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『粧紙-mekashi-』創刊号α


節分の今日、メイキャッパーUDAさんが手がけた『粧紙 α』が届きました。私も一杯のいけばなととともに寄稿しています。出版物はいいですね。構想時から聞いていたUDAさんのおもいが五感を通じて私の中に入ってきます。

 出版物には紙とインク、印刷方法に判型など視覚情報に直接的に影響する組み合わせが無数に存在します。作り手は己のイメージに適う組み合わせをその中から探し出し選ぶのです。

 そうして具現化された作り手のおもいや意図は、手にした時の重さ、ページに触れた時の厚みや張り、擦れなどの触覚情報、紙と紙もしくは紙と肌が擦れる時に発せられる聴覚への刺激、紙やインクの匂いなど嗅覚への訴求も伴い読者の元へ届きます。あれ、インクの匂いって色によって変わるのかな? と思い立ちひとまず手にした粧紙を一項ずつ嗅いでみました。そうだ味覚…は、おともに傾けるグラスの中身ですかね。さておき、こうして五感をフルに活用しさまざまな要素が統合されて、出版物は一冊の像を結びます。

 面白いのはこの時に結ばれる像は、読者の経験値、あるいは感受性によって左右される点です。制作者の感性によって世に投げ出された出版物は、読み手の中で似ても似つかぬ別のものとなってそれぞれに立ち上がるのです。

制作者と読者の間(あわい)。

 UDAさんは先に出版された『kesho: 化粧』同様今回も一貫して、今の時代に誰しもが向き合うであろう「自分らしさ」「オリジナリティ」を考えるヒントや、そこに向かう姿勢などを示しているように感じます。本誌は日本の風土はもちろん、UDAさんが長年身を置くファッション業界など、ご自身が育んできた感性に基づき具現化された何か、が凝縮されて収められています。美や多様性を扱う、あるいはそこに興味がある方にとって指針となる一冊です。

限定500部、税込3,333円。

立春の2/4より発売、取り扱い書店(2/4時点)は以下のようです。

代官山 蔦屋書店 @daikanyama.tsutaya

銀座 蔦屋書店 @ginzatsutayabooks_photofashion

青山ブックセンター本店 @aoyamabookcenter

BOOK AND SONS @bookandsons

ありがたくいただき、世界のどこかにタネを撒こうと思います。