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下地島と西表島を訪問

2024年9月2日(月)
格安航空LCCの路線は日々拡充を続けている。特に成田からは新千歳・関空・福岡の三本柱が本数が多く確保されており便利だ。約10年前、日本にLCCが飛び始めた頃はこれらの主要な空港にのみ飛ぶものかと思っていた。しかし、ここ最近は離島航路の就航も目立つ。沖縄県の宮古島や石垣島にも就航しており、これらは従来だとJALや ANAでないと行けず高嶺の花だったが、数年前より気軽に行けるようになった。
しかしなかなか宮古島や石垣島に行くような理由は見当たらないのでこれらの便に乗ったことはなかったが、そのままだと一生乗らないので運賃が安い日を狙って航空券を確保した。もはや、目的地があるというよりはこの路線に乗りたくて乗るといったイメージだ。

まず最初に乗るのは成田発下地島行き(2019年就航)。これは下地島(宮古)と案内されており、宮古島と橋で陸続きになっている下地島空港行きの便となっている。この下地島空港、元々訓練用の空港として開設された経緯があり、広大な滑走路を持つ特殊な空港だ。
この下地島空港を舞台にしたストラトス・フォーというアニメがある。2002年に放映されたアニメで、ネタバレ防止で最小限の情報を書くと、パイロット訓練生が一人前のパイロットを目指すという話だ(実際はもっと壮大なのでぜひご視聴を)。
私も2002年当時、中学受験を終えた直後に数話だけ見たが、正直あまり印象に残っていなかった。下地島に行くにあたって、あらためて全話見返してみると、面白すぎる。特にパイロットの訓練というのが私が鉄道会社で乗務員を目指して訓練していた姿に重なるからかもしれない。劇中には下地島空港やその周辺がいくつか登場するので、下地島でそれらの聖地めぐりをしようという計画とした。

成田725→下地島1045 ジェットスター

平日だがほぼ満席で下地島空港に到着。降りて驚いたのは、下地島空港、やはり元々訓練用で後から旅客ターミナルを作ったためか、旅客の導線が独特。飛行機を降りると庭園のような通路を通り、手荷物返却所の扉を開けたら一発で建物の外。旅客の導線には階段はなく、フラットに移動ができる。この光景だけで特殊すぎて面白く、来る価値がある。

まずはタイムズカーシェアを確保。この下地島空港がある下地島自体は面積の大半が空港で、周囲に観光施設は少ないものの、そんな下地島空港にもタイムズカーシェアが数台設置してある。
ありがたく乗車して車を走らせ、まずは空港の北側へ。この空港の敷地の端はストラトス・フォーでもよく登場している。しかしそこに至る歩道には観光客の姿が多数あり、海水浴を楽しむ人の姿も。駐車場はキャパオーバーになっており、路上駐車が溢れる。
恐らく、下地島は従来は訓練を見に来る航空ファンくらいしか観光客がいなかったものの、宮古島と橋で繋がった影響で、下地島も宮古島の一部のように観光案内で紹介されていて、旅行者も宮古島だと思って楽しんでいるのではないかと思う。実際、Twitterで「宮古島」と検索すると無数にツイートが出てくるが、「下地島」と検索しても1日10件前後しか出てこない。下地島を下地島として楽しんでいるのは航空ファンとストラトス・フォーファンだけなのかもしれない。

そんな様子を見ながら歩いていると、ソラシドエアの機体が目の前を通過して着陸した。下地島にソラシドエアの定期便なんてあったっけ?と調べると、パイロットの訓練のためにやってきているとのこと。旅客便が就航した現在も、訓練用の空港としての機能も健在だ。しかもこのソラシドエア、着陸したら即離陸を繰り返し、5分おきくらいのペースで離着陸をしている。こんなに何度も離着陸できるものなのか。撮影している航空ファンは5名ほどで、大半の旅行者は特に何とも思っていない様子だった。

次に食事のためレストランさしばへ。下地島にある数少ない飲食店で、ここもストラトス・フォーの主人公が下宿している店として登場する。
もやしそばと唐揚げエビフライ定食を注文。特にもやしそばは人気メニューで、大変おいしい。

