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あなたが潰れませんように

 表題の通り、夜にふと昔のことを思い出し、自分の苦しかった時の記憶を誰かの役に立てたいと思い、取って付けたようなアカウントネームでこの記事を書いている。

 数年前鬱になった。今では社会復帰し、それなりの生活を送れている。お世話になっているのは睡眠薬だけだ。うつといっても所謂大うつではなく、潰れてしまったというのが正しいのかもしれない。当時、病院に行く頃には色々と日常生活に支障も出ていた。診断名は抑うつ状態だった。その後は家にいる時は薬を飲みたくないので飲まず、必要な時は処方箋の1.5倍の量の薬を飲んで何とか動くことが出来たので(絶対に!マネしないで!オーバードーズとかはマジでやばいらしいので)、なんとか最低限の生活は出来ていた。新型うつとかは分かりません。


 それで、体調がよくなってくると(人間には確かに自然治癒力というものがある)社会復帰のために道をそれぞれ探すのがよくある?パターンだと思う。その時に、他の人の鬱体験談なんかを探しては参考にした。他の人もそうなのではなかろうか。


 それで、自分と似たような状況で鬱になった人が意外に多いと感じ、驚いた。鬱からの社会復帰を調べることで、他の人が鬱になった状況を知ったのである。とはいえ、ただの素人の感想に過ぎない。鬱になってしまった人の中でも、珍しいパターンなのかもしれない。ただ、誰かの役に立つかもと思い、筆を執った次第だ。


 ここからが本題。端的に言えば、我々が経験したのは穴掘り拷問である。午前中に穴を掘り、午後にはその穴を埋めることを永遠に繰り返すと言うアレだ。意味の感じられない作業を続けたのである。


 あまり詳しくは書けないし、書きたくもないのだが、私の場合、自分の直属の上司との間でこの穴掘り拷問が起きた。私の業務のあらゆる成果物について、この上司は突き返すのである。どこが悪いのか教えて欲しいと言うと、「自分で考えろ」と言う。自分への教育のつもりでやってくれているのかと素直に受け止め、考えて修正し、修正箇所と修正理由を述べて再度渡すのだが、また理由なく突き返される。これを延々と続けるのである。


 当然、他の仕事も滞り、会社に迷惑をかけないようにと、より残業することになる。苦しくても折角上司も教育してくれているし、ここを我慢すればきっと仕事の実力もつくだろうと、歯を食いしばっていた。それでも遅れ続け、私には悪い評判が立っていたようである。すると職場でも孤立しがちになる。上司が指摘してくれないならと、先輩に相談するのだが、先輩も取り合ってはくれない。ひとりで悩み、益々仕事は遅れるばかりであった。


 そして一年ほどたった頃、何気ない切欠から、上司が私のしている業務内容については殆ど何も知らないということを知った。そのことを上司におずおずと聞いてみると、上司はその通りだといった。彼は、私の業務内容について知識も経験もないにも拘わらず、私の成果物を一年ほど突き返し続けていたのである。非常にざっくりとした語りとなってしまったが、これはマジだ。色々書き方を変えているけれども、ノンフィクションです。


 既にまともな判断力や思考力を失っていた私は、それからも上司から成果物を突き返され続け、残業し続け、その半年後には潰れてしまった。上司よりも上の上司に相談したこともあるが、それは「(適正な)業務内の行為」という考えの様だった。


 皆さんはどう思うだろう? 大筋でしかないが、自分で書いていて、結構自分アホだなと思う。しかし、真面目で責任感のある性格だと、こうなりやすいのだと思う。あとは人間観がポジティブだったりとか。そしてこの手の病気、不調の最も恐ろしい点だと思うのだが、まず当人の判断力や思考力が侵されるのである。熱々の鉄板の上に裸足で乗っているのに、まず足の裏の痛覚から死んでいくようなものだ。自分がどれだけ危険な状況か、分からなくなるのである。自分が「熱い!」と感じられている間に、対策を講じなければならない。

 当時の上司であった彼が、本当に教育する気で言ってくれていたのか、あるいは最初から潰す気でいたのか、軽い気持ちでストレス発散の捌け口にでもしていたのか、今でも分からない。けれど、前述の通り、自分と同じようなパターンで潰れた人というのが目についたので、今こうしてこの文章を書いている。

 あなたがもし、こんな記事を鼻で笑えるような人ならそれでいいのである。陰ながらあなたのことを応援している。しかし万が一、自分と同じ状況にある方がいたとしたら、よくよく自分の状況を、改めて整理してみてほしい。考えるのではなく、整理するのである。何度でも書くが、この手の不調や病気は、まず当人から判断力と思考力を奪うのである。日記に書いて整理するなり、何か工夫が必要だ。そして休息が必要ならば休息を、相談が必要ならば信用できる人に相談を、逃走が必要ならば三十六計逃げるに如かず、である。身体を壊してしまっては、もっと大変になる。


 こうした状況は、上司と部下とか、力関係が対等でない場合に発生するようである。自分と同じように上司と部下だったり、大学の指導教官と学生という場合もあったようだ。あるいは相手がお客さんだったりとか。他の方達の話を読んでいると、まだ力の付いていない入社数年目の出来事では?という印象。ええ、まあ、自分の勝手な印象ですがね。


 今時こんな記事は珍しくもないだろうが、もしこの記事を読んでくれている人がいるならば、兎にも角にも身体には気を付けてほしい。そして上司から「自分で考えろ」と言われた時には、その言葉の本当の意味について一考してみて欲しい。それが、穴掘り拷問の始まりかもしれないので。



追伸

もしこの記事を読んでくれた方の中で、「もうおせぇよ」「既に鬱です」という方がいた場合。無責任に大丈夫だ、などと言うつもりはない。けれど、前述の通り、人間には自然治癒力というものが確かにあるらしい。今はどうか、必要な治療を専門家から受けて、ゆっくりと休んでください。

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