人生、だいたい迷子ですがなにか?
私は普通の人が普通にできるようなことが、異常なまでにできない。
まず、地図がまったく読めない。文明の利器、GPSをフル稼働してすら迷子になる。待ち合わせ場所にはかなりの確率で辿り着けないし、角を2回以上曲がると完全にお手上げ。取材場所が現地集合のときは、おそるおそるGoogle地図で駅からの道順を検索するのだが、駅徒歩5分を超えているといつも絶望的な気分に陥る。我ながら酷い。
以前、地図好きの女友だちが、頭の中にいつも鳥瞰図的に道が浮かぶという話をしていて、人生で一度もそんなこと起こったことがないので、これはもう脳みその問題なのだと早々から地図を読むのを諦めた。
つまり、私にとっては毎日が冒険だ。家の近所ですら迷子になるし、同じ場所に行くとしても、軽く遭難しながら到着するので、日々新鮮な気持ちで町を眺めることができる。
そして一気に世界が秘密のダンジョンと化するのは、海外の知らない場所に行くときだ。毎回出たとこ勝負で、勘を頼りに適当に進むことにしている。そもそも私が好んでいく僻地には道らしき道なんてない。地図を見ながらウロウロしている旅行者なんていたら鴨ネギ同然、読めない地図を広げて悪党どもに狙われるぐらいならば、迷子になった方がよっぽどマシなのだ。
よって一度来た道を何度も行ったり来たりする羽目になる。たぶん現地民には「おまえ、さっきからやたら見かけるな」と思われているだろう。そして、真っ直ぐ進んでいたはずなのに、同じ場所に戻ってきてしまうというまさに怪奇現象に度々見舞われる。
異国の地で迷子になっていると、いつも自分がどこかの巨大な迷路の中にいて、道ゆく人から情報を集めながらミッションをクリアしていくような、そんなRPGの主人公になったような気分になる。大体、毎日6時間以上は歩き通しだ。よって、帰国する頃にはスリムになる。
そして、迷子になったからこそ見られる風景や面白い場所、人との出会いがあるのも旅の醍醐味だ。人生、たまには迷子になってみるのも悪くはないと思うのだ。
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