見出し画像

実践!20名を超えるカスタマーサクセスチームでの連携方法・会議体設計!

第4回カスタマーサクセス天下一武闘会で登壇した内容について、色々な方から「20人を超えるチームでこれだけ分業や兼業をしていて、一体どうやって意思疎通を取っているのか?」とよくご質問頂くので、今日はCSチーム内で実際にやっているミーティングや連携の方法について、具体的なところを全て書きます。

因みに毎月1noteを目標にしていて、今月何のトピックを書くかTwitterで事前にトピックについてアンケートを取ってみたのですが、

見事にチーム内連携方法が1位でした。やはりこれについては関心が多いのでしょうか。(※他のトピックは追々書く予定!)。記事の中身は今チーム内で実践している内容なので、派手さはなく地道で地味な内容になっておりますが、その点はご了承ください。

前提:弊社はとにかくミーティングが多い

「なんかこの会社、ミーティングめちゃくちゃ多くないですか??」中途で弊社にご入社された方は異口同音にこう仰られます。私自身新卒で入社しているので違和感があるというほどではありませんが、それでもさすがに一週間が終わる頃には「うわー今日もミーティングだらけだなー」と体感するくらいなので、外から来られた方は余計にそう感じられるはず。

例えば私自身も週40時間あるうち25時間くらいはミーティングで埋まっているというのが実情です(私がカスタマーサクセスとインサイドセールスを兼務していたりとかチームを持っていたりするのでミーティングが多くなりがちなのは事実ですが)。メンバーだとそこまででもないですが、それでも5~8時間くらいは週に社内ミーティングが入っていると思います。

で、こんなに多いと非効率なのではないか?改善すべきなのでは?という疑問もあるかと思いますが、私個人の考え方としては意外とそうでもないなと思っています。理由は以下3点。

理由1:全てゴールとアジェンダがセットされており価値が明確
理由2:全ての活動で常に改善やPDCAが求められている(決められた定型業務をこなすだけというポジションがあまりない)
理由3:臨機応変に変わるチームや会社方針と個人の行動をアラインさせる必要がある

もちろん、無駄なミーティングや非効率は常に排除し続けるというのは前提で、都度会議体設計は見直され統廃合を繰り返しています。が、今実施しているミーティングにはどれも意味があり必然性から生まれていると自分自身体感しているで、この状態そのものに問題があるとは考えていません。むしろ、ここまで連携を強化すること生まれているバリューがあるなと感じています。

CS内にある8種類の会議体

CS内には業務に関する個別のミーティングは色々とあるのですが、それらをパターンに分けるとおおよそ8つのタイプに分類することが出来ます。まず、CSの現状組織体がこちら。

2020-05-31 14_36_15-PowerPoint スライド ショー - [チーム内検討.pptx]

大ボックス、中ボックスというのは社内用語ですが、チームの単位のようなものです。ここにミーティングの種類を記載するとこうなります。

2020-05-31 14_43_49-PowerPoint スライド ショー - [チーム内検討.pptx]

なかなかカオスな感じですね。各ミーティングの参加者や形態をまとめると下記のようになります。

画像3

簡単に1つ1つのミーティングの位置づけを紹介します。

1:CS定例ミーティング
CSチームメンバー全員が出席する週1のミーティングです。チーム全体KPIの進捗を確認したり、メンバーやチームからのお知らせがあればこちらでシェアします。プロダクトのアップデート状況などもこのミーティングで扱います。また休暇や経費申請等の事務連絡も行います。チーム全体として活動する上で最低限の情報シェアを行う、インフラのような会議です。

2:CS合宿
現在CS内は小チームだけで10以上あるのですが、これだけチームがあると他のチームが何をやっているのか、どんな進捗なのかということが必然的に見えづらくなります。そこで各チームの活動内容や進捗状況、来期の活動方針をメンバー全員同士で伝え合うために行っているのが、このCS合宿です(普通に社内で行います)。3ヶ月に1回、半日(4時間)使って、各小チームのリーダーから発表を行ってもらい、質疑応答を行います。発表するのも聞くのも集中力が必要ですが、互いの動きを詳しく知り理解を深められる貴重な機会であり、時間としては非常に濃密なものになっています。

3:活用促進定例ミーティング
CSのチーム責任者と中ボックスの責任者が揃って、各自の状況を伝える週1回のミーティングです。主に各活動のシェア(対全体責任者、対他の中ボックス責任者)がメインですが、チーム横断で考えるべき懸案やアサインメント等があれば、この会議にて話し合われます。スピーディーなアサイン変更やリソース再配分等は本ミーティングによって成り立っています。

