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時代は変わっているんだ 驚きの元旦朝刊

久しぶりに、元旦の朝刊をしっかり見た。
私は、2000年前後の15年ぐらい、自宅で契約して配達される朝刊の他に、元旦だけは全国紙5紙と、地方紙2紙をコンビニで買うなどして見るようにしていた。
元旦の朝刊と言えば、紙面のページで言えば、3日分ぐらいの分量があり、それと同じぐらいの折込広告が入り、各紙それぞれに新しい年に向けての特集企画を組み、さらに、大手企業が1面、あるいは見開きの大きな一面を使って出してくる広告も、それなりに見応えがあり、時代を反映させていた。
21世紀に入り、ということもないが、インターネットで情報を得ることが当たり前の時代になり、元旦に、契約していない新聞までコンビニで買うなどという無駄なことはいつの間にか止めてしまったのだが、今年の朝刊を見て感じたのは、「宅配新聞の終焉の始まり」である。
私の自宅で購読しているのは、毎日新聞と福島民友新聞なので、それ以外の新聞がどうであったかは知らないが、少なくともこの2紙をざっと見渡して思うのは、そう遠くない将来に、紙に印刷して宅配する新聞は、ごく少数の人向けのものとなり、新聞社が生き残るために取る戦略は、ペーパー以外の分野を中心にせざるを得なくなるのではないかということだ。

新聞というものは、毎日新聞で言えば一月3400円。コンビニで買うと140円だろうか。そして、新聞の中で3分の1ぐらいの分量で広告が入り、大雑把にいうと、自分に必要な情報は、その中の5%以下に過ぎない。ネットと違い、全く関心のない広告が多く、テレビと同じく、通販の商品紹介が幅を利かせる展開になっている。もはや、「新聞に載っていたから大丈夫」なんていう、信頼性のあるメディアではなくなっているのである。
そして、若い世代が、新聞やテレビなど、情報発信を支配していたマスメディアから離れて行ったのである。

さて、2022年1月1日の朝刊の話をしよう。

記事の内容はさておき、一年に一度しか見れない、1面全面を使った各社の広告を見ていく。
そこで、アレレと思うわけだ。
少なくとも、今まで常連であった大企業の広告が、パッと見で4分の一ぐらいに減っている。
これは、毎日新聞に限ったことでもないのだろう。あるいは、今まで気が付かなかっただけかもしれない。トヨタ・日産・ホンダ・マツダなど、自動車会社の広告が一つもない。そのかわり、自動車工業会としてまとまった見開き広告がある。これで示し合せて、各社が独自の広告を出さない取り決めをしたのだろうか。地方紙の福島民友には、トヨタの全面広告があったが(いつものように自動車会社らしくないイメージ)、これはもう、日本の産業を牽引してきた自動車産業が、過去に決別したことを示しているとしか思えない。
自動車会社が、元旦の全面広告で、何を語るのかを見ることは、元旦朝刊の楽しみの一つだった。ここまで一気に姿を消してしまうのは、なんだか不気味でもある。若い人がクルマを買わないとか、そういうレベルを超越している。もはや、夢も希望もビジョンもないのか。全面広告で、脱炭素に向けた未来を示すことさえできない。

世界の政治や経済における目標が、脱炭素に向かう中で、日本の自動車産業のEV化は出遅れ、それでも技術力と誠実なモノづくりではどこにも負けないだけの自信と実績を積み上げてきた日本は、シフトしようと決めれば、売れるクルマを生み出せるはずだ。
もしも、この異変が2022年から始まったことであれば、自動車産業の動きには、注意を向けなければならない。

同じように、大手家電メーカーの広告もない。家電メーカーで、私が見る中で唯一目にしたのは、ハイアールである。あのパナソニックでさえも、広告を出していない。日立東芝などは、もはや家電メーカーとも言えないが、日本を牽引してきた大企業として、元旦の朝刊の中に、枠も持てないのか。

自分が建設業界にいるので、この業界も気になったが、積水ハウスの「いつもの」広告には、ほっとした。住友林業の家の広告も、ホッとする内容が多かったが、広告が消えた。あとは、ダイワハウスだけである。

広告に絞って見るこの変化の原因は、大きく2つに絞ることができると思う。
まず、大企業が「新聞」というメディアに、見切りをつけたという見方である。新聞に出す広告というものは、「宣伝」であることよりも、新年のご挨拶的なものであり、もはや、新聞紙上で挨拶しても効果がないと、判断したのだろうか。WEB上で情報発信していれば、一日で捨てられる新聞よりも価値が長く持つ。
もう一つは、そもそも広告宣伝費に、費用を割く余裕がなくなったという見方である。
まあでも、元旦朝刊ぐらい、いいじゃないかと思うわけだが。

大企業の広告が減ったということも、新聞社の斜陽化を象徴しているが、それ以上に、元旦朝刊の本誌や第2第3紙面のショボさ加減に、もうほとんど「やる気の無さ」さえも感じたのであった。

ほんとうに、元旦の朝刊って、こんなにショボかったっけ、というのが、今年の朝刊を見て感じた正直な印象だ。
未だにパンデミックを抜け出せない世界の中で、ジャーナリズムの果たすべき役目は小さくなく、正月だからこその、ダイナミックな視点にたった特集などがあって当たり前だったが、どうも、ほんとうに大事なことには触れずに黙している、ように思えなくもない。

ほんとうに大事なこと、とは、言うまでもなく地球環境の変化であり、中国の台頭による世界情勢の変化であり、そうした情勢の中で、脱炭素の取り組みを、いかにして急速に浸透させるのか、といった話である。

まあ、自分が関心を持つことは、紙の新聞じゃなくて、WEBで見ろよ、という感じなのだろうか。

とりあえず、2022年の1月1日の朝刊を見た驚きを書いておいて、来年、どう変化するのかを比較するためにnoteしておく。

家に帰れば、積水ハウス おなじみのデザインとレイアウトで、変わりなくホッとさせる
運送はヤマトだけ。この広告は柔らかい社会をイメージさせて好印象
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