意識をよそにそらすためのひと手間。
12月のある日、美味しそうなパンを手に入れた。
写真に収めようとお手製のゆずジャム、ゴルゴンゾーラを用意するなど粋がったものの、パンの断面に対して皿が小さすぎるという初手からのミス。ジャムはすでに皿に盛られ、ゴルゴンゾーラに添えたはちみつはスプーンに溜まっている。引き返すことなどできない。パンを減らす? いや、気になっているのは断面のサイズ感。枚数を減らしたところで根本的な解決にはならない。
そこでふと、背景に季節の植物などおいて雰囲気を盛ればよいのでは、と思い立つ。クリスマス用の資材ならいくらでもある季節。実のついた桧+αを用意して、手前に件の皿を配置。「おっ」。斜め後ろから差し込む光もいい具合。皿の一部をトリミングなどすればいよいよお皿とパンのアンバランスに目が向かなくなるのでは、とシャッターを押す。
そもそもなんのために写真に収めているのかも知れぬまま、ひとまず満足してパンをいただく。美味しい。パンに練り込まれたナッツ、蜂蜜、ゴルゴンゾーラ。自家製のゆずジャムはちびちび使わず大胆に盛る。パンは脇役。
今やウィンターホリデーの気分は遠く、ヒノキはポットを開いて種を撒き散らし終え、いまでは花粉を風に乗せる準備をしている。
*いつまでもデスクトップにある写真放流。
ありがたくいただき、世界のどこかにタネを撒こうと思います。