4:CS全体長期検討ミーティング
3と同じ、CSのチーム責任者と中ボックスの責任者が参加者ですが、こちらのミーティングではより長期のCSチーム全体の方向性について議論をしていきます。中ボックスそのものの方針や統廃合に関わること内容が多く、具体的にはオンボーディングと対面支援チームの棲み分けについて、や新しいロータッチチームの設立、などを検討したりしています。

5:対応検討定例ミーティング
この分業・兼業体制でコアとなるのがこのミーティングです。このミーティングは中ボックスの責任者が全員集まり、その週検討すべき1社1社の支援方針について検討・すり合わせをしています。分業スタイルのデメリットは、他チームで行っている活動が見えづらく顧客にとって最適な支援が何かボックス単体では考えづらくなること。そんな短所を克服するために、対人・テック・ロー・オンボーディングそれぞれのチームの責任者が集まり、CSとして出来る支援全体を踏まえつつ、クライアントにとってどんな支援が最適か判断をします。各チームで上がってきた支援プランシートのレビューもこのミーティングで行っています。

6:中ボックス長期検討ミーティング
オンボーディングやロータッチ等のチームの長期的な方向性を検討するのがこのミーティングです。中ボックス責任者とCS全体責任者の少人数でじっくりと議論します。中ボックスの活動の進捗をベースに検討するので隔週1回程度の開催。ここで話した方向性等を4のミーティングに持っていったり、ということも多いです。

7:小ボックス相談ミーティング
小ボックスのリーダーと中ボックス責任者との相談です。実施しているケースとそうでないケースがありますが、実施している場合は、小チームの方向性や個別具体案件の相談など、多岐にわたる内容を相談します。小チームから実際に顧客を抱えている活動が多くなるので、個別顧客についての相談事項も増えてきます。週次で30分程度のケースが多いかと思います。

8:小ボックス定例ミーティング
各小ボックスに属するメンバー全員での定例ミーティングです。個別の活動の進捗や相談、方向性の決定を行うミーティングです。小ボックスの性質によって頻度や時間は異なりますが、30分~1時間毎に週次で行われています。

以上がCSミーティングの8つの類型です。もちろん正確にはこれに属さないものや形式が逸脱しているミーティングもありますが、概ねはこの8つに分類されます。

ポイントは①責任者 ②個別企業 ③短期/長期バランス

会議体設計のポイントはというと今が最適というわけでもないのでまとめるのが難しいのですが、過去の経験から言うと以下かなと思います。

ポイント1:顧客への支援方法を変える時は中ボックス責任者同士で話す
分業体制を敷いた結果、オンボーディングから遠隔への移行、あるいは遠隔から対面への移行等、顧客への支援方法を変えるタイミングというのが発生するのですが、それは支援サービスを見ている中ボックスの責任者全員で検討することで、かなり効果が高いものになったなというのが最近の所感です(今後はもう少し効率化したいポイントでもありますが)。※5の対応検討定例ミーティングのこと

以前は、個別企業の支援の移行については、移行フローや判断基準を作ってそれに沿って移行するということを実践していたのですが、組織の形が決まっているならそれでも良いのですが、年ごとレベルで組織体制が変わっていく立ち上げ期においては判断も難しいですし、個別企業の状況をよくよく聞いた結果、自分のボックスに移すべきでないとの判断になったらロスが多くなります。何より、各自のリソース状況が見えない中での判断になるので全体最適になりづらいという課題が発生していました。

中ボックス責任者で全員集まって話すことで、リソースを踏まえた全体最適、そして各ボックスでの支援開発状況を踏まえた支援方法の提案が可能になり、支援のレベルが1段上がったと感じています。

ポイント2:支援サービスや組織の方向性は個別企業をベースに検討する
以前、長期的な支援サービスの方向性やチーミングについて、個別の企業の話は抜きにして、チームのケイパビリティやリソース、顧客の総合的な情報をベースに検討していた時期があったのですが、正直そのミーティングでは、なんとなくの方針は決まるのですが、実効的な支援形態にまでは落とし込めなかったという反省がありました。

今は5の定例で個別企業についての最適解を何社も何社も責任者同士で話し合って答えを出しているので、そこの経験値や判断が積み重なっており、結果的にチーム全体の長期方針なども、地に足ついて顧客にとって意味がある支援に繋がる議論が出来ています。

ポイント3:短期と長期の検討をバランス良く設定する
前出のエクセルの表を見て頂ければわかりますが、短期と長期の検討トピックが混ざるような形で設計されているのがわかるかと思います。これはかなり意図的に設計している部分です。どうしても人間、目の前のことや短期のことに注意がいってしまうので、それだけにならず、長期的な検討そのものを会議体として定期的に設計することで、優先度を落とさず議論することが出来、組織として後手後手の対応になることを防ぐことが出来ています。

個人的には、長期的な検討は1人でやればいいかと思っていた時期もありましたが、チーム編成そのものや組織全体のトピックがどうしても多くなるので、その点については他の責任者や全体の責任者と議論しておいたほうが確実に実行性は高まり、効果的だなと感じています。

