ドラゴンボールGTは、ドラゴンボールファンへのご褒美だったのではないか

はじめに

皆さんこんにちは

この記事をご覧になっているということは、おそらく少なからずドラゴンボールという作品が好きな方が観られているんじゃないかなと思います。

かくいう私は95年生まれでド・ストライクのドラゴンボール世代というわけではなく、どちらかといえばドラゴンボール空白世代と言われている部類の生まれです。

なので、同世代の友達でドラゴンボールが好きな人はいないわけではないもののそこまでいるわけではない環境下で育ってきました。
そんな私が、どうしてドラゴンボールに出会ったかといいますかと一重に父と叔父・ANIMAXのおかげでございます。

父と叔父は世代的にもドラゴンボールが連載していた頃に青春を謳歌していた生まれということもあり、ドラゴンボールは当然知っており自宅には年季の入った単行本が並んでいて、暇な小学生ライフを謳歌していた私はドラゴンボールの単行本を手にとり読んでおりました。

また、私が小学生の頃というのはANIMAXでドラゴンボールの放送枠があり、無印・Zすべて放送しており原作と並行して視聴していたというのが私の少年時代でございます。

さて時は現代、ドラゴンボールは2009年から始まった「ドラゴンボール改」、2013年に公開された「ドラゴンボールZ 神と神」を皮切りに新しい世界を展開していっているのは皆さんご存知かと思います。アニメーションとしての展開は2018年に公開した「ドラゴンボール超 ブロリー」が最後ではありますが、ドラゴンボール超のコミックはアニメ終了後も連載がVジャンプで続いており、宇宙サバイバル編以降の話が現在でも続いております。きたる6月11日には4年ぶりの新作アニメとして「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」の公開が迫っており、いかに世界からドラゴンボールという作品が期待・求められているかというのが見て取れる情勢かと思います。

今でこそ「ドラゴンボール超」という作品は、原作ドラゴンボールの”正当な”続編として認知されており、ドラゴンワールドの拡大拡張を担っています。しかし、「ドラゴンボール超」が始まるまで、ある作品がドラゴンボール原作の続編として認知されておりました。それがタイトルにもあるドラゴンボールGTです。

ドラゴンボールGTとは

ドラゴンボールGTは、1996年2月7日から1997年11月19日までフジテレビ系列で毎週水曜日 19:00 - 19:30(JST)に放送された作品で全64話+番外編1話で構成されています。ドラゴンボール原作の最終話でウーブと共に旅立ってからさらに10年後を舞台とした作品になっています。

おそらく記事をお読みの方の多くが作品自体は認知しており、ドラゴンボール界隈でどのような位置づけにいるのかご存知かと思います。かくいう私も少年時代にANIMAXでこの作品を観ましたが、スーパーサイヤ人4とOP/ED、最終回くらいしか印象に残っておりませんでした。

ではなぜこのタイミングで、このような記事を書いたかというとAbema TVで一挙配信があり、なんてことはないですが久々に観てみるかという気持ちで観たら、年齢を重ねたからか、はたまたドラゴンボールへの愛が深まったからかはわからないですが少年時代とは、まったく異なる評価を抱いたため、ドラゴンボールGTの布教と世間一般への汚名返上も兼ねて本記事を書いた次第です。

先に結論を述べさせていただくと、ドラゴンボールGTという作品はスタッフ側からドラゴンボールファンへのご褒美であり、ドラゴンボールという作品を生み出した鳥山先生への感謝とドラゴンボールへの愛が溢れた素晴らしい作品であるというのが私のドラゴンボールGTに対する評価になります。

本記事では、1ドラゴンボールファンとして皆さんに伝えたい(話したい)部分のみを以下にピックアップさせていただきました。そこを読んだ上で、もし少しでもドラゴンボールGTに興味を持っていただければ、皆さん自身の眼でドラゴンボールGTという作品を観ていただけると幸いです。

