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平常心を取り戻せる自然音プレイリストの魅力

クリストファー・ノーラン監督による映画『インターステラー』に登場する飛行士の姿は、都会で暮らす人々に似ている。
宇宙を航行するシャトルの中で、飛行士が「息が詰まる」とごねる。その愚痴を聞く同僚は「俺たちは探検家だ」と言って、飛行士の耳にイヤホンを差す。
再生ボタンが押されると、雷鳴と雨音が響く中で虫が静かに鳴く声が流れ、飛行士の表情は幾分和らいだ。広大な宇宙で息を詰まらせる飛行士は、遠く離れた地球の自然を音で感じながら、人類が移住できる星を探す任務を続けていく。
愚痴っていた飛行士と同じように、都会で暮らす人々もまた、息を詰まらせている。
自然音に対義語は存在しないが、あえて求めるなら「騒音」もしくは「雑音」と言えるだろう。
都会は耳障りな音で満ちている。ドリルが道路のアルファルトを打ち砕く音、通りに停められた街宣車から発せられる思想的宣伝文句、ホテルの薄い壁を越えて漏れ聞こえる男女の喘ぎ声……。
息が詰まるほどの不快な状況に陥ったとき、気持ちを落ち着かせる手段の一つとして自然音を聴く。『インターステラー』の一場面はそんな対抗策を教えてくれる。

宇宙で息を詰まらせる飛行士と同じように自然音を聴けば、騒音や雑音が鳴り響く都会で暮らす人々も気持ちを落ち着けられるだろうか。
少なくとも、耳障りな音を遮断する効果は得られる。もちろん、ノイズキャンセリングのイヤホンをつける必要はあるが。
自然音はネットで探せばいくらでも聴けるが、数あるサービスの中でもSpotifyが最も聴きやすい。2023年1月現在、自然音関連の公式プレイリストは28個ある。
自然音のプレイリストを聴いていると、周囲と自分との間に適切な距離を取れる。雑音が遮断され、自分自身に自然と集中できる環境が整う。ただ聴いているだけなのに、自然音には音楽鑑賞で得られない効果が確実にある。
頭脳的・心理的に最も効果が高いと思われる自然音は、雨などのホワイトノイズだろう。ホワイトノイズは一般に「シャー」と聞こえる音のことをいう。ホワイトノイズ効果の高い自然音を聴くと、邪念が消し飛んで読書の質が一気に上がる。仕事中にも有効で、複雑な情報を分析したり複数の事象を整理したりする作業において特に効果を実感できる。
『インターステラー』の一場面を見て以来、Spotifyで自然音のプレイリストが作られるたびにフォローしてきたプレイリストを紹介する。

(通信環境によっては、プレイリストの表示に1分ほど要すことがあります。ご了承ください)

嵐の前兆を告げるような雷の音を聴く「A Sudden Rainstorm」

小川が奏でる水の音を聴く「Babbling Brooks」

森に佇む鳥の鳴き声を聴く「Birds in the Forest」

雨の中で鳥のさえずりを聴く「Birds in the Rain」

ブラウンノイズの音色を聴く「Brown Noise」

浜辺に押し寄せる波の音を聴く「Deep Ocean Deep Sleep」

焚き火で木が弾ける音を聴く「Fire Sounds」

穏やかな雨の音を聴く「Gentle Rains」

穏やかな海の音を聴く「Gentle Waves」

星空の下でコオロギの鳴き声を聴く「Late Night Nature」

自然の中にあるホワイトノイズを聴く「Nature Noise」

さまざまな自然音を聴く「Nature Sounds」

夜の雨音を聴く「Night Rain」

夜に響く雷鳴と雨音を聴く「Nightstorms」

砕ける波の音を聴く「Ocean Escapes」

ピンクノイズの音色を聴く「Pink Noise」

世界中の雨音を聴く「Rain Sounds」

窓越しに雨音を聴く「Raindrops on the window」

ジャングルの音を聴く「Rain Forest Sounds」

川のせせらぎを聴く「River Water Flow」

南国の自然音を聴く「Sleep in the Rainforest」

轟くような波の音を聴く「Sounds of the Ocean」

一晩中鳴り響く雷の音を聴く「Thunderstorms」

深海にいるクジラの鳴き声を聴く「Whale Sounds」

ホワイトノイズの音色を聴く「White Noise」

(標題の画像は「Canva」のテンプレートを利用)