顧客の情報連携に使う4つのシート

会議体について書いてきましたが、1社1社の顧客の情報連携はどのように行っているか、という角度でも書いてみます。まず個社について社内で管理・更新している情報はこちら

2020-05-31 16_18_55-PowerPoint スライド ショー - [チーム内検討.pptx]

個社状況シート
全顧客の支援ステータスや契約期間、金額、支援担当、ヘルススコア等が一覧にまとまっているシートです。個社の状況が気になったまずはこのシートを参照し、概要を把握してから担当者等に照会します。

ヘルススコアシート
ヘルススコアも全社分をまとめて管理しています。個別の企業で更新があればこのシートを直接編集/更新してslack等でシェアしています。

支援プランシート
1社についての向こう1年、主には次回更新までの支援プランを記したものです。これは複数の支援サービスが1社にまたがって行われるため、各サービスでのゴールを認識するためにも非常に重要なシートです。前述の5:対応検討定例ミーティングにて全社分、レビューを行っています。

個社ドキュメント
顧客とのミーティングの参加者や議事などが時系列で全て記載されているドキュメントファイルです。契約情報の詳細や営業からの連携を受けた引き継ぎ内容、社内での検討ミーティングの内容等も全て最新のものまで記載されています。個別企業の支援状況が気になった場合は、ここを見ればすべてわかるというデータベース的な役割を果たしています。

本当はこの情報はSalesforceに集約したいなと随分前から思っていますが、なかなか実現は難しいですね。

個別企業のSlackチャンネル
個別企業ごとにSlackチャンネルが存在します。責任者は全員と支援に関わる担当者、そして営業担当などがチャンネルのデフォルト参加者として設定されていて、受注後に必ず立てられます。重要な情報は全て上記の個社ドキュメントに記載するという前提で、ミーティングに向けたライトな相談や、事務連絡、スピーディーな対応が必要なことなどは上記のSlackチャンネル上で行われています。


上記を4シート+slackをフル活用しながら企業についての情報連携を行っています。主なルールとしては、「ヘルススコアや個社状況シートは変化があれば即更新」「支援ボックスが変わるときは支援プランシートを記載して、対応検討定例にて承認を取る」「顧客と話した情報は個社ドキュメントに必ず記載する」などがありますが、運用の中でどんどん変わっていくので、これもいずれ変わるかと思います。

顧客情報の連携にはもちろん時間がかかりますが、連携することによって1人だと作ることが出来ないようなサクセスを生み出すことが出来る、また顧客体験上も社内で情報連携されていることは最低限かつ超重要であるため、必要なコストと認識して連携については念入りに行っています。

メンバーの成長を支える3つの個人ミーティング

さて、ここまで主に業務上のミーティングについてお話しましたが、最後にそれらとは全く別に、個人の成長やエンプロイー・オンボーディングを支援するために行われている3つのミーティングをご紹介します。

2020-05-31 16_45_22-PowerPoint スライド ショー - [チーム内検討.pptx]

①1on1
隔週に1回30分程度の1on1を弊社でも実施しています。1on1についての情報は世の中にたくさんあると思いますが、そういった記事や書籍で書かれている位置づけと変わりません。メンバーの成長を支援し、期待に沿った行動を促すためのミーティングです。

②日々相談
1on1とは別に、入社して3ヶ月程度は業務でわからないことや慣れないことも多いだろうという想定で、日々何でも相談できる先輩という位置づけで、チーム内のメンバーをアサインしています。この相談は毎日30分、必要に応じて行われます。途中から業務に慣れてきたので消滅することもありますが、業務相談とは別で続けることもあり、そこはケースバイケースで様々ですね。

③メンターミーティング
特に社会人になりたてのメンバーの場合には、業務に関係するかどうかに関わらず、悩み事やお困りごとを相談するメンターが1人につき1名つきます。メンターとの時間は週~隔週に30分~1時間程度でランチやカフェタイムで行われたりします。チーム内では相談しにくいことも話せるようにという意図から、メンターはチーム外からアサインされることが多いです(チームに閉じない、幅広い視野を持って欲しいという意図もある)。

以上が個人の成長を支援するミーティングです。基本思想として、

・リアルタイム:分からないことの解決やフィードバックはスピーディーに
・マルチパースペクティブ:多様な視点で自分の仕事を捉えよう

という方針からこういったミーティングの設計がなされています。この辺の細かい話をしだすと長いので、この記事では概要を記載するに留めておきます。

最後に

以上が、CSチーム内での情報連携やミーティングのシステムの全てとなります。完全に弊社のやり方に最適化されているので、皆様の会社でどの程度役立つかはわかりませんが、何か1つでも参考になるやり方があれば幸いです。それでは!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?