「真珠の耳飾りの少女」
大学1年生の冬、僕は一目惚れをした。青いターバンを巻いた君に。
出会いは偶然だ。美術史の本を拾い読みしている時、錚々たる名画達と肩を並べて君は佇んていた。
自分でもびっくりだ。
こんなことが起こるなんて。
永遠に叶わぬ恋だと知っていた。
君は永遠に歳をとらないが、僕は歳をとる。君に触れることすらできないのだ。
本の中の君を見てはえもいわれぬ幸福感と悲しみを味わう日々が続いた。
大学3年生の冬、僕はオランダを訪れた。
本物の君に別れを告げ、永遠の片想いを終わらせるため。
僕は鼓動の高鳴りを感じながら、君が待つ部屋へ向かう。
本から飛び出してきた君は、
「美」そのものだった。自然と涙がこぼれ落ちた。
僕は、最後の一人になるまで君を見つめ続けた。
大学4年生の秋、勉強やバイトで多忙な毎日だ。ストレスが溜まることもある。
でも、大丈夫。
永遠の美を手にした君が、いつでも僕のことを見つめてくれているから。
その、麗らかな瞳で。
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