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HARICOGRAPHY_2021 AUTUMN Flyer

 私の作る張子は日本の郷土玩具から様々な着想を得ており、その中には「豊穣」や「繁栄」を祈願するものが多く存在します。このような郷土玩具の背景を調べると、「お米」というものが日本文化の深層に根付いていることを感じます。
 お米が日本に伝わったのは縄文時代の後期頃。大量生産可能で保存できるお米はやがて「富」となります。お米をつくるために昔の人は様々な工夫をしました。農具のための製鉄技術、お米を計るための道具や単位、そして最も重要なのが「暦」です。日本では中国の暦を古くから使用して季節を知り、お米をつくってきました。その名残で今も年中行事として「節句」があります。人日(1/7:七草)、上巳(3/3:桃)、端午(5/5:菖蒲)、七夕(7/7:七夕)、重陽(9/9:菊)の五節句で、稲作中心の生活においては季節の変わり目を知らせ、心身を清め体調を整えるための様々な風習が今に伝えられています。
 今では稲作を生活の中心とする人は少なくなりました。それでもまだ多くの人が節句などの暦を通じて、古代から続くお米のリズムに無意識に生活をゆだねているのは驚くべきことなのかも知れません。

HARICOGRAPHY 渡部剛(2021年9月 中秋の名月が照らす西荻窪にて)



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