  1. 原点回帰

  2. 超サイヤ人3の先

  3. 物語としての終わり


1. 原点回帰

ドラゴンボールGTの「究極のドラゴンボール編(第1話 - 第26話)」は、ドラゴンボールの連載初期の話をモチーフにしています。今でこそドラゴンボールは、悟空やベジータ、御飯やピッコロといったキャラを主として、強敵たちとバトルを繰り広げる物語となっていますが、ドラゴンボールの原作第1話(ブルマと孫悟空)から第23話(ドラゴンチーム解散)までは、バトルは半分おまけで基本的にはブルマや他の仲間達と共にドラゴンボールを探し出し、探し出す過程で村の問題を解決したり、へんてこな能力・個性をもつ悪役と戦うという物語でした。

パーティに関しても今のドラゴンボールとはまるで違います。
・ヒロイン枠:ブルマ
・イケメン枠:ヤムチャ
・マスコット枠:ウーロン&プーアル

「究極のドラゴンボール編(第1話 - 第26話)」は、この初期の話に通ずる部分がかなりありました。一番わかり易い部分としては宇宙を旅していたときのメンバー構成です。初期であれば上記のメンバーが基本でしたが、GTではそれが以下のようになっています。
・ヒロイン枠:パン
・イケメン枠:トランクス
・マスコット枠:ギル

キャラクターの容姿的なところもそうですが、特にパンとトランクスに関しては原作初期のブルマとヤムチャに近い性格をしているのも個人的には観ていてエモいなと思った部分です。
人造人間編以降、年齢的ないしトランクスが生まれたからか落ち着いた性格になっているブルマですが、それ以前の性格は原作初期含め中々我儘っぷりが激しい性格のキャラでした。そんな原作初期のブルマのキャラとGTでのパンのクソガキ感お転婆な性格は視ていて懐かしさを感じます。

また、ヤムチャに関しても今でこそカマセ&空気キャラの位置づけですが、原作初期はイケメン&クール&茶目っ気がある性格のキャラでした。GTにおけるトランクスは、未来トランクスの容姿的にも正統派イケメンで違和感がないですし、未来トランクスの悲惨な未来を経験をしておらず孫悟天という親友を持ち成長したと考えたときにクール一辺倒の未来トランクスと比べやや砕けた性格になったというのも個人的に何とも言えない良さを感じました。

当然メンバー構成だけでなく、物語や世界観も原作初期を思わせる部分が多くあります。ドラゴンボールをドラゴンレーダで探し、惑星に着陸してなんかトラブっている街・村の人たちと交流したり、へんてこな敵キャラと戦って時々ギャグも交えながら勝利する。牛魔王やウーロン、兎人参化といったエピソードを知っている身からすると小さくなった悟空と物語の雰囲気も相まってニコニコが止まらなかったです。

さて、この「究極のドラゴンボール編」はドラゴンボールGT中でもとりわけ不人気な部分になります。ネット上でも検索したら出てくると思いますが、代表的なところとしては以下のものです。

・ドラゴンボール集めが長い
・全力を出せば倒せる敵に手間取っている

おそらくこの記事を読んでいる方にも同じような感想を持っている方もいらっしゃると思います。実際改めてドラゴンボールGTを見返す迄は、私も同じような感想でした。
個人的には今では、そこも含めてドラゴンボールなのかなというのが正直なところです。

ドラゴンボールという作品は、元々は中国の西遊記の設定を下地に生み出された作品です。そこに、7つ揃えたらどんな願いでも1つだけ叶えてくれるドラゴンボールという存在を中心とした冒険譚から始まった物語でした。しかし、連載当時に繰り広げられたこの冒険譚は、人気の低迷や時代背景という側面からあまり受け入れられず、天下一武道会を皮切りにバトルを中心とした物語へ移行していきました。このバトル路線への転換があったからこそ、今日のドラゴンボールがあるので、この選択は間違いなく正しかったのだと思います。

