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生理が遅れたり早くなったり…生理不順の原因は何?

■生理周期が乱れる「生理不順」とは?

生理がやって来る周期は人それぞれ。しかも、周期の長さは常に一定とは限りません。とはいえ、生理周期は25~38日の範囲が正常とされており、それより短ければ「頻発月経」、それより長ければ「希発月経」という生理不順とされます。

ですが、生理が始まってからそれほど時間が経っていない思春期の頃は、生理周期が乱れるのはよくあること。
ある程度遅くれたり早くなったりすることは誰にでもあることなので過度な不安は必要ありません。しかし、中には思いもよらない病気が背景にあることも…。

そこで今回は、生理周期の原因と注意点について詳しく解説します。

■「生理不順」はなぜ起きるの?

思春期によく見られる生理不順はどのような原因によって引き起こされるのでしょうか?まずは、生理の仕組みと生理不順の原因について詳しく見てみましょう。

・生理はどうやって起こるの?

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生理は、増殖・成熟した子宮内膜が子宮の壁から剥がれ落ち、血液と共に排出される現象のこと。子宮内膜は受精した卵子と精子からなる「赤ちゃんのもと」が着床する組織です。

この子宮内膜は、着床が起こらないと「妊娠する可能性はない」として子宮の壁から剥がれ落ちて生理が来ます
そして、生理が終わると次の妊娠に備えて増殖が開始され、2週間ほどで排卵が生じると次は着床に適した状態に成熟していきます。
その後2週間に渡って成熟は続き、着床が起こらなければ増殖・成熟した子宮内膜が剥がれ落ちて次の生理がやって来るのです。

一般的に生理周期と言えば、「生理が始まった日から次の生理が来る前日」までのことを指します。女性の身体は25~38日のスパンで子宮内膜の増殖・成熟・脱落を繰り返しているのです。

・生理不順の原因とは?

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このように、子宮内膜が増殖・成熟・脱落を繰り返すのは女性ホルモン「エストロゲン」と「プロゲステロン」の作用によるものです。
女性は思春期になると卵巣の機能が発達し、エストロゲンやプロゲステロンを分泌するようになります。エストロゲンは、生理が終わる頃から急激に分泌量がアップし、子宮内膜の増殖と卵子の成熟を促します。

2週間ほどで成熟した卵子が排出される現象…「排卵」が生じると、次はプロゲステロンの分泌量がアップし、子宮内膜の成熟を促します。そして、着床が起こらないとエストロゲンとプロゲステロンの分泌量が急激に減って生理がやって来るというわけです。

つまり、規則正しい生理が来るには卵巣の機能が整ってエストロゲンやプロゲステロンがバランスよく分泌されていることが必須。卵巣機能が未熟な思春期はこれら女性ホルモンバランスも乱れやすいため生理不順がよく見られるのです。

そのほかにも、病気や好ましくない日常生活がきっかけとなって女性ホルモンバランスが乱れ、生理不順になることも少なくありません。生理不順の原因はたくさんあり、いくつかの原因が重なって起きていることも珍しくないのです。

■生理不順はこんな病気が原因のことも…?

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若い方に見られる生理不順の多くは、卵巣などの機能が出来上がっていないこと、ストレスや疲れなど日常生活上の原因によるものです。しかし、中には病気が潜んでいることも…。放っておくと将来的に不妊の原因になることもありますので注意が必要です。

生理不順が起こる病気として次のようなものが挙げられますので、思い当たる症状などがある方はできるだけ早めに婦人科などで相談するようにしましょう。

・機能性子宮出血
過剰に増殖した子宮内膜が剥がれ落ちる病気のことです。多くは正常な排卵が起こっておらず、不規則な性器出血を引き起こします。そのため「不規則な生理」のような症状が現れます。

思春期の方は機能性子宮出血が起こりやすいもの。不規則な出血が続くときは基礎体温を測定して排卵が起きているかチェックするのがおすすめです。
・多嚢胞性卵巣症候群
卵子の成熟
に時間がかかりすぎることで正常な排卵ができず、生理周期が長くなってしまう若い女性に多くみられる病気です。

卵巣で産生される男性ホルモンが過剰分泌されることが根本的な原因とされ、生理不順の他に毛深さ、ニキビ、肥満といった症状を引き起こします。
・黄体機能不全
子宮内膜が十分に成熟されないまま子宮の壁から剥がれ落ちやすくなったことで、生理周期が短くなったり、不正出血が生じやすくなったりする症状がみられます。

プロゲステロンは妊娠の維持にも必要な女性ホルモンであるため、この病気によって分泌量が少なくなるとと流産しやすく、不妊症にもなりやすいとされています。
・生理不順以外の生理の異常とは?
生理の異常は生理不順のみではありません。同じく女性ホルモンバランスが乱れることで生理がダラダラと7日間以上続く「過長月経」、生理が2日以内に終了する「過短月経」、子宮筋腫などの病気によって経血量が増える「過多月経」など生理には様々なタイプの異常が見られます。

さらに、思春期の頃によく見られるのは、「続発性無月経」
初潮を迎えて以来、不規則ながらも来ていた生理が3か月以上来なくなることを指します。はっきりした原因は分かっていませんが、無理なダイエットストレスなど精神的な不安定さが主な要因と考えられています。

自然に生理が再開することもありますが、放置するとホルモンの分泌異常が長く続いてしまうこともあります。生理が3か月以上来ない場合は、早めに婦人科の検査治療を受けるようにしましょう。

■思春期の生理不順はよくあること…でも続く場合は病院受診を!

生理不順女性ホルモンバランスの乱れによって引き起こされるものです。その原因はストレス疲れなど日常生活の起因するもの、上述したような病気によるものが挙げられます。

思春期はとくに生理不順が起こりやすいとされていますが、多くは女性ホルモンの分泌の場である卵巣の機能が未成熟なためです。成長して卵巣の機能などが整っていけば自然に改善していくことがほとんどです。

しかし、生理不順があまりにも長びく場合や生理が3か月以上来ない場合は何らかの病気がある可能性も否定できません。放置せずにまずは病院を受診しましょう。
また、生理不順がある方は、毎日基礎体温を記録して排卵の有無や大まかな生理周期をチェックしておくのもおすすめですよ。

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・医師監修:成田亜希子先生
一般内科医として幅広い分野の診療を行っている。
保健所勤務経験もあり、感染症や母子保健などにも精通している。
日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会、日本健康教育学会所属。

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