。







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