ここで橋を渡り隣の伊良部島へ。下地島と隣接していて、同じ島の間に川が流れているように見えるが、川ではなくわずかに海で隔てられている。
伊良部島ではふなうさぎバナタの像へ。ここはサシバ(鳥)の大きな像が設置されていて、ここも聖地になっている。しかし数年前にサシバの像は撤去されてしまった。劇中では翼が片方ない状態で登場していたが、まさか完全に飛び立ってしまうとは。

さらに橋を渡り宮古島へ。この伊良部島〜宮古島にかかる橋は2015年に開通し、無料の橋としては日本最長である。下地島・伊良部島と宮古島間の移動ってそんなに需要があるのかと思ったが、交通量は意外とそこそこある。 
ちなみにストラトス・フォーのアニメは2002年放送なので、その頃にはこの橋はなかった。劇中には「宮古島からフェリー」といった描写が登場している。従来は宮古島とは船で結ばれていたが本数は1日33往復程度だったようだ。船の時代も本数が多かったが、それがいつでも車で渡れるようになったのは革命だろう。ここに橋がかかるなら鹿児島の桜島(船は51往復)に橋がかかっても良い気もするが。

宮古島では宮古市民球場へ。私の応援する野球チームであるオリックス・バファローズが過去にキャンプを行っていた地だ。オリックスに関する記念碑があるのでそちらを見学。
その後は周辺を少しドライブしつつ、下地島空港へ戻り、タイムズカーシェアを返却。

下地島空港1620→宮古空港1702 バス

路線バスに乗り換え、あらためて宮古島を目指す。このバスは韓国の仁川からのジンエアーに接続している便で、韓国からの旅行者に紛れて乗車した。バス停には「後払い」と案内があるものの、乗車時に運賃を支払うよう運転士に言われて戸惑った。どうやら下地島空港から乗る場合のみ時間短縮のため申告先払い、それ以外の停留所は通常の整理券方式のようだ。
しかしこのバス、運賃表示器はなく、自動放送もないので運転士が停留所を肉声でアナウンスする、なかなか変わったバスだ。さすがに下地島空港から宮古空港まで乗るのは自分だけであった。

宮古1745→石垣1815 JAL(RAC)

なぜ宮古空港に来たかというと、石垣島へ移動するためだ。下地島と石垣島のLCCの両方に乗りたいが、どうせなら近いので一回でまとめて訪問してしまおうという作戦だ。
この宮古〜石垣は直線距離で100km少々、かなりの短距離路線だ。50人乗りの小さな機体だったが、搭乗率は3割ほど。やはり離島から沖縄本島への移動は多そうだが、離島同士の移動はあまりないのだろう。そんな中で航路が維持されておりありがたい。

石垣空港1843→徳洲会病院1901バス

飛行機を降りると本日の宿の最寄りバス停に到着、沖縄の定番、Mr.KINJOに宿泊。

2024年9月3日(火)

徳洲会病院754→離島ターミナル809 バス

石垣島に来て何をするかというと、昨日が宮古島よりも下地島を観光したのと同様、今日も石垣島ではない島をメインに観光する。
それが西表島で、石垣港から船で45分ほど西に行った所に位置して、もはや台湾がかなり近いという立地。
この西表島も、人気番組「水曜どうでしょう」にたびたび登場し、最近放送された「懐かしの西表島」でも舞台になったばかりだ。こちらも事前に視聴したので、主にその舞台を巡っていく。
港に着くと、港には店も多数あり賑わっている。売店でつい沖縄名物のポークたまごおにぎりを買ってしまう。

石垣港900→大原港945 八重山フェリー

西表島へは八重山と安栄の2社の船が就航している。運賃は同じなものの、乗車券はそれぞれ売り場が分かれており、自社のものしか使用できない。往復で購入すれば少し安くなるが、帰りの時間が未定、つまりどちらの会社に乗るか未定なので片道で購入した。
船は小型のもので、車を載せることはできない。ジェットフォイルのような雰囲気だがジェットフォイルではない。ほぼ満席の混雑だが、こんなに西表島に行く人がいるとは。

