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第七話『ぼくに彼女が出来たんだ』


父さん、僕に彼女が出来たんだ。

「彼女」
彼の女と書いて彼女なんだってね。
ん?ちょっと待てよ。彼って誰なんだ?

彼の女は僕の女じゃない・・彼は彼で僕は僕で、頭がおかしくなりそうだ。
こんな時は、飲めない炭酸を飲んでやるんだ。スカッとする。

ライム「あ!ライチ・・こんなとこにいたんだ?探したのよ?」

彼女が僕の彼女、名前は「ライム」もちろん偽名さ!

ライチ「ライム!手を繋いでもいいですか!」

ライム「だめよ!」

ライチ「どうしてですか!手を繋ぎたいです!」

ライチ、手をだす。
ライム、その手を見て、優しく微笑む。

ライム「わかった!じゃあ、先に振り込んで?」

ライチ「またですか・・?」

ライム「・・たりめぇだろ・・きしょいんだからさ・・」

ライムは唾を吐いた。

ライチ「ライムと手を繋ぐのに、どうしてお金が必要なんですか?僕もお金が欲しいです!」

ライム「生意気に気づいてんじゃねえよ?夢見とけよ?ウジ虫」

ライチ「え・・?なんか怖いです・・でもそのメンヘラ臭いとこが好きです!大好きです・・好きすぎて殺してしまいそうです!」

ライム「私、宗教に入ってるの・・ライチにも入って欲しいなぁ・・入信料50万円ね」

ライチ「ご・・よ・・・二十万円は大金です!!」

ライム「さらりと金額、誤魔化してんじゃねえよ?小賢しいんだよ、テメーは・・!」

ライチ「ふへへ」

ライム「やだ!ライチの笑顔ってば、超可愛い!!」

ライチ「ふへ・・ぐへ・・げへへ・・」

ライム「う・・おえええええ(嘔吐)はい、今の200万だわ・・今のは、どんなにまけても150万の損害と思うわ・・わかるの!私、わかるのよ!損害の金額が!!!メンタルダメージを正確にお金に換算できるの・・」

ライチ「ライムに誉めてもらうとお金が発生するんですか?」

ライム「慰謝料よ・・ライチ!私、こんなにもあなたのこと好きなのに・・どうしてわからないの?好き!愛してる!あなたのためなら死ねるわ・・これきた!どどん!1000万円!」

ライチ「あわわわ・・どんどん借金が増えていきます・・はさん・・破産です!!!!」

ライチは壊れたように鳴いた。時おりモーター音が響く。
口からはレシートが発行される。

ライム「うるせぇな・・そのモーター音やめろよ?迷惑なんだよ!!なにする家電なんだよテメーは!」

ライチ「ぼくの悪口が聞こえます!聞こえます!ぼくが死んだか確かめるっていってます!!!」

ライム「空耳よ。聞こえる側の心の問題よ・・あなたは病んでるのよ。心の傷よ。お父さん、お姉さん残念だったわ。でもどうしてかわかる?どうして不幸かわかる?お金がなかったからよ!」

ライチ「お金があれば幸せになれるですか?」

ライム「もちろんよ!だからね、あなたにも、拝金教に入って欲しいのよ」

ライチ「宗教には入ってはいけないって、父さんが言ってたんです、どうしようもない父でした。ミニカーを食べるのが好きだったなぁ」

ライム「単刀直入に聞くわね・・あんた、いくらもってんの?」

ライチ「2円です・・」

ドス
ライムの蹴りがライチの腹部に決まる。

ライム「いいから出せよ」

ライチ「はい・・」

ライム「なんだよこれ?なんで五円玉でネックレスなんて作ってんだよ?」

ライチ「ご縁が欲しいです・・ご縁が欲しいです」

ライム「ごめんです・・」

ライチ「はぁーい」

ライム「まじ、おまえさー。甲斐性ないんだけど?なんなの?そんなんで私と付き合おうって?マジ、キモくてピンハネしちゃいそうなんですけど?」

ライチ「心が痛いです!ライム!ぼくの心が痛いです!助けて欲しいです!心療して欲しいです!」

ライム「ねーだろ?おまえに心なんて!最初から!機械人形なんだからさー」

ライチ「がああああああああああああああああああんだむ・・・・・き、きかいにんぎょう・・」

ライム「ごめんね、ライチ、全部・・嘘よ?私がさ、、大好きなライチのことさ、傷つけると思う?」

ライチ「思う」

ライム「お疲れさまでーす。口座に入金よろしくね。言っとくけど、おまえ逃げんなよ?トンだら、まぢトドメ刺しいくかんね!!!」

ライムは、颯爽と自転車に乗り込み。
河原の土手をものすごい速度で上っていく。

ライム、めっちゃ可愛いっす。

ライチ「拝金教か・・そこに行けば・・お金が・・」
ふらふらと歩きだす。

ライチ、秒速で1億借金する男・・。

【登場人物紹介】
ライム(ライチの彼女)

BGM「ライムライト」


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