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活動報告 2024年3月

 「確かじゃないけど、春かもしれない」と口ずさんでいた3月だった。本当は2月の方が似合う曲かもしれないけど。

庭の蕾

 折坂悠太の「春」という曲の一節だ。私のお気に入りの一曲でもある。蕾が膨らんできて、春一番が吹き荒れるまでもう少しだろうか、という時期に1番の曲だ。この歌が合う時期は人によって解釈が分かれそうで面白い。みんなが「春だ!」と感じる時期は結構揃う気がするけど、「春かもしれない」と感じる時期は割とズレると思う。地域おこし協力隊全員にインタビューでもしておけばよかったかな。吉里吉里国とかMOMIJIの人たちは自然との距離が近いから早めの季節を答えそうだし、移住定住事務局とか観光交流協会の人たちはその逆になりそうだ。

おおつちFANダイニング

 2日に大槌町主催のイベントが東京であったので広報に参加してきた。場所はトレジオンという東北の食材をメインに扱うレストラン。大槌町の食材でコースメニューを作ってレストランで給仕するという企画だった。配布物がぎっっちり詰まったキャリケースを会場までヨタヨタ運んでいったのだが、レストランの場所が赤坂だったのもあり、ずいぶん周りからは浮いた姿になっていたのではなかろうか。
 レストランで提供されたメニューは本当に美味しかった。生わかめも美味しかったが、特にMOMIJIのメニューには驚いた。今までにMOMIJIの肉を食べたことはあったものの、自分で料理したものばかりだった。レストランでプロに料理されるとこんなに変わるのかと料理人の技術に感動する。他のメニューも夢中になって食べるくらい美味しかったので、詳細は下記を確認してくれ。来年もやるかもしれないとのことだったので、参加できなかった人は次回をお楽しみに。

 あとはちょっとした登壇トークもあった。3部構成だったのだが、まさかのトリ。今回登壇した人の中で最も一番大槌歴の浅い人間がトリを務めるという訳のわからないことになってしまった。
 今年は映画の年、ということで「perfect days」を見てから帰った。話題になっていたので気になってみたのだが、とんでもなく良い映画だった。「良い映画」とはなんですか?と聞かれたら迷いなくこの映画を挙げると思う。言語化が難しいこの良さは、なんと伝えれば良いのだろうか。何かの機会に見てほしい。主演の役所広司と音楽がとてもかっこよかった。

大槌町空き地空き家情報バンク業務

 1月に相談受付が開始されて以降、ちゃんとした日常のルーティーンになりつつある。私が担当する相談物件の数は10件は行かないかなぐらいの数だ。他のメンバーはもっと大量に案件を抱えているので本当にすごい。
 3月はなぜか電話が多かった。しかも私が当番の時だけ電話がすごいかかってくる。電話の神というものがもしいれば、その神に愛されていたのかもしれない。もうすでに相談を開始されている方の業務連絡だったり、相談を始めたい方の予約受付電話だったり…。おかげさまで事務局のメンバーから「電話対応上手くなったね」と褒められた。嬉しい。
 4月になればHPに空き地空き家情報も公開できそうだ。空き家、空き地が欲しい人は是非確認して欲しい。空き家の方はまだまだ少ないんですけどね。空き家、募集しています。

登記簿取得の旅に出る

空き地空き家情報バンク業務の一環ではあるのだが、ちょっとしたお出かけだったので一応報告でもしておこうかと思う。一旦空き空き家情報バンクの説明を。
 空き地空き家バンクは、バンクの登録したい人が様式1という書類を用意するところから始まる。そこから誓約書等を作ってもらったら、私たちが登記簿や測量図を法務局から取得し、物件の現地調査に行き、空き地空き家の持ち主と不動産取扱業者と契約を交わしてもらい、バンクに登録、という流れだ。だいたい端折った部分もあるが概ねはこんな感じ。
 今回お出かけの原因になったのは登記簿を取得する部分のところだ。いつもはこちらから申請書を郵送し、法務局からも郵送で登記簿を送ってもらっているのだが、どうやら申請書に不備があったらしい。直接法務局のある宮古まで取りに行くことになってしまった。ちょっとした気分転換になったように思う。
 帰り道にのろしレコードというバンドの「コールドスリープ」を流しながら運転していたら、一緒に宮古に行っていた同乗者から「これ宮沢賢治の曲だね?」と言われてびっくりする。全く知らなかったのだが、訳を聞くと間奏のメロディが宮沢賢治が作詞作曲した「星めぐりの歌」という歌のサンプリングになっているという。劇場版アニメ「銀河鉄道の夜」の挿入歌でも使われていたらしいし、花巻の5時のチャイムもこれが使われているとのことだった。確かに歌詞も銀河鉄道の夜を想起させるものになっていて、今まで全く気づかなかったことが恥ずかしい。最近特に気に入っていた曲の一つだったのだが、この曲を見つけたのは必然のような気がして、より好きになった。
 ちなみに同じアルバムに入っている「道」も結構お気に入りだ。下にリンク貼っとくからみんな聞いてね。大槌で聞くのがよく似合うアルバムだと勝手に思っている。

あいさつ

 あと何度この月明かりが造る影の濃さに感動する夜があり、あと何度星の瞬きを見上げて足を止める夜があるだろうか、と指折り数えていたら、大槌町最後の1ヶ月が夢のように溶けていった。
 直接の知り合いや友達には大体伝えていたが、私は三月で大槌町地域おこし協力隊を卒業することにした。3年間やりきっていないから中退かもしれないな。やめる理由を話そうとすると、そもそもなぜ大槌にきたのか?まで遡らなければいけないし、話が長くなるのでここでは書かない。一個わかって欲しいのは、そこにネガティブな理由、ネガティブな側面は全くないということだけだ。三年間、後たった1年、やり切ろうかどうか本当に最後まで迷ったけれど、自分の道を進まなければいけないと判断した。
 大槌町での二年間はとてもとても楽しかった。まだ四半世紀ちょいしか生きていないが、その中でも一番に楽しかった。夢のような時間だったと思う。仲良くしてくれた人たち、関わってくれた人たちに心からの感謝を。最後の挨拶の時には全員に感謝を伝えたが、言葉というものは本当に難しくて、言葉にして余りある全部を伝え切ることが果たしてできただろうか。
 色々な人に別れの挨拶をする中で、一つの土地から離れるのは肉を切り分けていく作業に似ているなと感じた。大槌でできた繋がりを筋のように一つ一つ丁寧に切り離していくような気分。とても寂しい表現だなと思うが、それだけ私自身寂しいと感じている裏返しなのだと思う。あー寂しいよー!!
 何度自分の部屋でそう呟いたか皆知らないだろ!
 最後の挨拶で交わした言葉や、握手や、ハイタッチや、その全てをなるべく自分の中に記憶し続けたいと思し、そのための努力を惜しまないつもりだ。この記憶は自分の糧となって、これからの自分を支えてくれるのだろう。おかげさまで私はもう無敵だ。
 終わり難くて長々書いた月報もこんなものだろう。言われなくてもそうしてると思うが、みんな健やかに大槌町を楽しんでくれ。どうせ大槌にはまた行くし、会うだろうから、その時は仲良くしてね。本当に楽しい二年間だった。ありがとう。

それではまた。お元気で。

photo by 脊戸川悠太

追伸
この月報というシステム、かなり気に入ったのでできる限り続けていこうと思う。3日坊主は私の唯一の得意分野なのであまり期待はしないでほしい。

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