港に着くと、予約していたレンタカー屋の送迎を探す。周囲の乗客もレンタカーの送迎に向かうのかと思ったら、皆どこかへ行ってしまった。恐らく地元の方の利用が大半で、港の駐車場にマイカーを停めているのだろう。私が予約した西表レンタカーの送迎を利用する人は私だけだった。送迎の車内で書類を記入し、レンタカー利用の際の注意事項の説明を受ける。レンタカーの営業所に着いたら「では車はこちらです」と案内されて、手続きに全く時間をかけず借りられたのには驚いた。

車に乗ってすぐ、違和感に気付く。そう、カーナビがない。西表島くらいの規模ならカーナビは不要ということか。少し不便だが、カーナビにとらわれることなく、前の景色だけ見て運転をすることができ、90年代の気分を味わえる。

まずは港から南下して最南端のバス停「豊原」を訪問。最南端であることを示す案内もある。本来はレンタカーを借りずにバスで移動しても良いかなと思ったが、バスの本数は1日4往復だけなので利用は断念。

続いて港のすぐ近くにあるンママキーやまねこパークへ。ここは水曜どうでしょうに登場した、巨大な猫の滑り台がある。早速滑り台にチャレンジ。すると、みるみるうちに加速していく。そして本来は滑り台のふちをつかめば減速できるが、幅が広いのでそういったことはできない。しかも少し前まで小雨が降っており、滑り台は少し濡れている。そのため、豪速球で地面に放り出された。幸い、着地点の床は柔らかくなっているので負傷はせずに助かった。

少し北上し、野生動物保護センターへ。ここはイリオモテヤマネコを中心に、島内の様々な生物に関しての資料が展示されている。まるで博物館のような充実度で、島内で最もお金がかかっていそうな施設だ。

さらに北上し、上原方面へ。西表島には大原と上原に港がある。船は大原の方が多いが、店は上原の方が多い印象だ。大原と上原は35kmほど離れているが、その間にはほぼ何もない。運転していて少し眠くなる区間だが、西表島の大半が山林だと感じられる区間だ。道中でイリオモテヤマネコには出会わなかったが、セマルハコガメを見ることができた。

上原では水曜どうでしょうに出てきたロビンソン小屋へ。ロビンソンさんは「犬の散歩に行っています」という貼り紙を店頭にしてあり、不在だった。
その近くにある新八食堂で昼食。野菜そばと豚丼を注文。地元の食堂といった感じだが、品物が出てくるのがかなり早かった。客席の椅子にはビニールがかぶせられていて、海水浴で濡れた人の利用が多いのだと感じる。

これでもう時間が近いので大原港に戻る。水曜どうでしょうでも滞在時間が5時間だったが、恐らくそれと同じような行程で、5時間で石垣に戻る計画だ。
最後にもう一度やまねこパークの滑り台に行き、上手く滑る動画を撮影、Twitterに投稿。
ガソリンスタンドで給油、1リットル200円ほどの離島価格を感じながらレンタカーを返却。

大原1500→石垣1545 八重山フェリー
石垣港1630→石垣空港1700 カリー観光

港から空港へは通常の路線バスと直通のバスがある。行きは通常のバスに乗ったので帰りは直通バスを利用。しかし車両は通常の路線バスのような車両で、立ちが出るほどの混雑だった。

石垣1800→成田2115 ピーチ

最後は安定のピーチで成田へ帰還。こちらも成田〜下地島と同じく2019年就航。ほぼ満席の混雑だ。実はこの後19:05に関空行きのピーチがあり、明日は朝から関西に行くのでこちらに乗った方が都合が良い。しかし関空行きのピーチの運賃はこの日は1万円ほど高かった。そうすると、さらに関西での宿泊費5000円も追加でかかるくらいなら成田行きを利用して自宅に宿泊、翌朝の成田〜関空を6000円ほどで予約できたのでそちらを利用した方が安いとなりこの行程となった。

無事に23時過ぎに自宅に到着、これらの島を1泊2日で訪問するのはもったいないような気もするが、ストラトス・フォーおよび水曜どうでしょうの聖地巡りおよび下地島・宮古・石垣の空港を使うという目的は達成でき、1泊2日ではないような充実感のある良い旅だった。

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