ただ、冒険譚としてのドラゴンボールも、バトル路線のドラゴンボールもどちらも私達の愛するドラゴンボールなんです。
単純に人気を取りたいだけならバトル主軸のオリジナルアニメを作ればよかったはずなんですよ。それをあえて前半ではせずに、人気が微妙だった頃の初期の話を踏襲した話をオリジナルでやるなんて愛がないと出来ないんですよ。だからこそ、悟空の弱体化と原作初期の話を踏襲した話の展開は、バトル漫画としてドラゴンボールというところでは違和感はあるものの、冒険譚としてのドラゴンボールというところでは違和感がないというのが私の感想になります。

長々と書いてしまいましたが、「究極のドラゴンボール編(第1話 - 第26話)」はドラゴンボールの原点であるドラゴンボールをめぐる冒険譚をベースに描かれた物語であり、初期の雰囲気や話を知っているファンからすれば観ているだけで涙とエモさが溢れてくる話なので、初期のドラゴンボールも好きな人は是非観てみてくださいというのが結論になります。


2.  超サイヤ人3の先

ドラゴンボールといえばなにかと聞かれたときに孫悟空の次か、その次くらいに出てくる言葉として「超サイヤ人」が出てくるくらい超サイヤ人という設定はドラゴンボールを象徴とする設定の1つかと思います。
どれくらい人気かというと、ドラゴンボール好きの男の子は絶対にかめはめ波と超サイヤ人になる練習をしたくらい人気です。実際私も小中学校くらいは好きすぎて練習したり、ノートの空きスペースに超サイヤ人っぽいキャラの落書きをするくらい大好きでした。

さて、ドラゴンボールという作品において、原作コミックで登場している超サイヤ人は大きく3種類になります。

  • 超サイヤ人

  • 超サイヤ人2

  • 超サイヤ人3

上からフリーザ編、人造人間編、魔人ブウ編で登場し、強さの上限としては一番下の超サイヤ人3が原作に登場した超サイヤ人の最後で最強の形態になります。
本記事の冒頭でも記載しましたが私は、ドラゴンボール原作&アニメのリアルタイム世代ではありません。ですが、ドラゴンボールにおける超サイヤ人の圧倒的な人気は理解しています。だからこそですが、当時のファンとしては超サイヤ人3が登場してから、以下のような期待があったんじゃないかと。
「次の超サイヤ人は一体どんな姿になるんだろう」
ただ、ドラゴンボールの原作としては超サイヤ人3以降の形態は登場せず、そのまま界王神界での最終決戦をむかえ物語として完結しました。

ドラゴンボールGTの「復讐鬼ベビー編(第27話 - 第40話)」で登場した「超サイヤ人4」は、おそらくドラゴンボールファンの大部分が存在を知っているかと思います。ドラゴンボールGTが終了して20数年たった今でも、この超サイヤ人4に関しては異論という異論が殆ど見られないくらいファンから支持されたデザイン・設定かと思います。
これまでの超サイヤ人とは全く異なる容姿、フリーザ編以降忘れ去られたサイヤ人の尻尾と大猿の設定を遺憾なくいれこみ、あまつさえ尻尾の生えた悟空という遥か昔に消えさってしまったキャラデザを復活させ、大猿の戦闘力10倍という設定を生かした「10倍かめはめ波」という技名、どれをとっても素晴らしいというほかないです。
だからこそ、この超サイヤ人4の設定は、原作に登場しないにも関わらず放送終了から20数年たってもゲーム等でバリバリ現役で活躍しているのだと思います。


3.  物語としての終わり

ドラゴンボールという作品は極めて特殊な終わり方ないし続き方をした作品だというのはご存知でしょうか。作者である鳥山先生は本来、ドラゴンボールを魔人ブウ編まで描く予定はありませんでした。本来はもっと早い段階で終わる予定でした。

  • 第23回天下一武道会でピッコロ(マジュニア)を撃破して終了

  • ナメック星でフリーザを撃破し終了

  • 悟飯がセルを倒して終了

ただ実際、ドラゴンボールは皆さん御存知の通り、魔人ブウ編、単行本でいえば42巻まで続きました。鳥山先生自身、魔人ブウ編以降はもう描きたくなく終わらせたくて仕方なかったとのことです。
その中で、話が来たドラゴンボールGTというシリーズは当時の鳥山先生からしたら「もうやめてくれ」という感じだったらしく、最低限の監修になったのもこういったところが背景にあったからとのことです。

本記事を読まれている方であれば御存知かと思いますが、ドラゴンボールの原作最終話は一般的にいう「主人公の物語はまだまだこれからも続く。。。」という終わり方をしました。しかし、先に記載した通り原作者の鳥山先生自身は、もうドラゴンボールを描きたくないという状態でした。そんな状態で始まったドラゴンボールGTは、ある意味ドラゴンボールの続編としてなんとも微妙な立ち位置だったのではないかなと推察します。
だからこそ、当時のスタッフはドラゴンボールGTをドラゴンボールないし孫悟空という物語の締めくくりとしたのではないかと思います。

ドラゴンボールGTの最終回は、今でも少なからず話題にあがるくらい謎要素のある終わり方をしています。
要約すると、
・神龍が現れて、ドラゴンボールは姿を消すと伝える
・神龍が悟空を連れてどこかへ行く
・悟空の中にドラゴンボールが入っていく

漫画としてのドラゴンボールの物語は、息子の孫悟飯に主役交代をしようとしたときもありましたが、基本的には孫悟空の物語として描かれています。だからこそ、孫悟空=ドラゴンボール(願い玉としてのドラゴンボール)の消失は、ドラゴンボールという物語の終わりということを示したかったのではないでしょうか。

週刊少年ジャンプの黄金期を席巻し、少年漫画の伝説的作品になったドラゴンボール。
その代償として作者である鳥山先生に苦渋を強いてきたドラゴンボール。
だからこそ、当時のスタッフから鳥山先生への「ありがとうございました」「ご苦労さまでした」という意味を込めてのあの終わり方だったのではないでしょうか。

悟空がいたから楽しかった。

ドラゴンボールGT 第64話

これでドラゴンボールのお話はおしまい。

ドラゴンボールGT 第64話

結果的にドラゴンボールは、2013年に公開された「ドラゴンボールZ 神と神」を皮切りに新しい物語を展開するに至りました。
ただ、だからこそ当時凄まじい人気だったドラゴンボールに明確な終わりの物語をつくり、完結を明言したドラゴンボールGTのスタッフは、優しさと勇気にあふれる方たちだったのではないかなと思います。



さいごに

ドラゴンボールGTという作品は、原点回帰のドラゴンボールをめぐる冒険譚で始まり、原作では描かれなかった超サイヤ人4という新しい形態をみせ、ドラゴンボールで始まった物語をドラゴンボールで終わらせました。
これ以外にも、セルフオマージュやキャラ設定などドラゴンボールという作品を知ってれば知っているほど引き込まれずにはいられない部分が多々ありました。
だからこそ私はドラゴンボールGTという作品は単純なアニメオリジナルの続編ではなく、スタッフ達からこれまでドラゴンボールという作品を楽しみ応援し続けたドラゴンボールファンたちへのご褒美であり、鳥山先生への感謝とドラゴンボールへの愛が溢れた素晴らしい作品だったのではないかと思わずにはいられないのです。

もしまだドラゴンボールGTを観たこと無い or 最後に観てから大分たっているようでしたら、一度ドラゴンボールGTを観ることをおすすめします。きっともっとドラゴンボールを好きなるはずです。

本記事を最後まで読んでいただき有難うございました。

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